うみ
海を見ていると、私がどこかへ消えてしまいそうになる瞬間がある。
呼吸することも忘れて、まるで生きていることを手放してしまうような、そんな瞬間に出会う。
青黒い海のうねりに吸い込まれるように。
私たちは海から生まれてきたのだから、故郷にかえりたいという想いがどこかにあるのかもしれない。
小さい頃の私は、海はどこか別の世界につながっているのだと信じていた。
私が海を通して見ていたのはどんな世界だったのだろう。
きっと、あの世界。
このいのちをまっとうして、また海に還るその日まで、私はなにをしよう。
海と同じくらい、いや、海以上に、美しいものたちにたくさん出会いたい。
光になりたい。
海にぷかぷかと浮かぶように、今宵も私は眠る。
またあした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?