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南紀に行ったときの話(2015/11)【旅行#2】《和歌山県》

南紀に行ったときの話をします。こんにちは、ベネディクト・缶バッチです。

もう5年も前とは。当時47都道府県の制覇を目指して国内あちこち旅行して回っていたのですが、その最後に残ったのが南紀つまり和歌山県でした。この話を旅行好きの友人達にしたところ、彼らも和歌山が未踏、もしくは最後の方に残ったと言います。たしかに関東発の場合、交通の幹線から外れるので和歌山県は訪れにくい場所に思えます。思い返せば私にとって遅くまで未踏で残っていた秋田、高知、宮崎あたりも同様の理由かもしれません。

さて目的地は和歌山市内の城下町、白浜の海と温泉、世界遺産に登録された熊野古道と熊野三山です。お世辞ではなく47都道府県の最後を飾るに相応しい魅力的な場所でした。

1日目(11/15):和歌山市街→白浜

いきなり和歌山駅前からスタートです。この旅はなんと往復夜行バス…当時の私は大学生、タフでした。

和歌山駅

午前中は和歌山市内を観光して回りました。私は地方都市を観光するときはいつもレンタサイクルを使っています。歩いて回るには街が広すぎ、かといって車では速すぎていろいろと見落としてしまうので、自転車くらいが丁度いいのではないでしょうか。和歌山城の辺りから和歌浦という海岸まで、市内をぐるりと15キロ程度サイクリング。和歌山は紀州徳川家55万石の城下町、ドッシリとした姿のお城が立派でした。

和歌山

午後には特急列車で白浜へ。白浜駅には14時半頃に到着。駅から白浜の海岸までは少し距離があるため、さらにバスで20分程度かかりました。秋晴れの日が傾き始めて眩しい海。白浜は海の景勝地であるとともに関西の有名な温泉地でもあります。関東にとっての熱海のようなポジションですかね?

崎の湯

温泉といえば、『崎の湯』という外湯の露天風呂が素晴らしかったです。西向きで海に突き出した形で、太平洋に沈む夕日を望むには抜群のロケーション。この日は天気も良く、黄金に輝く波しぶきを浴びながら入浴できました。東南アジアからと思われる観光客も大勢入浴していました。

白浜2

日暮れの海岸はいかにも南国の風情、三日月まで浮かんで良い感じ。強めの海風が湯上がりの体に気持ち良かったです。夜は白浜温泉の外れにある小さなホテルに宿泊。

2日目(11/16)白浜→熊野本宮

白浜のバスセンターから紀伊山地へ分け入り熊野本宮へ至る、南紀の観光に好都合なバス路線があります。熊野古道を構成する「中辺路」をなぞるルートです。7時半頃のバスに乗り、山間部をひたすら揺られて行くこと約2時間。熊野本宮大社に到着。熊野三山の中心、そして日本中あちこちにある「熊野神社」の総本山です。そして熊野本宮から少し下ったところには湯の峰温泉・渡瀬温泉・川湯温泉からなる本宮温泉郷という温泉地があります。

本宮

熊野本宮の社殿は山里の中で一番高いところにあり、深い緑に囲まれています。しかしこれは明治時代の洪水被害によって移転してきたもので、もともとは近く流れる熊野川の中洲に建っていたそうです。旧社地は「大斎原」と呼ばれ、そこにはシンボルとして巨大な鳥居が建っています。ちなみにその洪水で上流の奈良県十津川村も被害に遭い、住民が集団移転した先で開拓したのが北海道の新十津川町なんだとか。こんなところで北海道の歴史に出会うなんて面白いですね。

大斎原

熊野三山は2004年から「紀伊山地の霊場と参詣道」という名前で世界遺産に登録されていて、それを説明する世界遺産センターもありました。ここには海外の宗教の参詣道にまつわる世界遺産も併せて紹介する展示があって勉強になりました。聖地を目指して長い距離を旅するという文化は洋の東西を問わずあちこちにあるんですね。

