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○○のせい! 〇〇が悪い。 って言うな。

仕事を楽しむ!
そのためには『成果は絶対!』
成果とは、求められている結果、望まれている結果であって、
その過程ではありません。

ビジネスは、価値の提供です。そして、約束事でもあります。
だから、ビジネスでは、成果は絶対です。
約束事というのは、契約だから、というレベルではなくて、
全てのビジネスが、だれかの困りごとや悩み事、課題解決や今よりも幸せになるためのお手伝いをしています。つまり、それらを実現するための価値の提供です。お客様の望む価値の提供です。

今回は、ものづくりの現場でのお話しですが、全ての仕事につながるので、少しお付き合いください。

精密機器の開発では、開発段階や量産準備段階で、多くの部品からなる試作機を作って検討します。
量産に入ったら、量産品を良品のみ組み上げて製品にし、お客様のところへお届けするためです。
量産までに、設計確認(設計思想、採用技術、実現方法など)、機能確認、性能確認、製造確認、そして品質確認をして、量産での作り方が、必ず良品となっているOKレシピになるまで検討確認します。
その開発段階では、量産とは違い少量の部品を作っていただくのですが、図面通りの部品が入ってこないことが多くあります。初めて作る部品も多く大変な作業で、協力いただいていることに感謝しかないですが、不良品では、検討ができないので、図面どおりの良品を入れていただくことになります。
法に則って、再試作していただいたり、追加工による不具合解決したりして、組み上げて、製品評価に入ります。
この時、良品さえ入れていただければいいかというとそうではありません。設計に問題が無いか、図面に問題がないか?考え方に問題がないかどうか?
作り方に課題が無いか、確認・検査方法に課題が無いか?などを確認します。
無理してでも良品を作れば後は知らない、それでは量産できる商品開発ができないからです。
多くの場合、調達部門や品質部門が担当して、その不良に関する報告書をいれていただくことになります。
この報告書を見れば、その会社や、そのリーダーさんのモノづくりに関する技術力や姿勢がわかります。
今回、不良は出したけれども、その後の対応によって信頼できる会社かどうかがわかるのです。
ものづくりに馴染みがない方は、失敗しているのに、信頼って、どういうこと?と思われるかもしれません。
少し説明します。
これには、一般的に、ビジネスの姿勢として、不良品を納入するつもりがなく、気がついたら、指摘されたら、真摯に対応する。という面もありますが、それとは別に、ものづくりの基本がわかるからです。
試作段階では、初めて作る物も多く、うまくいかないことは、想定内です。だから、作った物が、良品かどうかだけではなく、その作り方が良品を作るOKレシピとなっているか?
今回は問題なかったけれども、課題が隠されていないか?
これらを意識して活動しています。

不良が出た時に、報告書を出していただいているのは、
・原因は何か?
・それは、今の作り方に不備があるのか?今回の条件でのみ分かったものか?
・再発防止のためには、どういう対応が必要か?
・その対応の確かさは、どう判断するのか?
などを確認して、今後発生しないように言質を取る、ではなく、発生しないようにその原理を明確にして確実な対応を取れるか、今後も気づきを取り入れることで発生前に防ぐ未然防止ができるのか?を見ています。

ただ、残念なことに、〇〇が悪い、〇〇のせい、正規工程ではなかったから、、などの報告書が多いです。
・加工不良は、新人がやったため
・検査ミスは、量産担当ではない人がやったため、
そして、対策は、ほぼお決まりの
『お客様にご迷惑をおかけしたことを、きつく叱り、再教育を施しました。
もっと注意して作るようにしました。本人も反省しているので今回はこれで対応完了ということでお願いします。』
というような回答が来ます。
これは、モノづくりの現場の話しですが、実は一般の仕事でも同じことが多くあります。こういう会社では、再発します。常に同様の不良が発生しています。
全ての不良、すべての作業のミスは、人によるものです。
 不適切な工具を使っていた。違う作業をしていた。温度設定を間違えた。
 言われた通りの作業をしていたけれども見つけられなかった、、、
だから、真の原因を追求することなく、人のせいにして終わりにしてしまいます。
なぜ、不適切な工具を使っていたのか? 使える状態になっていたのか?
なぜ、違う作業でやれたのか? 本来の作業でやろうとしなかったのか?
不具合の対策は、『現象』と『原因』を分けて考えないといけません。
現象には、いくつもの発生原因がありますし、一つだけじゃなくて複合原因というものもあります。
そういう会社が信頼できないのは、ビジネスの基本の価値の提供を理解していないからです。
『不良が出てもやり直せばいい。』
これだと、見つけた不良は、対応できても(色々な損失があるので良くないですが)、見つけられない不良は、そのまま出ていってしまいます。
そういう会社の対策は、検査追加になります。
そういう会社のそういう部門のリーダーは、人のせいにすることで、役割を逃げています。
リーダーの役割は、組織のメンバーのパワーを組織で求められている成果に繋げることです。一人一人の努力を成果に繋げることです。
人は失敗するものです。
こういう報告をするときのリーダーさんは、
「あいつは、注意力がなくて、、いつも厳しく言っているんですけどねぇ」
「新人しか空いていないって言われて、失敗するなぁって心配していたんですよ」
完全に間違った理解のリーダーです。
リーダーは、組織で成果を出すことです。人は失敗します。
ましてや、この場合、分かっていたのなら、なぜあなたは対応しなかったの?ってなります。
実際、よくそういう質問をします。
その答えも、上記のような「口頭で注意しています。」です。

