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落書き

eroding opacity

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

ダンスホール

宙に浮かぶ、揺れる舞台の上で踊っていた。 靴紐が解けた。 ジーンズが下がってきた。 ベルトをもう一穴きつくしておくべきだった。 小銭が舞った。 眼鏡がズレた。 コンタクトにするのを忘れたことに気がついた。 怒りが落ちた。 汗が一滴垂れた。 ピアスが飛んだ。 一枚カードを踏んだ。 体が湿っているのを感じた。 音が毛穴から浸透してきた。 そうだ。 もうとっくに帽子は無くなっている。 手に持っていたモヒートのグラスは何処かに行った。 汗が一滴垂れた。 
息を止めた。 体に入った音

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floating in the( )

雨が降っている。 いつも通りなら、きっと止むのだろう。 憂う必要もない、もし、いつも通りなら。 永遠に続くことに想いを馳せる。 終わり無きものに。 変わらないものなど、あるのだろうか。 君はちょっと眉間に皺を寄せた後、ふっと笑ってこう言った。 「悔しいけど、変わらないものなんてないことが、唯一、変わらないものなんじゃないかな」 喧嘩をしたことがない、そういえば君とは。 こうやっていつも、さらっと僕を包括してしまうんだ。 寂しいと思う、この感情はどこから来るのだろう。 静か

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boundary

「そういえば、ずっと黙ってたんだけど」 「え、何を?」 「俺さ」 「うん」 「実は、君を一度、殺したことがあるんだよね」 「ふーん」 「ふーんって、驚かないの?」 「いや、別に驚いてあげてもいいけど、そんな偽りの驚きほしい?ほしいならあげるよ。でも、その代わりジュース奢ってね」 「じゃあいいや」 「え、なに、もしかして、もっと、私が驚くと思ってた?」 「そうだね。少なくとも、僕の頭の中であのセリフが生成されて、そこから口に出るまでの間は」 「ふーん。君っておもしろいよね。ちな

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フィードバックノイズ

好きな音があるということを知った。 ぼくの皮膚が欲してる音楽。 人混みの中で読む文庫本。 残りサンブンノイチのハートランド。 だから、なんというんだ。 どうでもいいという、どうでもよくなさ。 突如流れるeastern youthに動揺した僕は、目の前のどの強い女の子の眼鏡越しにステージを見る。 でっけぇリュック。 かかる暮らしの味気なさ。 転換という間の間にキスをした女の子。 残りは後。 響くバスドラと横になったマーシャル。 溶けたハイボールの中の恐縮した氷。 さぁ

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混濁した泡の影

退屈すぎる世界に花束を。 行方知らずの雨に愛を問おうとも、答えを失しているのだから、我此処にあらず。 黄金色の瓶にその雨を詰めて、樽の淵で割るのは、つまらぬ戯言のせいか。 あぁ、今日も夜は揺れ、お言葉に甘えて夢の中へ。

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靴が乾かないから

退屈な夜を超えて、辿り着く朝に向かって言う挨拶は、「おはよう」で合ってるのかな。 待ってたわけじゃないの。むしろ、もう少しだけ後ろ倒しにしたかったもの、あるいは迎えたくなかったもの。 冷め切ったマクドナルドのポテトを捨てるか否か悩んで、オーブンに入れた私はMiss.SDGsにノミネートさせてくれるの? 何?Miss.SDGsって? MissとかMrsとかMsとか、みんなそうの好きだよね。区分とか、意図的に曖昧にさせることとか。 萎びたポテトを愛おしく思う私の気持ちを、そんな

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ベローチェ

ずっと夜みたいだった。 ゆるく、ゆらめき、スマートフォンは今目の前にある。 距離にして15センチ。 左から右へ次々と文字は生成される。 頭の中に流れる音楽。 僕は今半分夢の中。 前に座っている人がぼやけている フリックする右手の親指が痺れている。 あぁ、こんな時間が続けばなぁ。

