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高校生の私が、先生と付き合った話7

それからしばらくは学校で鈴木先生を見かけるとドキドキして、ふとした瞬間には彼と別れたことで心が沈んでの繰り返しの日々でした。
(なんだかんだで思い出してしまう)



5月中旬。
鈴木先生の体育の授業がある日。
朝から心がどんよりしてしまい、とてもじゃないけれど授業を受ける気が起きず・・・体育の授業は見学させてもらうことにしました。

まるで抜け殻のようなわたしはイスに座ってボーッとするしかできません。
そうするとさらに憂鬱な気分になっていきました。


自分の気持ちに気づいてから数日経ち、鈴木先生を目で追いかけているとドキドキする反面、『先生を好きになるということは、無謀なことなんだよなあ』とすごく冷静に考えてしまう自分がいました。
いつかわたしの気持ちを伝えたいけれど、それを機に避けられるようになったり迷惑がられる可能性も大いにあります。
そんなの耐えられるんだろうか、叶わないと分かっている恋なんてしないほうが良かったんだろうか?そんなことばかり考えてしまいます。


『本当に後悔はない?』
まだ何も始まってもいないくせに、この考えがチラついて、ブレブレな自分が情けなくなって涙がこぼれました。


泣いているところをクラスメイトに見られたくなかったので、お手洗いにいく感じで席を立ち、みんなからは見えない体育館の入口のところでうずくまり泣きました。
早く戻らないといけないのに、涙が止まりません。



「大丈夫か?」
後ろから声がして、振り返らなくてもすぐに鈴木先生の声だと分かりました。
続けて「どうしたの、何かあった?」と声をかけてくれましたが、泣きすぎてまともに返事もできませんでした。

鈴木先生はソワソワしながら、「落ち着くまでここでゆっくりしてていいから。もし話を聞いてもらうことでラクになるようなことだったら聞くし。役不足じゃなかったらだけど」と言いました。

「ありがとう、心配ないです」という意味を込めて、指でマルを作ってみせました。
「大丈夫そうには見えないけど・・・」と鈴木先生は言い、わたしの前に立っていました。わたしが落ち着くまで、何も言わずそこにいてくれました。

やっと落ち着いてきたわたしを見て、「なんかつらいことあった?」と聞いてくれました。
「つらいというか・・・彼氏と別れたというか」
「ああ・・・そうか」
それならその落ち込みようは納得だという感じでした。

「振られることなんて生きてたらたくさんあるもんだ」
鈴木先生は屈伸したりして落ち着かない様子でしたが、一生懸命慰めようとしてくれました。
「わたし、振った側なんですけど・・・」
そう言うと、キョトンとした顔をしました。
「あ、そうなの?じゃあそんなに落ち込むことないんじゃない?」
「そうなんだろうけど・・・ブレブレな自分に腹が立つし情けないなって思って」
「ブレブレって?」
「わたしの決心がってことです」
「決心って?」

鈴木先生が話を聞いてくれることが嬉しくて、ペラペラと話してしまいましたが、こればっかりは言えません。

「今は言えないのでいつか話します」
じきにチャイムが鳴ってその日の授業は終わりました。


わたしの決心の内容は伝えれていないけれど(伝えたら告白したようなものだし)、鈴木先生と少し話せたおかげでやっぱり好きだなぁと実感し、ブレていた心も持ち直せました。












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