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◆M&Aマッチングサイトとは?その特徴、使用方法、利用料金についてご説明

 中小企業・個人事業の経営者が会社や事業の売却を検討される際、M&A仲介会社や金融機関、税理士・会計事務所にご相談をされるかとおもいます。

 そして、ご自分でも書籍やインターネットで、事業承継・M&Aについてお調べになるかのではないでしょうか。

 その中で、M&Aマッチングサイトというページに行きつくことはありませんか?

 読んで字のごとく、「M&A」を「マッチング」させるサイトというのは何となくご想像できるでしょうが、M&Aマッチングサイトとは具体的にどのようなものなのでしょうか?

 今回は、M&Aマッチングサイトについてのご説明を致します。

◆M&Aマッチングサイトについて

 ここでは、M&Aマッチングサイトの概要と、その特徴、売り手側、買い手側に立った使用方法、サイトを利用する上での料金についてご説明します。

・M&Aマッチングサイトとは

 近年、M&A市場が活況であるという事はご周知のところかと思います。

 会社や事業の売却を実行するには、M&A仲介会社や金融機関、税理士・会計事務所にサポートしてもらい譲渡契約締結に至るというのが一般的です。

 しかし、会社や事業の売却を検討している経営者が、インターネットを通して事業承継・M&Aを独自で行うためのプラットフォームが存在します。

 それが、M&Aマッチングサイトです。

 売り手先も買い手先もこのマッチングサイト内で交渉を行いますが、トップ面談や最終譲渡契約の締結は、もちろん対面で行います。

・M&Aマッチングサイトの特徴

 M&Aマッチングサイトの特徴を、ご紹介します。

・中小企業・個人事業でも利用可能

 中小企業・個人事業の経営者でも利用可能です。

 M&Aマッチングサイトは大型のM&A案件を成立させるだけではなく、中小企業・個人事業の経営者が、独自に会員登録し買い手先、売り手先を探索します。

 M&A交渉においての安全性を保全するために、会員登録するにあたっては、商業登記簿謄本などの本人確認資料のアップロードが求められ、それらの資料を元にサイト運営側で審査をします。そして、無事に審査が通れば、サイトの利用ができるようになります。

 また、マッチング候補先と実名での交渉に入る前には、M&Aマッチングサイト利用上の機密事項を厳守させるために、秘密保持契約もオンライン上で締結することになります。

・匿名での交渉が可能

 売り手側も買い手側も匿名での交渉が可能です。

 事業承継・M&Aの情報は、非常に機密事項が多いので、実名交渉や詳細情報の提示は、細心の注意を払う必要があります。

 後に詳細を掲載しますが、M&Aマッチングサイトでは、買い手先、売り手先の探索や、簡単なメッセージ交換の段階では、お互いに匿名(ノンネーム)で交渉を行うことが可能です。

 実名交渉(ネームクリア)に移るタイミングは、両者が合意すれば可能となりますが、今までやり取りしてきたメッセージの内容や交渉にあたっての前提条件をよく理解して、ネームクリアするようにしましょう。

・交渉対象やニーズの設定

 売り手側、買い手側ともに交渉対象やニーズの設定が可能です。

 例を挙げると、交渉の申し込みについては、法人可、個人不可や、希望地域(都道府県や市区町村)、事業規模、業種、希望売買金額など様々な交渉対象やニーズの設定が可能です。

