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夫がくも膜下出血で倒れた話②

※前回に増してヘビーな内容です。
 辛くなるようでしたら、読まないでくださいね。

今日は、病院の待合室から、手術開始までの話。

①はこちら

病院の待合室で最初に渡されたのは、診察等に関する諸手続の書類。
淡々と書いていくも、手が止まる…

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これ。この1~3。
頭の中にいろいろな状況が渦巻く。
本人に言えないような、何かなの…?

いろいろな話をたくさんしてきている私たち。
でも、こういう話はしたことがなかった。
(改めて今、こういう話、しておいたほうがいいなと考えている!)

どうする?夫はどうしたい?
非常時の冷静なような混乱しているようなよくわからない頭で考える。
でも、きっと夫は、全部知りたがるだろう。
誰に隠しておいてほしいなどとも、言わないだろう。
ということで1に〇をつけた…(夫よ、これでよかったよね?)

無人空間。長い時間、ひとり静かに待つ。
この時妙に冷静になっていた自分は、
当日で会う約束をしていた友人・7日に行う予定だったセミナー受講者へ連絡を入れ、リスケしてもらっていた。
夫の会社の上司やその他夫の関係者で連絡すべき人を頭の中で整理し、
もう少し状況がわかってからどの順番でどうしようかなどと考えていた。
また、様々な情報が入ってくるのがつらくなる予感がして、
SNSなどの通知をオフにしていくなど、
今考えると落ち着きすぎていてちょっと怖くなる…

しばらくして医師に呼ばれ、診察室へ。夫はいない。
「まだ最初の検査をしただけだけど、くも膜下出血と考えられます。
 このあと、脳外科の医師が到着し、必要な造影剤検査を行いますので…」

くも膜下出血。
昔、近所のおじさんが急逝した。その時に初めて聞いた病名だった。
まさか、夫が?それ?

造影剤検査の同意書に記入。また時間が流れる。
今度は脳外科の医師に呼ばれる。

「造影剤検査を行ったところ、やはりくも膜下出血でした。
 救急車を呼ぶ前に破裂を起こし、おそらく病院到着後も破裂しています。
 急を要する状態なので、これからカテーテルを通し、患部をコイルで詰める措置を取ります。」

前年度まで診断書を見ながら諸手続を行ったり、医師に話を聞くことも多い仕事をしていたこともあるせいか、
我が夫のことながら落ち着いて病状や原因、行う措置や伴うリスクなどは聞き取ることができた気がする…
が、とにかく要約すると、

・このままでは命が危ないので、脳梗塞を起こすかもしれないけど、いそいで手術する
・一番最初に考えうる危険は、手術中の破裂(そうは言わなかったけど、手術中に死亡する可能性あり)

ということだった。

「この状況なのでね。ご家族を呼んでいただいてもいいですよ。」
(緊急事態宣言下の当時、病院は面会厳禁だった)

義母へ連絡。すぐ向かうとのこと。
ショックだろうに、私のことを励ましてくださる。
夫の上司へ連絡。

ぐるぐるぐる…いろいろな思考が回り始めた。

もっと早く、気づいてあげられなかったのか?

あの時もあの時も、ひどいことを言ってこなかったか?

たくさん無理をさせてきたから、身体を壊したんじゃないのか?

もう、元気だった夫は戻らないのか?

もしかしたら、救急車が来る前に交わした言葉が、最後になるんじゃないのか?

後悔の念に駆られ、怖くて怖くて、どうしようもなくなった。

看護師さんに呼ばれた。
「ご主人、これから措置に入りますから、顔を見てあげてください」

顔をしかめ、身体を硬直させた夫。

「パパ」
声をかけると目を開けてくれた。
かける言葉が見つからない。
手に触れ、うんうん、とうなずく。それしかできない。

担架が奥へ運ばれていく。

いつも肝心なときに、私は夫に何もしてあげられない。
立ち尽くしていると、看護師さんが待合室に案内してくれた。
肩をさすってくれた。初めて、涙が出た。


…やっぱり長くなる。③に続きます。



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