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日本のIT人材が少なすぎる理由

日本がIT分野の人材不足に陥っており、富裕国と呼ばれる27か国中最下位だという記事をご紹介します。

[POINT]
・IT人材の育成ができていない
・STEM分野に進む優秀な学生が少ない
・ITスキルが給与に反映されづらくその分野に進むインセンティブが少ない

私の子供は私立中高に進学していますが、そういった中高一貫校を含む最も優秀な理系の高校生が進む道は昔も今も変わらず医学分野です。
医学系の分野が他より安定的に収入が多く得られるのがその理由です。

それとは逆に、日本のIT教育が圧倒的に不足しているためIT産業に優秀な人が集まらず、結果的に海外のIT企業に市場を圧倒され国内に好条件の仕事が少ないのも、IT分野の人材不足の原因のひとつだと思います。

特に、パーソナルコンピュータ+インターネットという、1970年代から始まり90年代以降に爆発したIT分野のイノベーションが日本の中高の教育カリキュラムにほとんど反映されていないのが大きな問題だと言えます。

一部にそういったアプローチをすでに行っている教育機関はあるでしょうが、全体から見れば少数派なのは間違いありません。


何十年も変わらない高校教育


私の子供が通う、偏差値的にはある程度良いとされている学校でも、高校になれば大学受験対策に明け暮れ、数十年前から変わらない、事前に詰め込んだ知識と解き方についての理解度と解決速度だけを繰り返し試されるテストが続きます。

相変わらず、紙に書かれた問題を、情報が遮断された試験環境で、記憶を頼りに鉛筆(シャーペン)と消しゴムで記述していくというどアナログな方法で多くのテストが行われています。

高校生の直近のゴールは大学受験なので大学側の考えに従うしかありませんし、理想論を説いて目の前の大学に行けなくなるのは困るので仕方ないですが、やり方が昔から変わらなさすぎるのはどうだろうと感じます。

正直言って彼らがこれから出ていく社会でグローバルレベルのITスキルを持った企業や個人と戦うための武器を、現在の高等学校が授けてくれるだろうという期待はあまり持てません。


まあ中学生までなら土台である頭脳の鍛錬のため昔ながらの反復的でストイックな環境に身を置いて鍛えるのは悪くないと思います。
言ってみれば、脳の成長期における筋トレです。

しかし、大学という世の中の競争分野に直接入る前の助走期間である高等教育はそういった筋トレは卒業して、そもそもなぜITが現代の必須スキルとなったのかという認識を基に、それを使いこなし問題を解決しイノベーションを起こすための実践的な教育をしてほしいと感じます。

そのため、高校~大学入試までの内容を今とは違う下記のようにものにするのがよいのではと考えました。


① 過去の変遷より現代の課題を取り上げる


例えば歴史などで、小中学校までは今まで通り過去から現在へ向かって学習をするが、高校では現代の問題を中心に据え、その要因を過去に向かってさかのぼっていくなど、最も大事な現代にたどり着く前に時間切れになることがないようにする。

歴史に限らず、過去から現在への変遷を学ぶのが主になっている科目はそうしたほうが時代に合っていると思います。

既存の手法では解けない正解のない問題こそが、今の学生が将来解決を迫られる課題なので、それを解決するために膨大な蓄積から価値ある情報をどうやって探し、真偽や合法性を確認し、解決策を絞り込むかを、IT技術を活用して解いていくのがよいのではないでしょうか。


② 頭で覚えるべきものとITを利用すべきものを選別


法律、金融、倫理、IT、多様性といった現代に必須な知識を増やす代わり、古典文学、古代史、地理、地学、生物といった非常に奥深くて人の記憶力では賄いきれない分野は、いっそそれらへのアクセス方法を知ることを主眼に置き脳の記憶容量を節約する。

またアナログな手書き・手作りという手法、直接その場のみというオフラインに学習の場を限定せず、IT技術を利用すれば記憶容量や計算速度を指数関数的に拡大でき、多元的にデータを分析でき、多くの視点を獲得できるということを学ぶ。

PCとネットが存在している前提で、脳に直接覚えさせて人格の一部にすべきものと、必要な際にアクセスできればよいものを選別しカリキュラムを組むのがよいと思います。


このようなカリキュラムになると、必然的に少人数で学び、テストも一発勝負ではなく時間をかけた方式となると思います。
今は少子化の時代なのでむしろちょうどいいかもしれません。

また理解度に応じて、進度の速い生徒は社会と直接かかわる課題を解決する実践的なレベルの学びを行い、将来ITを含むサービスの提供や開発に携わりますが、そうではない生徒はITサービスをうまく利用できるよう、基本的なITリテラシーやネット社会での振る舞いを学ぶことになるでしょう。

ただ今すぐこのような変化を期待しても難しいので、我が家では残念ながら当面、個人的に家庭でこういったことを教えていくことになると思います。




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