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あのとき私は、下ばかり向いていた

今日は移動中にスマホから。

昨年度まで勤め人だったので、満員電車とか満員バスとかに乗る機会はかなり多かった。

新採1年目は実家からバスと電車を乗り継いだが、このバスがただでさえ長時間すし詰めな上に、都市高速が渋滞したりすると1時間以上身動きがとれないこともあった。
迷走神経反射を起こし、なんとか持ちこたえて、都市高速降りてすぐのバス停で下車するなんてことも何度かあった。
(翌年ひとり暮らしを始めたのは、実はこれも理由のひとつだったりする)

時々考えていた。
「私は自分の足で職場に向かっているのか。それとも、ただ運ばれているのか」と。
もちろん、物理的な意味ではない。
満員バスのしんどさと、仕事のしんどさと、いろんなしんどさが相まっての考えだったと思う。

その時の記憶にある景色は、しゃがみこんだバス停のアスファルトだったり、左右に台帳の積み上がった職場のデスク面だったり、動きたくても動けず泣きながらうつ伏していたふとんだった。
下ばかり見ていて、街並みや、助けてくれる同僚や、心配してくれる家族のことは、目に入らなかった。

今私は、決まった時間に電車やバスに乗る生活をしていない。
まして、満員バスで倒れかけるなんてことは、まずない。
街並みを楽しみながら移動し、困ったときには仲間に頼り、家族と笑いながら暮らしている。
その分、当然に別の不安定は抱えることになっているので、どちらがいい悪いという話ではもちろんないのだけれど。

だから、満員電車やバスに毎日揺られている方に「今すぐ降りたほうがいい」なんて私は言わない。
もちろん、電車やバスに乗らない生活を「やめておけ」と言うつもりもない。

ただもし、いずれにしろなんとなく「自分の足でどこかに向かっていない」感じを覚えている方がいるならば、少し顔を上げてみてほしい。
見える景色が変わってくると思うから。

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