パルマでマヨルカ島発祥の豚脂パンことエンサイマーダを食べる人(後編)
スペイン、マヨルカ島を旅している。アルクディア外れの街ともお別れである。余談だが、ホテルの朝ごはんが美味しい。ビュッフェ形式がスタンダードぽい。スペインはパンが美味しくてパン好きにとってパラダイスだ。ハムやチーズでオリジナルサンドイッチを作るのにハマった。生憎の円安。朝腹パンにすることで節約にもなる。
比較的リーズナブルなホテルのはずなのに朝食が良いと上がる。宿は素泊まりではなく朝食付きプランを選択したのだが、毎朝、宿泊者かの確認すらもされなかった。プラン選択の意味はないのかもしれない。
宿に別れを告げ、バスに乗ってパルマへ。のどかな街並みが、徐々にシティになっていく。人も一気に増えた。パルマは都会すぎた。観光客が多めの大都市だ。離島みはもはやない。明るくて緩い雰囲気はとてもいいけれど、田舎の島を感じたかったので少しイメージとは違った。これは下調べの問題であり、パルマはとても楽しい。
ヨーロッパの街並みは、都市によって色味が異なるなと思うんだけど、パルマは土色っていうのかな。ベージュの街だった。ちなみに、ウィーンは白で、ベルリンはメタリックグレーで、パリは金と緑って感じがしている。チェコはクリーム色かオレンジか悩むな。
パルマ大聖堂へ。このまちのシンボル、見どころオブ見どころ。1230年に建設が開始され、完成したのが1601年。その後の改修工事では、ガウディ先生も関わったらしく、ついにガウディを見れるのかと胸が高まる。
中は広くて光の技が効いてて、ステンドグラスから光が舞い込むんできてた。かっこいい。神聖。ヨーロッパが五感に降り注ぐ。教会は、見すぎると全部同じに感じて天使がゲシュタルト崩壊するんだけど、相変わらずすき。こころがスゥっとする。
天井のたっかいたっかいとこまで装飾が細かい。芸が細かい。これを遥か昔にやってたなんて、想像つかない。首が痛くならないのか。なるよな。てか、離島だった。離島にはるか昔にこんなの作っちゃったの?私は作ってる姿がみたい。完成した時の街の沸き立ちを感じたい。リアタイの様子を見たいもんですね。首も心配だし。
パルマ大聖堂は、チケット入場料がいるよ。他の場所でも幾度か試したのだが、スペインの観光地や電車のオンラインチケットは、スペインのクレカじゃないと決済できないことがほとんどで、窓口で買った。なにそのクソ仕様。旅行者があらかじめ買うという計画性を舐めんなよ。逆に外国人クレカからじゃんじゃんお金を取ろうとしないのか。打開策があるのかもしれないけど、最後までそうだったのでご注意ください。序ガウディかっこよかった。
スケールでかすぎに建築に加えて快晴。天気が良いとなんでも8割増しでよく感じる。太陽つよすぎ。
パルマ大聖堂からは、遠くに海が見えて見晴らしがいい。このあたりを散歩するのも絶対たのしいけど、絶対に、近いようで意外と遠いやつだ。かかなりの疲れとトレードオフが確実だからやめた。見どころっぽい城もUberで40ユーロくらいでいけたのだが、しんどくて断念した。たいりょくだいじに。
40ユーロと30分くらいを諦めたせいで、再びここに来るためには数十万円と数十時間がかかる。そう思うと旅の選択は難しい。ただ、しんどい中で見たものは心に残らないのだ。余裕を抱いて生きよう。
パルマはエンサイマーダ発祥の地らしい。
見たことも聞いたことある気がするけど、食べたことはないエンサイマーダ。知ってると思ってるけど、パン・オ・レザンとごっちゃになってるかもしれない。カタツムリ系のやつだ。
エンサイマーダはスペイン語で、「豚の脂」という意味らしい。なかなかいかつい名前だ。“〇〇という意味”の名前シリーズってさ、外国語話者である私達にとってはおしゃれな響きに聞こえてるので、意外性のみを享受すれば済むわけだけれど、
現地だと、ダイレクトに「豚の脂」って意味が脳細胞を刺激するわけだよね。その場合でも食欲が湧くのだろうか。「豚の角煮おにぎり」みたいなもんかな?なら美味しそうだからいっか。
「豚の脂」は、その名の通り、ラードがたっぷり使ってある。バターの代わりにラードを練り込んであるんだとか。パン好きベイク好きとしては脳死で見た目買いしたのだけど、風味が全くないベタッとしたドーナツって感じだった。食感はいいんだけど味がしない。これが正解エンサイマーダなのか。これなのか。(つまりあまり味は好きではない)
