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【井戸尻考古館】春の縄文体験レポ(2023.5.5)

はじめに

 富士見町の井戸尻考古館では恒例のイベントのひとつに、春と夏に「縄文体験」があります。本年は2019年以来となる春の縄文体験が5月5日こどもの日に行われました。
 大型連休後半の天気の崩れが心配されていましたが、晴天に恵まれ、近隣から多くの人が訪れていました。そんな井戸尻の縄文体験イベントを紹介いたします。

富士山も見えています

春は4年ぶりの開催

 春の縄文体験ですが、例年5月5日こどもの日に開催してきました。ただし数えで7年に1度の諏訪大社の御柱祭がある年には開催していません。
 さて、2020年、2021年と2年間は感染症対策のため中止になりました。2022年は御柱祭のため開催はありませんでした。そうしたことから、2023年5月5日は、2019年以来4年ぶりとなる春の縄文体験となりました。

雰囲気はこれまでと変わらない素朴なチラシ

縄文体験、ぼろ機織り体験

 内容としては、大幅に変更されることはありません。おなじみの飾り玉づくり、丸木弓の的あて、火起こし体験が中心です。今回は新しく、土器の拓本づくりができるようになりました。
 大人がはまる黒曜石の矢じり作りですが、こちらは夏だけの体験プログラムで春にはありません。
 もちろん井戸尻考古館と歴史民俗資料館の入館は無料です。
 大型連休も終盤で、近くへ出掛けて過ごそうという家族連れが多かったせいでしょうか、それとも久々の春の縄文体験だったからでしょうか。これまでより大勢の方が来ていたようです。

考古館の中も賑わってます

飾り玉づくり

 芝生広場の大きなテントは飾り玉づくりのテントです。中にテーブルが並んでいます。教えて下さるのは、普段は出土品の整理や記録などをされている職員のみなさんとH学芸員です。ほかにスタッフとして有志のお手伝いが加わっています。

各々が制作中の飾り玉づくり

 今回も筆者は飾り玉を作りました。

さりげなく勾玉っぽい見本が置いてある

 飾り玉はテーブルに座って、ロウ石と呼ばれる、やわらかい石をけずり形を作ります。形ができたところで砥石で磨いて、紐を通すための穴を開けて完成というのが大まかな流れです。

作り方の説明

 テーブルに着いたら石を選んで、ひたすらザラザラした鉄平石の石盤で削り形を作っていきます。定番の勾玉型、丸型、三角錐など思い思いの形に削ります。どこに穴をあけて紐を通すか、イメージして削るのがポイントです。薄いと穴あけの時に割れてしまいます。また、ロウ石は天然の石のため、削っているあいだに模様が出てきたり、磨くと色合いが変わったりします。そんなことも楽しみ方のひとつです。

テーブルでひたすらロウ石を削るのです

 さて、筆者のロウ石です。削りこんで三角に近くなりました。少し大きめの石を選んで、勢いよく削っていったほうが、イメージに近いものが作れるように思います。削れた粉で白く汚れますので汚れてもいい服装で来るのがよいです。

削り作業中のロウ石

 形が出来たら水をつけて砥石を使います。実は勾玉のようなカーブを作りたかったのですが、深いカーブを作れませんでした。

砥石で磨き途中

 砥石で磨いて大体になったら、黒曜石を先端に取り付けたキリで穴を開けます。画像はありませんが、スタッフの方が押さえていてくれるので黒曜石を取り付けたキリでぐりぐりと穴をあけます。
 見事に穴が貫通したら、紐を通して完成です。スタッフに頼むと「勾玉縛り」とでもいうのでしょうか。それらしい結び方で紐を結んでもらえます。これで完成です。

筆者の飾り玉、もう少し磨けばよかった

 貫通しても紐を通すと強度不足で割れる可能性があります。もしも割れた場合には土器の接合でおなじみの業務用(?)セメダインCで復旧させることになります。

土器の拓本づくり

 土器の拓本づくりは隣のテントです。本物の土器の破片を使ってハンカチ大の布に文様を写し取るというものです。井戸尻応援団の皆さんが教えて下さいます。筆者は作っていませんが、応援団の方にお聞きした内容で紹介します。

土器の拓本づくりのテント

 こちらが拓本に使う土器片の一部です。ここから出た実際の土器とおっしゃっていたので曽利遺跡のものでしょうか。

本物の土器片

 そして、こちらが用意されているハンカチくらいの大きさの布です。これを霧吹きでぬらしてクレヨンで土器の文様を写しとっていきます。完成したらスタッフの方にアイロンをかけてもらって完成です。アイロンの熱で乾くと2,3回は洗ってもクレヨンが落ちないそうです。

拓本用の布
作業のテーブル

 一枚の布で3つくらいは拓本が取れます。色を変えてみると面白いと思います。受付のテーブルの前に見本の作品があります。

見本の作品

丸木弓の的あて

 考古館の建物の裏では、丸木弓の的あてをやっています。子どもたちはもちろん大人たちにも人気のコーナーです。段ボールで作った動物の的目掛けて弓を放ちます。
 ちなみに昨年夏はこちらで弓の担当をされていたH前館長は定年延長満了で退職されたとのこと。学芸員を長く勤め、3代目館長としては気さくでありながらも厳しい姿勢で考古館を守って来られました。たいへんにお疲れ様でした。

挑戦中の子どもたち、手前は縄文農耕の畑

 それにしても獲物たちは手作り感満載で、味があります。鹿は仲間が増えて2匹になっています。イノシシはボコボコになってもまだ現役。ラスボスのヒグマは健在。キツネにウサギもいます。

獲物たち
弓はイチイの木、矢は市販の弓道用のもの

 筆者も挑戦しました。コツをつかむと面白いように飛びます。数回目で、見事命中しました。弓は糸の張りがやわらかいものを選ぶのがコツです。それにしても、穴だらけで満身創痍の鹿さんです。

今夜の夕飯

火起こし

 リクエストがあれば火起こしもできます。チャレンジしているグループがいました。
 もみ切り式というやりかたで、木をこすりつけます、摩擦熱を上げていきます。なかなか難しく、S学芸員によれば、4組が挑戦して実際に火を起こせたのは2組だったそうです。ちなみに学芸員は数分以内で火をおこす能力を求められるようです。

挑戦中の親子たち

ぼろ機織り

 歴史民俗資料館の中では、紅蓮織りの会のみなさんの指導による機織り機を使った、ボロ織り体験をしています。

歴史民俗資料館
ボロ織りの受付と土偶柄の作品
製作中のみなさん

 古い布を裂いた紐を横糸にして、布を織ります。だいたい一人30分の時間で15センチの幅の布を織る体験です。会場の後ろには、紅蓮織りの会の作品も多数展示されていました。織った作品ですが、後日受け取りに来るか、郵送(200円)してもらいます。

おわりに

 以上、井戸尻の春の縄文体験を紹介しました。次回夏の縄文体験は2023年8月5日(土)、6日(日)の2日間の予定です。
 予約不要、参加費もすべて無料ですので気軽に遊びに来るのはいかがでしょうか。

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