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私のなかの嫌なやつ

私は自分のなかに、ずっと嫌なやつを飼っている。
どんな嫌なやつかというと、もう、説明のしようもないような嫌なやつなのだ。

今日は「あいつ」が、悪さをしている。
おかげで心がギスギスして、胃がむかむかして、全身かきむしりたくなるような、今はそんな気分で過ごしているわけで。

いろいろなことを学んだり、経験したりするうちに、私の思考パターンとか、行動様式とか、そういったものはずいぶんと変化した。
生きづらいと感じる瞬間はまだまだ多いが、それらに関しては、「そんな私もありだよね」と容認していられる。

けれどあいつは、あいつだけは、許せない。
あいつなんて言っているが、まぎれもなくあいつも「私」だ。
だがしかし、「ありだよね」と思える存在ではない。

なんて言いつつ、あいつがどんなに強く根深い存在なのかは、よく理解している。
現に、許せないのに、私はあいつと戦ったことはない。
最初から負けが見えているのに、戦う気力なんて出せっこない。

あいつが自然消滅する日を待つほかないのだろうか?
あるいは、あいつを許せない私が、めちゃめちゃ強くなればいいんだろうか?
答えはいずれもNOで、あいつは絶対に消えないと思っている。

けれど、負けたとも思っていない。
強く根深い、許せない、嫌なやつと、その存在を「強く根深い、許せない、嫌なやつ」と認識している私。
あいつを外側に出さず、「ほんと嫌なやつだな。はいはい、そうなんだね」と俯瞰できる私がいるなら、それは負けじゃない。

付き合っていくほかない。
「ほんと嫌なやつだな。はいはい、そうなんだね」
そう口に出したら、ほら、あいつも疲れて、ちょっと眠りについたみたいだ。

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