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お賽銭は五円でいいのか?

1、お賽銭

お賽銭の起源は正確にはわかっていませんが、"おひねり"が社会の流れの中で多様性を帯びて、金銭を入れるようになったのではないかと考えられます。

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"おひねり"は、白い紙に洗米や銭を包んでそれを捻ったものをいいます。

大昔は、米を捧げて祈るのが通例でしたが、米が当たり前に手に入り、金銭が広く普及するとこれが変化し賽銭となったといいます。

歌舞伎で投げたり、上棟祭(上棟式)でもおひねりを餅と一緒に投げたり、そもそも金銭を餅の中に入れて投げるという風習もあり、神を祀る日本人の生活の中に多様化して息衝いてきました。

また、他にもお金のかわりに酒を奉献して拝むという風習は今でも行われています。

2、紙幣を納める時は熨斗袋を使うとよい?

1,000円程度でしたらそのままお賽銭箱に入れて良いですが、5,000円、10,000円以上になる場合は熨斗袋に入れてから賽銭箱に入れると尚良いかもしれません。

特に10,000円になると高額ですから、神社側としては是非、お礼状をお出ししたいと考えます。熨斗袋に住所とお名前を書いて貰えると神社からお礼状を送らせて頂くこともあります。

※神社により見解が異なります。

※3に続く

3、熨斗袋(のしぶくろ)

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熨斗袋の"のし"というのは、"のしあわび"が語源です。写真の右上を見て頂くとスッと伸びた黄色い紙がが付いています。これが、熨斗にあたります。

中央で結ばれている紅白のものは、水引(みずひき)といいます。

昔は、本物の"のしアワビ"が添えられておりましたが、これも時代と共に変化しています。高級品である海産物のアワビを模倣することで、気持ちを表していたともいえます。

神社で熨斗袋を使う場合は、玉串料、或いはお賽銭に入れる際はお賽銭と書いて頂いても間違えではありません。

また、この熨斗袋は使わなくても構いません。白い半紙などに包んで入れても良いですし、何も包まずそのまま入れても間違いではありません。

お賽銭は、気持ちです。

4、五円でいいのか?

さて、本題の五円についてですが、語呂合わせで"ご縁があるから五円"を入れないといけない、と思っている方が多いようです。

この語呂合わせは、まったく根拠のないもので、日本で昔から伝えられてきたような古い俗信でもないようです。

お正月に授与所に居ると、五円玉に両替して下さい、という場面がよくあります。

神社によって考え方は違うかもしれませんが、これははっきりいって作法としては失礼と言えるかもしれません。

出雲大社さんの公式HPにこのような回答例が掲載されていますが、全国の神社でもまったく同じことが言えます。

※5に続く

5、お賽銭の正しい金額は?

出雲大社さんが回答されているように、お賽銭の金額は”語呂合わせで左右されるもの”ではありません。

では、いくらだったらいいのか?

この問いに明確に”●●●円”です、と答える神社はまずありません。お賽銭とはあくまでもそのお金を納める参拝者の気持ちだからです。

あえてお答えすると、私が日頃実践していることを紹介します。

この5円、この100円、この500円、この1000円を入れると、今日、明日の生活が厳しくなるが神様に感謝の気持ちを伝えなければ!!と思えるくらいが丁度よいかもしれません。

最近、私は大好きだった缶コーヒーを我慢して、神社に来るとまず100円玉を入れて朝拝するように心がけています。

こうすることによって、健康な身体と心を保って清々しく朝を過ごせるようになったような気がします(あくまで自己満足かも笑)。

ちなみに、旅行や出張先で神社に立ち寄った際は、1,000円札をそのまま納めています。行く機会が多いので、心と相談しつつ実践中です(苦笑)

6、修繕・維持の視点(神社管理)で考えてみる

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神社の管理運営には、多額のお金が掛かるのも事実です。神社の社殿は特殊な造りをしている分、少しでも破損などが発生すると多額の資金が必要になることも珍しくありません。

特に、無人の神社や、田舎で一人神主の神社では、年々厳しい状況になってきているということがいえます。

少しだけタブー的な話になるかもしれませんが、現実に起こっている問題を知ってもらう方法として、五円×年間の参拝者数で計算してみて下さい。

田舎の小さな神社では年間の参拝者数は1,000人〜10,000人、或いはそれより少ないところも沢山あります。

仮に1万人だとすると、年間のお賽銭は5万円。これで年間のお祭りや社殿の修繕、維持を行なっていくのは明らかに難しいことがわかります。

これが百円だったらどうでしょうか。少しでも神社の力になりたい、と私も日々考え実践することにしています。

あとは、参拝する人の気持ちが一番大切です。

7、キャッシュレス決済

電子マネーのお賽銭や御守、御神札も話題になっていますが、これにはメリットとデメリットが存在します。

メリットは、無人の神社の賽銭泥棒対策ができる、維持費として必要な賽銭が増えれば、管理運営の円滑化が望める可能性がある。デメリットは、神社の伝統的、宗教的な意義の喪失と税法上の論争が起こるかもしれないということです。

特に宗教法人は、お守りや御神札を授与する際に消費税が課せられておらず、固定資産税等も免除されています。ただし、あまり知られていませんが、お守りや御神札を作成する費用は消費税が課せられているのできちんとお支払いしています。他にも、神職は一般のみなさんと同じように給料その他全ての税金がかかります。

消費税がかからないのは”神社”という法人に対する固定資産税や神社の授与品、ご祈祷料、賽銭などです。

電子マネーで問題視されているのは、”手数料”が発生するという点です。これによって取引とみなされて発生するのではないか、或いは法改正等によって神社にも税金が課せられるようになるのではないかということがいわれています。

どうなっていくのか、難しい問題ですが、課税となれば地方の田舎の小さな神社はかなり厳しい状況になります。神社も格差社会です。。。

これから注視していきたい問題ですので、電子マネーについてはまた今度、詳しい記事を書きたいと思います。

ご拝読ありがとうございました!







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