鳥文斎栄之という男~鳥文斎栄之展@千葉市美術館から
浮世絵で美人画、といえば誰が思い浮かぶか?
この質問に対し、多くの人は歌麿の名前をあげるだろう。
バストショットで捉えられた女性たちの様々な仕草や表情は、まさに彼の観察眼の賜物、とも言えようか。
歌麿が数多くの画家の中でも抜きん出た存在となっているのは、このバストショット、つまり「大首絵」を取り入れ、美人画の新たな境地を切り開いた「パイオニア」としての功績もあるだろう。
そんな歌麿と同時期に活躍した、ライバルがいるのはご存知だろうか?
彼の名は鳥文斎栄之。
海外では、歌麿に並ぶ人気を誇り、作品のほとんどが国外に流出してしまった。
彼の展覧会が今まで開かれて来なかった理由は、ここにあるそうだ。
確かに、ある程度の作品が揃えられなければ、開催は難しい。
西洋美術でも、例えばレオナルドは作品数自体が少ないし、動かしにくいから、一点か二点、目玉になる作品を核に据え、あとはこじつけでも「関連する」他の作者の作品を集めて何とか形にしている印象の展覧会が多かったように思う。
そんな中開かれた、初の鳥文斎栄之の展覧会には、彼自身の版画や肉筆画、そして弟子にあたる人々の作品が併せて約150点集められている。
うち13点は、ボストン美術館からの帰国だ。
千葉まで行くのは一苦労だったが、私自身見に行って良かったと思う。
さて、そろそろ栄之について話そう。
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