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essay/diary

エッセイ、散文、日記

淡い記憶と環世界

いつだったか、どこかの風俗嬢に薦められた、小説を読み終えた。 赤目四十八瀧心中未遂。 僕は、それを風俗嬢から教えてもらったと記憶しているが、実際のところそれすらも怪しい。 一体どんな気持ちで、この癖の強い私小説、恋愛小説、純文学を薦めてきたのかは僕には知る由もないが、「すごく暗いけど」と何度か念押ししていたような気はする。 お風呂に入ってた時にそんな話をした気もするのだが、スマートフォンもいじれない状況下でどうやって僕はこの本を買ったのか。 そもそも、僕はその子の顔も思い出せ

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たゆたう街、うたかたの言葉

少し前、興味本位で、初めてカウンセリングというものを受けた。 何故なら、カウンセリングというものを受けたことがなかったから。 人生において様々な刺激というものがあると思うが、やはり「やったことがないことがないことをする」ということ以上に、僕を揺るがす刺激は存在しないように思う。 それが、仮に思い込みだったとしても。 別に期待はしていなかった。 そこそこ値は張ったが、そんなものはどうでもよかった。 その価値が、その値段で適当か否かは、その時の状況以外決めることなんて

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uso ka makoto ka

「『地球温暖化』の不都合な真実/マーク•モラノ著」という、気候変動を懐疑している視点から書かれている本を読んだ。 何故読んだのかといえば、今まで、気候変動を脅威だとしている人の立場からしか見てこなかったので、本屋でこの本を見つけた時に、逆側の人がどんなことを言っているのか知りたいと思ったからだ。 読んだ感想としては「なるほどなぁ」ということだった。 温暖化にCO2が関係ないという様々なエビデンスや、気候変動の脅威を謳う著名人の裏話をこれでもかと詰め込んであり、それなりに納

where does it come from?

初めて代替肉を食べた。 感想を述べるのであれば、美味しい。 そう思った。 元々、食にはあまり興味がないので、相当まずいものでない限り、美味しいと思ってしまうのだが、これについても普通に美味しいと思った。 最近、肉を食べるのをやめて、思ったことがある。 結局、我々が食べものを選ぶ基準は、味付けと、温度と、食感と、見た目と、値段と、栄養素。 つまり、大事なことは、何を食べるかではなく、それを構成する要素なのではないだろうか、と。 味付けなしの、冷たくなって硬くなり、色も黒ず

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song

eroding opacity

今日もまた 嘘を付き 不透明な 日々過ぎる 全ては 変わるのに 何かを守ったつもり? 描いた いつかの夢 この世界が その答え lyrics & composition:satoshi tezuka

終わりと始まり、その彼方

求めては失って 今いた君はどこへ? 間違っては漂った 眠れぬ夜の中へ 過ぎて行く風と時間の狭間で 何を待っているのか知る由もなくて このままどこまで行けるのかな 移ろう不安だらけの街並み ただいま おかえり いつかまたね それを繰り返す僕らの日々 流した涙の跡 欠伸した残像 終わりから続く道 永遠に永遠に 隠して見つけた欠けた希望 胸に抱き締めた あの子の姿 泣いて 笑って 願って 祈って それを繰り返す僕らの日々 lyrics & composition:satoshi tezuka

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nokoriga

じゃあねって言った 君の後ろ姿 思い出す度に 過去に引きづられる 初めてだった 僕のあれこれ 君は優しかった 何も恥ずかしくなかった 愛を知ったなんて僕はまだ 言えないけれど 君の特別にはなれたのかな セブンスターは今はもう 吸わないけれど 街中でふと香る度に思い出してしまうよ lyrics:Nove composition:satoshi tezuka

稲荷越通り

何かないかな 何もないよな 薄れゆく世界の 静けさにも似て 懐かし日々の隙間に  思い出とか あれこれ 詰め込んだ 憧れたあの日の 行方知らずの想いが 今日も どこかで息づいて 「愛されてなかったと」泣き出したあの子の 願いは 今 あぁ 掠れた声はゆらめき 風に溶けてく 「終わりは来るの」 誰かは  何も怖くはないと言ってた どうして ららら  求めてた何かは 忘れてしまうけど 今日も 空は色付いて 「そんなとこ嫌」とか 「あれが欲しい」だとか   君の声 聞かせてよ いつか誰かの その記憶から全てが どうせ 消えてゆくけど 何でもいいから もう どうでもいいよ 震えた心 抱きしめてさ 今を歌うよ lyrics & composition:satoshi tezuka

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