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失われた30年・氷河期世代は企業の判断ミスもある

(この記事のみ丁寧語を略します)
日本の失われた30年や氷河期世代の原因はバブル崩壊による不況が原因と言われている。確かにそれは正しい見解だと思う。
しかし内情を見るとバブル崩壊が原因と言えるかどうかは疑問である。確かに不況なのは同感ではあるがこの不況を
生み出したのは政府と企業と言えるのではないだろうか。

バブル崩壊の原因は大蔵省(現財務省)の総量規制とそれから派生した不良債権が原因と言われている。
それにより銀行の貸し渋りや貸し剝がしが発生し就活での不採用や内定取り消し、リストラの多発で
失業者を多く出してしまった。しかし人減らししたのはいいがそれにより残業が増えたので契約社員や
バイト、派遣などの非正規雇用の募集を増やし穴埋めしてしまった。その多くが就職口がないから
やむを得ず契約社員を選んだケースが多く、所謂不本意非正規雇用になってしまった。
その結果日本人の平均給料は韓国以下にまでなったと言われる所以ともなったのである。もっとも韓国でもアジア通貨危機による
IMF管理体制以降は不本意非正規雇用が増えて大企業の正社員のみ給料は日本企業以上になっていて
平均値だけは上がっただけに過ぎないが。

まず銀行の貸し渋りや貸し剥がし、不良債権の多くは大企業や不動産、建設などに限られていた。
その大企業も限られた業種でしかなかった。そして労働生産性を見ても90年代はさほど落ちていたとは言い難く
不採用やリストラは必要なかったのである。ちなみにリストラはアメリカでは一時解雇(レイオフ)に過ぎず時期が来れば
再雇用する可能性があるので日本のリストラとは単なる人員削減でしかない。またアジア通貨危機があったとはいえ輸出は
伸びていたので不況なのは一部職種に過ぎなかったのに大企業がリストラしているからとファッション感覚でリストラしたり
不採用にし、昇給もしなかった結果氷河期世代を生み出し、給与が世界平均を見ても安くなってしまったのである。
またリストラの基準も不透明で単に管理職の好き嫌いや経営陣に言われて人数合わせで選ばれたのではないかと
当方は疑いの目を向けるものである。

さらに契約社員や派遣、バイトを増やした事でパワハラや長時間労働などのブラック労働も増えた。
「お前らの代わりはいくらでもいるんだ」と恫喝してブラック労働をさせたり繁忙期だけ雇ってあとは例によって
「能力主義」を出してきて解雇するケースさえあった。古参の正規雇用も給料が上がらないのと
管理職に叱責された鬱憤を非正規雇用に晴らす事で非正規雇用からは「無能なくせに給与は俺達の倍のもらってる」と
恨まれてしまい、現場を仕切ってる事から正規雇用への逆パワハラやモンスター社員が横行するようになり
刑事事件にまで発展したケースもある。

さらに1997年の橋本首相(当時)による財政改革による消費増税もこの企業の間違った判断も推進した。
これにより消費マインドは低下してしまい、企業は将来が不透明と間違った判断をしてしまい
リストラや不採用を多発させたが上記のようにその見解は間違ってたと言わざるを得ないのである。
まだ住専への公金支援でマスコミからの批判を浴びで不良債権処理では公金投与を渋ったのも企業の
誤った判断を即してしまった。確かに住専への公金投与は批判されたがその後は一時的でも景気は回復した。
つまりこの時またはアジア通貨危機の時に不良債権処理のために公金を投入して米S&L支援のように
公金を投入する代わりに頭取以下を特別背任で逮捕していれば氷河期世代も失われた30年もなかったかもしれない。

不良債権自体は2003年に小泉政権によってすべて処理されたがこの頃の社会への打撃は今も続いている。
株価が35000円以上になっているのに消費が増えないのは上記の理由から派生したデフレによるものだ。
バイデン政権の失政からようやく円安になり企業収益も増えたがそれが消費に結びついていない。
インフレになり賃上げも進んでるのに消費が増えてないのだ。なお消費者物価指数はここ最近は鈍化しており
値上げの傾向はあまり見られない。そして今年のアメリカ大統領選挙では優勢を保っている前大統領のドナルド・トランプ候補が
ドル安を進める政策を行うと表明している。おそらくパウエルFRB議長の解任や利下げを行うのが予想され
そうなれば日米の金利格差は縮まるので円高の悪夢が再現しかねない。これを避ける方法は残念だが存在しない。
そうなると打つ手は消費減税、石油減税でガソリンを含めて減税し消費マインドを上げさせる事で
本当の意味での好景気と税収を伸ばす事だ。決断すべき時は長くはない。


■ソース

90年代日本の生産性は低下したか
https://www.iti.or.jp/kikan51/51wada.pdf

日本における貸し渋り
https://www.yu-cho-f.jp/research/old/pri/reserch/monthly/2002/163-h14.04/163-point.pdf


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