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サウナ内テレビの「思わぬ落とし穴」とイイ話

「チャンネルは変えられません」

張り紙が貼られたテレビがサウナ室内によくある(チャンネル抗争が絶えなかったのだろうかと想像してしまう)。

いつもウッチャンが出ている

サウナの熱にじりじりと耐える女たちが、一斉に視線を向ける先はテレビだ。私がその一員となるとき、高確率でテレビにはタレントのウッチャン(内村光良)が映っている。

武蔵小山温泉 清水湯(東京都品川区)の近所に住んでいたとき、日曜の夜によく通った。サウナは定員9人ほどの小さなスペース。いつも『世界の果てまでイッテQ!』が流れており、サウナの女性たちはいつになく真剣な表情でテレビを見つめる(ほかにやることがないからだ)。そして、大体同じタイミングで笑いが起きる。謎の一体感を感じる瞬間だ。

サウナは自己のペースを守ることが大切だ。ペースを破れば、命の危険につながりかねない。テレビで放映される番組のうち、バラエティならまだ、ペースは乱されないだろう。注意が必要なのは音楽番組である。特に、生放送、懐メロ特集など組まれていたら用心したい。思わぬ落とし穴が隠れているのだ。

熱に耐え、汗がしたたり、そろそろ出ようか。と思ったところに、マッキー(槇原敬之)などの丁度よく浸れる歌手が登場してくるのだ。しかも生ピアノ。『遠く遠く』。聞きてぇ。。もうサウナを出たいのに、軽く見積もってプラス3分。いけるだろうか・・・。

そしてプラス3分の幸せな攻防に耐える。終わったと思ったら、『冬が始まるよ』などの丁度いい名曲が始まる恐れもある。後奏がギリギリ終わらないうちいにサウナを出るのがコツである。

また、ひょんな番組でご当地らしさを感じることがある。サウナ&スパ大東洋レディース(大阪市北区)に行ったとき、テレビではプロ野球を放送していた。阪神vsヤクルト戦である。阪神! ぽい~! 大阪っぽい~! と思わぬご当地感にテンションが上がった(決して馬鹿にしているわけではない)。そもそも、女性サウナでプロ野球中継を見たことは、後にも先にもこれが初めてだった。

私が入ると、丁度が試合が終わった。ヤクルトの勝利(どうやら私は勝利の女神のようだ)。燕党の私はバレないようにガッツポーズをした。

テレビがないなら夜景を見ればいいじゃない

最近はドーミーインをはじめ、ビジネスホテルでも大浴場を備え付けるところが増えてきた。運が良ければサウナもついている。女性でサウナを利用する人は数なく、貸し切り状態となることも多い。規模が小さいので、たいていテレビはない。ひたすらオレンジ色の壁と、静かに針を進める時計と向き合うのみだ。

ホテル・ラビスタ函館ベイ(北海道函館市)のサウナにもテレビはない(メインは温泉である)。しかしサウナには珍しく、大きな窓があり、そこからきらきらと函館の夜景を堪能することができる。控えめに言うが最高である。町の静かな明かり、函館山をとろとろ登るロープウェー、港には小さな船が集まる。

そうか、函館は港町だったのだな。港、港、函館、通り雨~。

またお会いしましょう。


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