『幸せになるための恋のレシピ』~タイトルについてなど

オドレイ・トトゥ主演のフランス映画『幸せになるための恋のレシピ』を視聴。
見終わって思ったことの一つは、
「タイトルの付け方は難しい」
ヨーロッパ映画は特に。
シンプルな言い回しや、皮肉をこめたタイトルがついていることが多い。
特にフランスやイギリスの映画(例:シェイクスピアの庭)は。
しかし、原題を愚直に訳したものをつけても、何人の人を惹き付けられるだろう。

『幸せになるための恋のレシピ』
このタイトルからは、何が想像できる?
レシピというからには、料理がらみか。
レストランなど飲食店が舞台になる?
・・・まあ、まるっきりハズレではない。
主人公の恋人になる男が、レストランで働いていて、作中で主人公が彼に誘われて、彼の店を手伝うシーンもある。
が、流れの一部、エピソードの一つにすぎない。
メインとなる登場人物は4人。
オドレイ演じる画家志望の主人公カミーユ。
貴族出身で、吃音をかかえているフィリベール。
プレイボーイのコック、フランク。
そして、フランクの祖母ポレット。

アパルトマンの屋根裏に住むカミーユは、ひょんなことから、同じアパルトマンに住むフィリベールと知り合う。
冬、インフルエンザにかかった彼女を、フィリベールは部屋に連れてきて看病。
同居人のフランクは、「女が入ると面倒」と最初は反対するし、カミーユともぶつかる。
だが、フィリベールが徐々に明るく前向きになっていくのを見て、考えを改めていく。

男二人に女一人。
ドラマや映画では定番の設定。
だが、そこに片方の男の祖母がからんでくる。
要介護状態になり、施設に預けられていたフランクの祖母ポレットを、物語半ばでカミーユが引き取って一緒に暮らすことを主張するのだ。
反対意見もあったものの押しきり、一緒に散歩したり、レストランでの食事に連れ出したり、最後は彼女の「家に帰りたい」という願いも、実現させる。
帰宅して、愛猫に再会し、その翌朝、彼女は亡くなる。とても、穏やかな表情で。
まさに、「満たされて逝った」。

フランクとカミーユが接近していく一方で、フィリベールも演劇療法を紹介してくれた女性と仲を深め、結婚する。(その具体的なプロセスは見られないが)

最終的には、メインの4人は夢や望みを叶えたり、絆を深めたり、こういった前向きな変化を通して「幸せ」を手にする。
そのプロセスをゆっくり見せるのが、この映画の持ち味と言おうか。

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