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紀伊山地から太平洋に注ぐ熊野川、その支流の岸辺に川湯温泉はあります。その名の通り川が温泉。砂利のすぐ下に温泉が湧いています。あまりにも簡単にお湯が出てくるため、ホテルでスコップを借りて自分で温泉を掘ることも可能。掘ってすぐは濁りますが、じきにお湯が澄んできて自家製足湯が楽しめます。冬には川をせき止めて巨大な露天風呂が作られるんだとか。

川湯

夜は川湯温泉の旅館に宿泊。海沿いの市街地から遠く離れているだけあって静かな夜でした。

3日目(11/17)熊野本宮→新宮・勝浦

朝8時半頃のバスに乗り、熊野川の流れに沿うようにして山を下ります。10時頃に新宮の市街地に到着。よく三重県と勘違いされますが、ここまでギリギリ和歌山県。熊野三山の2つ目、熊野速玉大社のお膝元です。

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熊野速玉大社は新宮駅から徒歩圏内、雨に降られたので急ぎ足で参拝。前々から「紀伊半島は雨が多い」と聞いていましたが、この日はその通りに何度も雨に遭いました。晴れ男の自負があったのですが…。

矢継ぎ早ですが、12時頃には新宮を発ち、隣町である那智勝浦町へ。町の名前は那智勝浦で駅の名前は紀伊勝浦、ややこしいですね。ここでは熊野三山の3つ目、石畳の参詣道と巨大な滝で有名な熊野那智大社を目指します。

熊野古道

市街地の外れ、いくらか山へ入ったところから熊野那智大社の参詣道は始まります。雨で濡れた参詣道は幽玄さがあってとても絵になります。霧のかかった道の先から、平安時代の貴族や江戸時代の旅人が出てきそうな雰囲気。実際、そういった装束をレンタルして歩いたり写真を撮ったりできるそうです。滑らないように気を付けながら歩みを進め、社殿や滝の見えるところへ上り切る頃には雨がかなり強まっていました。

那智の滝

「朱塗りの塔と滝」、那智と言われて真っ先に思い浮かぶ光景ですが、この日の空は残念ながら真っ暗でした。厚い雲が垂れ込め、滝の水しぶきと一体化しています。いや、これもこれで趣があるかもしれません。

ところで雨の中、素敵な出会いがありました。山上から駅前に戻る途中、道に迷っている外国人夫婦の観光客を発見。見たところ30歳前後、欧米系のブロンドの男性とアジア系の黒髪の女性。おそるおそる話しかけたところ、彼らも駅へ戻りたいとのこと。一緒に行かないかということになり、下山のバスの中で頑張って英語で会話をしました。聞くところによると二人はアメリカから来ていて、京都や大阪を観光してここまで足を延ばしたと。対して私は東京から来て、今日帰ると。他にもあれこれと会話を試みましたが、半分程度しか理解できませんでした。やがてバスは駅前に到着し、二人とはそこで「よい旅を」と握手をして別れました。また日本に来て旅行を楽しんでもらえたらいいなと思います。

駅前の商店街は最近の地方都市にありがちなシャッター街と化していましたが、ところどころでリノベーションの動きがあります。この日の夕飯は、そのリノベ物件と思しき小洒落たカフェで食べました。勝浦名物のマグロを使たメンチカツ、美味しかったです。調べてみると現在も営業中の模様。これからも頑張ってほしいです。

マグロカツ

20時頃、東京行きの夜行バスに乗り込んで南紀に別れを告げました。

まとめ

海あり山あり、街あり自然あり、温泉あり歴史ありと、和歌山は魅力あふれる場所でした。今となっては驚かないかもしれませんが、2015年当時に白浜や熊野三山で外国人観光客に出会ったのは意外でした。彼らの求める「日本」がそこにあったようです。ということは、もしかしたら南紀は日本の中で最も日本らしい場所なのかもしれません。皆様も是非。

お読みいただきありがとうございました!








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