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管理栄養士が教える。妊活・妊娠中の食事(葉酸、鉄、カルシウム)

前回、妊活中の食事の考え方についてお伝えしましたが、もう少し具体的なお話を。

妊活・妊娠中の食事ポイント

  • バランスのいい食事

  • 葉酸、鉄、カルシウムをしっかり

  • 適切な体重管理

妊娠中の食事を厳密に考えると、エネルギー、たんぱく質、ビタミンA、B1、B2、B6、B 12、葉酸、C、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンに関して付加量(いつもの食事よりこれくらい多く食べてね、と厚生労働省が示しているもの)が定められています。
ただこれだけ多いと「ん??で、具体的に何を食べれいいの?」となると思うので、とりあえずは必ず抑えておきたくて、いつもの日本人の食生活で不足しがちな、「葉酸、鉄、カルシウム」を意識する事が大切だと考えています。

葉酸の役割

葉酸はビタミンB群の一種で水溶性ビタミン(水に溶け出るビタミン)です。
主な役割は

  1. 赤血球を作り、貧血を予防する(ビタミンB 12と一緒に働くよ💪)

  2. DNAやRNAの合成を促進し、細胞の生産や再生、成熟を助ける

妊娠中は、循環する血液量が増え、また細胞分裂が盛んなので、いつもより多く必要になります。
特に、妊娠初期には脳や脊髄のもととなる神経管が形成されますが、これには母体が摂取する葉酸の量が重要なカギを握っていると考えられています!(お母さんの栄養で赤ちゃんを育てているので、やっぱりすごく大切ですね。)

一般的に必要な葉酸の量は240μgですが、妊娠を考えている人〜妊娠中の人は+240μg(つまり2倍!!)が必要とされています。
日本人の葉酸の摂取量は一日に平均して288.7㎍なので、平均的には通常の必要量は満たせています。(令和元年国民健康・栄養調査より)
ただ妊娠中は2倍摂らないといけない!というめちゃめちゃ高いハードルが課せられているので、厚生労働省もサプリメントなどで補うことも勧めています。

多く含まれるもの

レバー(ただし妊娠中はビタミンAの過剰症になる可能性もあるので注意。*妊娠中の食べる量が注意なものに関しては、また近々記事を作りますね。)、卵、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、枝豆、アスパラガス、菜の花、そら豆、かぶの葉

zuzuのワンポイント👆

葉酸という名前の通り、緑色の野菜に多く含まれる傾向があります。
私は冷蔵庫にブロッコリーと小松菜は常備し、親子丼に小松菜を入れたり、パスタやスープにブロッコリーを入れたりと、ちょこちょこプラスしています!
ブロッコリーは葉酸はもちろん、食物繊維やビタミンA、Cなど、小松菜は鉄やカルシウムなども多い、それぞれ本当に優秀な食材。アクやクセが少なく、和洋中なんでも使いやすいのもポイントです!(小松菜のクリーム煮やパスタなどもおいしいですよ😋)

鉄の役割

鉄は身体に必要な必須ミネラルの一種で、体内で合成できないので、食べ物から摂らないといけません。

  1. 赤血球を作り、貧血を予防する

  2. 筋肉に酸素を取り込む手伝いをする(鉄が不足すると筋肉が酸素不足となり、疲れが溜まりやすくなる)

  3. 解毒作用を助ける

妊娠中は赤ちゃんの体や胎盤に鉄を貯蔵したり、循環する血液量が増加するため赤血球の量も多く必要になります。(血液で赤ちゃんに栄養を運んでいるので、それは沢山必要になりますよね🤔)だからこそ、妊娠中期〜後期にかけては鉄が沢山必要になります。

20代での鉄摂取の推奨量は6.5mgですが、 妊娠初期では+2.5mg、中・後期では+9.5mg(めちゃめちゃ多くて、これは大変!!😵)の摂取 が推奨されています。 鉄の一般食品からの1日の摂取量は平均7.6㎎と言われていますが、不足している人も多いと言われる栄養素の一つです。(令和元年国民健康・栄養調査より)
注意点としては、鉄は体内からほとんど排泄されない為、内臓に溜まっていくこと。鉄が不足しがちだからといって、サプリメントで大量に摂取すると、中毒症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。

ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄という2種類あります。ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に含まれており、体内に吸収しやすい一方、非ヘム鉄は大豆製品や野菜に含まれており、比較的吸収しにくいと言われています。
なので、非ヘム鉄を摂る際は、ポイントがあります。それはビタミンCたんぱく質と一緒に摂ること。ビタミンCやたんぱく質がの摂取量が増加すると、吸収率が高まることが報告されています。

多く含まれるもの

レバー(ただし妊娠中はビタミンAの過剰症になる可能性もあるので注意)、牛赤身肉、マグロ、カツオ、あさり、卵、厚揚げ、豆腐、納豆、豆乳、大豆、小松菜、ほうれん草、枝豆、きくらげなど

zuzuのワンポイント👆

鉄は、血が多そうな赤身肉やマグロ、カツオなどの赤身魚、豆腐製品、小松菜やほうれん草などに多く含まれています。
私は、豆腐、納豆、卵は毎日取り入れ(木綿豆腐150gで2.3g、納豆1パックで1.7g、卵1個で0.8g)、あさりは時間がある時に砂抜きし、小分けに分けて冷凍して料理によく摂り入れています。あさりは旨みが強いので、パスタやスープに入れるだけでぐんとおいしくなります☺️

カルシウムの役割

カルシウムは、体重の1~2%(体重50㎏の成人で約1㎏)含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルです。骨や歯を作る主材料になることに加え、内臓や筋肉を動かすにもカルシウムが必須となります。

  1. 歯や骨を作る材料となる

  2. 細胞や血液に存在するカルシウムイオンが筋肉を収縮させる(身体を動かしたり、心臓などの内臓を動かすには必要不可欠)

  3. 神経興奮の抑制

  4. 血液凝固作用の促進

赤ちゃんの骨や歯を作るので、とても大切な栄養素の一つですね🦴
1日の推奨量を18~29歳男性で800㎎、30~74歳男性で750㎎、75歳以上の男性で700㎎、18~74歳女性で650㎎、75歳以上の女性で600㎎としています。カルシウムの一般食品からの1日の摂取量は504.9㎎なので、全世代で不足しがちな栄養素!(令和元年国民健康・栄養調査より)
日本人は欧米人と比べて、チーズや牛乳などの乳製品を摂取する機会が少ないので、不足しやすいと言われています。

多く含まれるもの

牛乳やヨーグルトを始めとした乳製品、小魚や干しえび、大豆製品、小松菜、ほうれん草など。

ここでのポイントは、食品によって吸収率が違うので、「何から摂るか」に大きく左右されるということ。

カルシウムは主に小腸で吸収されますが、乳製品だと約40%、次いで大豆製品、小魚、野菜となり、野菜だと吸収率は20%程度まで下がってしまいます。*1)また牛乳や乳製品に含まれるカゼインは吸収率を高める一方、ほうれん草などに含まれるシュウ酸や、豆や穀類に含まれるフィチン酸、万能なイメージの食物繊維、ステロイドなどの薬はカルシウムの吸収を阻害してしまいます。
その他、ビタミンDやクエン酸もカルシウムの吸収を助けてくれる食品です。

尚、更年期以降はエストロゲンという女性ホルモンが少なくなることで、カルシウムの吸収率がより下がってしまうので、骨粗鬆症などのリスクが高まります。だからこそ今のうちにしっかりとカルシウムを摂る事が大切なのです。(栄養士っぽいキレイ事かもしれませんが…..)

*1)https://www.j-milk.jp/knowledge/nutrition/berohe000000oedv.html

zuzuのワンポイント👆

カルシウムは、乳製品や、骨まで食べられる小魚、大豆製品に多く含まれています。
私は、ヨーグルトは朝食に食べるようにしています。またピザ用チーズやしらすは冷凍庫に常備しておき、普段の料理にちょこちょこ足しています。ただ乳製品は脂肪分が多いので、極端に多く食べ過ぎるのは注意してくださいね☺️(本当に栄養って、これだけ食べればOK!というものがなく、これを摂りすぎるとこれが多過ぎてしまう、みたいなシーソーのようなイメージです。だからこそ、色んなものを食べる=つまりバランスよく食べるのが大切なのか、というのをつくづく実感します。)

厚生労働省も資料を出しているので見てみてくださいね☺️

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/210331_sukoyakana_book2.pdf

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/180331_ninsanpu_recipe1.pdf

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