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アリエルとバービー
最近、アメリカの映画が内容以外の点で議論になることが多いと感じます。
リトルマーメイドの実写版映画が今年の6月に公開され、アニメ版の白人主人公アリエルとは大きく異なる実写版のイメージに、世界中の多くの人がSNSなどで疑問を呈しました。
ただ日本に関しては30億円程度の興行収入という、大ヒットとは言えませんがある程度の支持があり、アバター2が40億円程度だったのと比較すれば十分な成績で、結果的には受け入れられたと判断できるかもしれません。
アメリカのディズニー社が、ポリコレ配慮とともに、アメリカでの人口増加が著しい非白人の支持を得ようとして主人公をアフリカ系アメリカ人ハリ・ベイリーにしたという噂もありますが、日本は非白人の国なのであまり抵抗なく受け入れられたのでしょうか。
もちろん一部に強固な反対派がいたことは事実で、私も、人種問題の側面とはまったく別の視点で、あのアニメ版リトルマーメイドのイメージを大きく変えるのは、いわゆるアニメ実写化時の改変問題と同じく、過去のファンに対する裏切りになるので良くないと感じました。
それらの結果、日本ではアニメのリトルマーメイドのような人気は得られず、悪くはないが一般層の印象にも残らない中途半端な結果となりました。
いちばん割を食ったのは過去のリトルマーメイドのファンで、今回の実写化を待ち望んでいた人だと思います。
端的に言えば、エンタメの純粋な楽しさを、関係ない大人の思惑で邪魔してしまった例ということになります。
バービーの事件
そしてバービーの映画ですが、アメリカでは大ヒットを記録している中、日本のファンへの大きな裏切り行為が発覚し、いきなり巨大な逆風が吹いている状態となりました。
映画の公式アカウントが原爆のキノコ雲をあしらったバービーの髪型を「素晴らしい」と称賛してしまうという失態で、これが外国の政治家の発言なら日本に対する挑発の意図だと理解できますが、日本にこれからこの映画を観てほしい映画会社の態度としては謎すぎます。
ほぼ同じような失態をベトナムでもしているらしいことから考え、今回のバービーの配給会社は興行収入よりもアメリカの国威発揚(なのか?)、またはアジアへのネガティブキャンペーンを行うという意図を持って活動をしているのではないかと思います。
この状況でいくら彼らが謝罪して投稿を消したとしても、それを信じる人はいないと思いますし、これだけの騒ぎとなったこの映画を無邪気に楽しめる人もあまりいないだろうと思います。
少なくとも私は自分のお金で見に行くことはないし、誰かに勧めることもありません。
エンタメにエンタメ以外を持ち込む大迷惑
以前私は、アバターという映画から透けて見えるアメリカやヨーロッパ人の文化や宗教を至上とする考え方と、自分たち以外の世界に対する上から目線について記事を書きましたが、それからあっという間にまた同じことが起こりました。
リトルマーメイドはポリコレへの過度な配慮、バービーは意図的と思えるポリコレ無視という、ある意味真逆ともいえる態度ですが、結果として大規模なエンタメ作品の価値が棄損し、私たち観客が純粋に楽しめる作品が減っていくだけという状況となっています。
こうなるとこれらは偶然起きたトラブルではなく、アメリカを中心としたエンタメ業界に何か大きな問題が起こっていると考えたほうが自然です。
そしてそれが、噂にあるような中国資本のアメリカエンタメ界への大規模な進出による弊害だと考えてもおかしくありませんが、きっとそれ以外にも、私には想像つかないさまざまな問題が絡み合っているんでしょう。
ただ私はそういった裏の話にはあまり興味がなく、楽しいものが減っていくというこの状態がとても悲しいだけです。
ただ楽しくヒマつぶしをして、その記憶を大事に残し、次のエンタメに期待したいだけなのに、なぜか意味の分からない斜め上からの横槍が次々と襲ってきて、目の前の作品に集中するのが難しくなっています。
でもそういった話とは逆の光明もあります。
例えば「RRR」のような、アメリカでもヨーロッパでもない、歴史や事実がベースだが主軸は空想的ともいえるアクションや美しい踊りそして友情と愛情という、普遍的な人の心に訴える作品が多くの人に支持されています。
そういった、面倒な現実を逃れてただ没入的に楽しませてくれるエンタメを今潜在的に相当数の人が求めているはずで、クリエイターやエンタメ企業がその波にうまく乗れたら爆発的な大ブームを起こせるかもしれません。
むしろ非ヨーロッパ文化の日本には大きなチャンスではないでしょうか。
今後そういう新しい作品が出て来ることを期待したいです。
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