全ての作業は、5M+Eで規定できます。
Man(人), Machine(機械), Material(材料), Mesurement(計測), Method(方法), と Environment(環境)です。
そして、良品を作るためにこの項目で規定されたOKレシピも、それを絵に描いた餅にしないためには、+Mが必要です。
Management(管理というよりは仕組みに近い)です。
本当に現場をよくするためには、品質で言われる3M,4Mや5Mではなくて、
5M+E+Mで完成されている必要があります。
5Mと+Mは、意味が違うので、6Mでも無いです。
記録、形だけなら5Mができているように見えるところで、製造品質が全然ダメなところは多くあります。それは環境が抜けているのと、そもそも製造品質の仕組みができていないからです。managementです。
人は本能的に何もしない生き物なので、また、自分以外に責任を押し付ける防衛本能もあるので、それらを知った上で、対応しないと良品を作ることはできません。
○○のせい、〇〇が悪い、、、がダメなのは、人のせいにして、自分の役割を果たさないのもありますが、仕事として必要な、良品を作るためのOKレシピにしていくための思考回路が停止してしまうからです。
○○さんは、直接原因だっただけです。
そもそも直接原因では無いかもしれません。
発生したときの状況をすぐに確認し、
全て規定通りにやっているのか、やれているのか?
規定通りだったとしたら、その規定では、不備がある、もしくは、間違っているということです。

問題発生の時、
「〇〇のせい」「〇〇が悪い」
は、絶対に使わない!  禁句にしましょう。

で、すぐに、そのときの状況を、詳細に確認しましょう。
いつもと違う差異に気づくように、詳細に確認します。
その確認内容は、5M+E+Mで書いていきます。
リーダーは、この確認時に、管理職風に対応してはいけません。
あくまで組織で成果を出す責任をもったリーダーとして、対応します。
話していただけるようにします。
失敗する原因を、こちらから出すのもありです。

別途、説明しますが、、、
メンバーが失敗したときは、すぐに確認するようにしましょう。
課題の多い企業様でのコーチングでよく使うのが、、、
『失敗したら、笑え! みんなで笑え!』です。
バカにした笑い、蔑んだ笑い、、、これはダメです。
失敗は想定内。だから感情的には同意。
失敗から学んで対応して再発防止する。

今回は、モノづくりの現場でのお話しでしたが、仕事の全てのケースで当てはまります。
メンバーが失敗したら、〇〇のせい、〇〇が悪い、で思考停止させないで、
再発防止のために思考回路を使いましょう。
もし、みなさんが、リーダーで、その仲間たちで目標を達成したいと思っているなら、「〇〇のせい! 〇〇が悪い!」って言うことで、思考停止して、行きたく無い方向に行ってしまうので、絶対に言わない。
まずは、行動を意識して、無意識にできるまで意識してみましょう。

補足
ドラマなんかであるのが、、、
「〇〇ではなく、それも含めて私の責任です。」
のような部下を庇うセリフ。
組織外に対しては、正しいと思います。
組織外に対しては、全ての責任は、リーダーにあるからです。
ただ、これで止めてはいけません。
そして、このあと、この件で担当の〇〇と話しをすると、責めることになるから、、、本人も反省しているから、、、というのは、リーダーの役割を放棄した考えです。
責めるのはダメですが、メンバーに同じ失敗を繰り返させないようにしてあげるのが、リーダーです。組織の中では、その原因を確認する。確認できないときは、仮説を立てる。そして、検証する。原理にあった対策を立てる。検証する。そして、その対策をOKレシピ化して、メンバーに楽をさせてあげる。
少し堅い言い方をすると、リーダーは、組織で成果を出す、だから、その組織の労力を最大限に生かすためのマネージメントが必要、ということです。
どの場合でも、仕事は、最終的に、作業の完成度アップにつながってきます。


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