賑わってる美味しそうな店だし、皆エンサイマーダを箱でガンガン買っている。共に買ったスパイスケーキは美味だったので、きっとこれが正解なのだろう。これがエンサイマーダだ。バターの風味がしそうな見た目だったから、若干個人的には出オチだったのだが、本場で食べられたという満足度がカバーしてくれた。
二子玉川に、マヨルカというベーカリーレストランがあって、エンサイマーダも売っているとのこと。いつかリベンジしたい。日本人好みにアレンジされマーダを食べるために、舌鼓を持参する。
ビーチ沿いと違い、パルマ街中はさすがにレストランの選択肢が豊富なため、店もピンキリそうだ。Google マップと入念に相談して入ったレストランは、ビーチ沿いの大味な料理と違い、繊細なこだわりが感じられた。ジャパニーズタコスという名のメニューは、和もメキシコもスペインも感じなかったが美味しかった。焼肉を石の器で焼いてもらって、タコスの皮で巻いて食べた。
パルマは明るくていい街だった。
住むにはよいだろうな。都会だけど大都会すぎないし、殺伐としてないから。暖かい場所特有の、全員がうっすらと微笑んでいる街。パルマ確認完了。郊外のビーチ沿いのホテルへ移動する。
違うビーチ沿いの街に来た。旅で楽しいのは街並みを見ること。1つの島の中で3つ4つと違った雰囲気を味わえるのはお得に感じる。一島四町。
この島の店員さんは基本みんな優しい。笑顔で話しかけてくれる。気候のいい観光地で海を見ながら働いてたら、イライラする方が人生損だよな。人生いろいろ合ったとしても笑顔が多くなるのかもしれないね。観光イカスミパエリアを食べました。コメコメしてなくてソース感が強い。すっごい美味しいけどしょっぱい。確実に白米に合う。
このビーチには修学旅行のような雰囲気の少年少女がたくさんいた。スポーツチーム合宿に選ばれがちなの実用的な場所なのかな。空港が近いからか、いろんな人がいる。いろんな意味で。全体的に少し雑多に感じた。最初に泊まった場所のほうが、裕福で小綺麗だった。売っているものやレストランの雰囲気は変わらない。金太郎飴。
思えば、ヨーロッパで初めてリゾート地に行った。きっと、サントリーニ島などに行けば、もっと完璧なリゾートが楽しめるのだろう。そう、テーマパークのような。ここ、マヨルカ島では、リアルに息づいた生活が感じられる。地に足ついた、生きている島だ。人々の生活観察が面白い。庶民派リゾートっぽいこの島がとても好きになった。
また、地中海で泳ぐと言う夢も叶った。ノープランでここまできた甲斐しかない。甲斐だけがある。願わくばビーチで一日ごろごろして、ヨーロピアンのリゾートの典型的な過ごし方も試してみたかった。だが、せっかくこんな遠いところまで来てるんだから、いろいろ見たいという典型的な日本人旅行モードが今回は勝った。あと、6月に丸一日海はまだ若干肌寒い。次回もしここに訪れることができたなら、夏にダラダラダラダラしようと思う。来世でも可だ。
マヨルカの観光を調べると上位に出てくる世界遺産の鉄道と、絶壁に囲まれた絶景ビーチみたいなやつには行けなかった。これでマヨルカを旅した気になっていいのか、少し不安だが、自分軸の満足指数としては十分すぎる。
日本から来るのはいかんせん遠い。加えて日本には素敵なビーチも多いため、マヨルカの推し指数は悩ましい。
だけど、ときにはこんなに遠くまで流れ着いていいと思うんだ。価値観のイメチェンだ。ヨーロピアンの余暇の楽しみ方をインストールするのだ。老後も水着着てビーチではしゃいでいいんだって感じさせてくれる。そりゃいいよね。だめなはずない。好きにしたらいいに決まってるのに、価値観が閉ざされてたな。
またここでダラダラダラダラしたい。ダラダラダラダラダラダラダラダラしてたまに仕事したい。実態は、結構仕事してた。だが主に仕事しても体感はダラダラダラダラに感じられるところがいい。
最後の最後にUber呼べなくて焦った上に、謎のキャンセル料30ユーロくらい取られてめっちゃ萎えたけど、レストランの優しいお兄さんがタクシー乗り場を案内してくれて、空港までタクシーで行けた。旅立つことができた。
ユーロを円換算したら負け。円で考えずに現地のテンションでユーロにくじけない。ユーロはユーロのまま私の中を通り過ぎてください。
スペイン、マヨルカ島の旅終わりー。
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