 売り手先であれば、設定対象外の買い手候補からのアプローチは不可となり、買い手先では、サイト側よりニーズにマッチした売り案件情報をメールでもらうことができます。

・コストメリット

 売り手先、買い手先が独自に登録して案件であれば、M&A仲介会社を通さないので、M&A報酬はかかりません。

 後述するM&Aマッチングサイト利用料金のところで詳細をご説明しますが、M&A仲介会社を使わずに譲渡契約を成立できれば、サイト利用料金以外の支払いは発生しません。

・マッチングが早い

 交渉対象やニーズの設定により、希望に沿った相手先を発見しやすいです。

 初期段階で交渉対象やニーズを絞っているので、交渉もスムーズに進行する事が多く、早ければ2~3か月で譲渡契約の成立に至ることもあります。

・M&Aマッチングサイトの使用方法

 では、具体的にM&Aマッチングサイトの使用方法についてを売り手側、買い手側に分けてご説明します。

※どちらも会員登録が済んでいることを前提にご説明します。

・売り手側の使用方法

 まずは売却・譲渡したい会社や事業の情報を登録します。

登録情報としては、

  • M&A案件名ー「駅から徒歩5分、生徒数100名以上の学習塾」など

  • 交渉対象ー法人可、個人不可など

  • 財務情報ー売上、営業利益、固定資産、負債、資本金など

  • 売却希望価格ー5,000~6,000万円など

  • 業種ー学習塾、飲食店など

  • 従業員数ー50名など

  • 所在地ー都道府県、市区町村など

  • 譲渡対象ー株式売却、事業譲渡など

  • 譲渡理由ー後継者不足のためなど

  • 売却希望時期ー半年以内など

  • 事業の強みー地域密着経営により~など

 情報登録はしますが、マッチングサイトに掲載される際は、概要で表示されます。

 例)営業利益の入力した数字が2,000万円であれば、1,000~3,000万円 など従業員数だの入力した数字が45人であれば、50名以下 など

 勿論、案件名のみの表示で社名は表示されません。

 案件情報の入力後、サイト側に登録申請することになります。
サイト側の審査が終了し申請が下りると晴れてM&Aマッチングサイトに掲載されます。

 その情報を見て、買い手側からサイト内でメッセージが届き交渉が開始されます。

こ の時点では、お互いに匿名交渉となります。

 交渉は複数先となる可能性が高いですが、相手の求めている条件をよく吟味して交渉先を選択しましょう。

 また、サイト内での資料の添付送信も可能です。

 交渉も進み、お互いにトップ面談(直接交渉)を希望されたころには、両者とも実名(ネームクリア)交渉に入ります。

 ここからは、詳細をより詰めた交渉となり、売り手側も財務書類や取引先情報、社員情報など、秘匿性の高い書類のやり取りが行われます。

 両者の最終条件も整い、お互いの合意が成立しましたら、最終譲渡契約を締結しM&Aの手続きは完了です。

 そして最後に、M&Aマッチングサイト運営側に最終譲渡契約書のデータを添付送信し、終了となります。

・買い手側の使用方法

 匿名で掲載されている案件情報に対してサイト内のメッセージツールを使用し、先方にアプローチします。

 また、予め譲渡ニーズを登録しておくことによって、サイト側からニーズに合った案件情報をメールでもらうことも可能です。

 そして、譲受ニーズの登録だけではなく、公開もしておくと譲渡希望側からアプローチを受ける可能性もあります。

 アプローチ先は複数でも構いません。

 その後は、前述の売り手側の使用方法と同様、サイト内のメッセージで大まかな条件が合う相手と実名交渉に入り、最終条件を整え、最終譲渡契約の締結となります。

 売り手側と決定的に違うのはこの後です。

 最終譲渡契約書をM&Aマッチングサイトにデータ送信後、多くの場合、M&A成約料金が発生します。

 これについては、次のM&Aマッチングサイトの利用料金で説明します。

・M&Aマッチングサイトの利用料金

 一般的にどのM&Aマッチングサイトでも、売り手側も買い手側も会員登録料や、月額利用料金はかかりません。

 そして、売り手側は最終譲渡契約が完了した後も、サイト側への報告義務があるものの、利用料金は一切かかりません。

 料金が発生するのは買い手側である事が一般的です。

 最終譲渡契約の完了し、サイト側に案件成約の報告をすると成約料金の請求書が届きます。

 サイトによっても違いはありますが、売買金額の2~5%が相場です。

 M&Aマッチングサイトに支払う料金について、注意すべきところは、売り手側であっても成約の報告義務を怠ると遅延金や罰則金が発生します。

 買い手側ももちろん、報告義務を怠ると、成約料金のほかに遅延金や罰則金が発生するの場合が多いので、ご注意ください。

◆まとめ

 以上、M&Aマッチングサイトについてご説明しました。

 各サイトごとに使用方法や、料金体系が若干異なりますが、共通している個所をご説明しました。

 ご利用を検討されるのであれば、ご利用方法や料金体系を比較して会員登録することをおすすめします。

 また、弊社に事業承継・スモールM&Aのご相談をされるお客様の中には、ご自分でM&Aマッチングサイトを利用して売却を試みたが、相手先との交渉が上手くいかず、弊社にM&Aアドバイザーに立って欲しいとご依頼される方が多くいらっしゃいます。

 事業承継・M&Aは専門的な知識もかなり必要となるので、ご自分では難しいと判断されましたら、お気軽にご相談下さいませ。

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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