サンタが消えた日
今日、長女の心から、赤い服を着た白いヒゲのおじいさんが、ふうっと消えていなくなった。
プレゼント、家でいちばん目立たないところに隠しておいたのに、見つかってしまって。本当に親が買ってなんかないか家じゅう探したみたい。
わたし見ちゃったからほんとのこと言ってと真剣に問い詰められて、困って。
隙間を見つけて夫に相談したら「浮気の作法と同じで、現場を押さえられても友達と添い寝したと言い張ることが大事。包装紙を変えて、なんとかしよう。信じたいうちは、信じさせてやろうよ」と説得されて妙に納得して、いちどはリベンジを考えたんだけどね。
やはり、いろいろ辻褄的に無理があり、腹を決めた。
いないと知って、娘は泣いた。
それ見て、わたしも泣いた。
そこまで信じてたのかと、確かめてしまったかんじ。
過去のサンタからの手紙をとってあったりしてさ、疑いたくなるときには筆跡をよく見て、やっぱり信じることにしてたらしい。
もう6年生だしね、学校で友達からいろいろ聞くじゃない、言われるじゃない。でも「いると思う」と言い切ってたらしい。
心からがっかりしてた。
あーあ。そっか。とポロポロ涙流して。
たまらないよな。
途中でこそっと息子が寄ってきて「なんで?知っちゃったの?あいつけっこー信じてたぞ」と言われた。
妹は、サンタとトナカイに食事を用意してルンルン。「いつもお世話になってるからさあ、メニューは去年と変えよう」と、ビーフカレーに。
それを見て、涙しゃっきり拭いて、「サンタさん来る前に寝ないと!ほら!」とわざとらしいほど妹に合わせる娘。楽しみだねー、と二段ベッドの上下で話しながら眠りについてた。
明日の朝は、親よりだいぶ早く起きてきやあきやあ言うだろう。にんじんかじられてる!カレーもない!プレゼントあったー!!って。それを遠くで聞きながらドキドキするのも、あと何回かな。
こどもから、ちょっとずつ妖精の成分が消えていく。
まったく、子育てって、毎日別れだなと思う。こどもが自立して離れていくことを、泣きながら、喜ぼう。
メリークリスマス。
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