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気候危機と正常性バイアス

欧州はいま、世界の2倍のペースで温暖化が進んでおり、異常高温の事例も枚挙にいとまがありません。インドでは45℃の熱波で170人近く死亡、パキスタンやイランでも50℃を記録。東京よりも緯度が高い北京では、6月下旬に3日連続で最高気温が40℃を超えました。

日本もまた、近い将来、夏は40℃を超える熱波、そして強大な台風や線状降水帯の発生が常態化する地域となる可能性は否定できません。

本来は日本も気候変動と正面から向き合い、アグレッシブにさまざまな対策を推進しなくてはならないないと思います。しかし世の中を眺めていると、政治の議題にものぼらないし、マスコミも騒がないし、テレビに至ってはあらゆる番組がバラエティ化して中身がスカスカであることは否めません。

世の中をリードすべき政治やマスコミがこんな状態ですから、私たち国民も実にのんびりしたものです。老いも若きもスマホに熱中して、自分にとって興味のある世界以外は存在しないかのような風景です。国もマスメディアも含めて、日本人の多くは正常性バイアスに陥っているのではないでしょうか。

先ほど、「アグレッシブにさまざまな対策を推進しなくてはならない」と書きましたが、気候変動対策=脱炭素や再エネの普及だけというわけではありません。

気候変動がもたらす熱波の影響について考えてみましょう。例えば日中の気温が40℃を超えるような猛烈な暑さが4~5日も続く場合、社会や経済への影響は計り知れないものがあります。

熱波を避けて、だれもが外で活動できるようにするには、日陰や緑を増やす、(特に肉体労働者の人たちは)活動時間帯を昼から夜にシフトする。工場やインフラ設備に断熱、遮熱対策を施す、熱をため込まない素材を開発する…数え上げればキリがない。

こうしたことは、国が気候変動のリスクを先取りして、早め早めに政策やガイドラインとして整備していかなくてはならない。また、私たち一人ひとりも、近年の異常気象に多少なりとも危機感を抱いて敏感にならないといけない。

気候危機は、誰一人として避けては通れません。これから私たちが何を考え、何をしていかなければならないのか、もっと真剣に取り組むべき時代に入っているのではないでしょうか。

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