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【​株式会社メディカルヘルスオンライン|代表取締役 加瀬美郷】さんとの対談 #8

こんにちは。鍼灸師の東です。

今日は、医療に関わる様々な知識と科学的・医学的な根拠をもとに救急病棟で15年間、看護師として活動してこられた経験を活かし、看護師の専門的な知識や技術をオンラインを通して人々に伝え、日々の健康に貢献している【株式会社メディカルヘルスオンライン|代表取締役 加瀬美郷】さんとzoomでお話しさせて頂きました。

▼株式会社メディカルヘルスオンライン


加瀬さんの経歴

加瀬さんのご専門は看護師です。

経験されてきた分野は幅広く、『感染症看護・がん看護・慢性呼吸器疾患看護・神経内科看護』から『集中治療室看護・人工呼吸器管理・体外循環管理』など、多岐に渡ります。

コロナ禍になってから、良く耳にするようになったECMO(エクモ)も使っていたそうです。

キャリアに合わせて『急性・重症患者看護専門看護師・呼吸療法認定士』の資格を取得されてきました。

看護師時代は、多くの重症患者さんと共に人生を歩んでこられました。


加瀬さんから感じたこと

私が加瀬さんとお話をしている時にも、『患者さんの利益になることならやる』という言葉を何度も耳にしました。


――『患者さんの利益になっているかどうか』――

処置に疑問があれば担当医師に直接確認し、納得いくまで質問し、討論されたと言います。

しかしその多くの話し合いはやがて、医師も医師で深く悩みながらも医療に従事していることを聴き、ただ単に処置の良し悪しを問うのみならず、医療を取り巻くかなり深いところまで議論されたと言います。

また、毎日何かしらのテーマを決めてカンファレンス(会議)もされたといいます。

特に、患者さんの自立尊重と尊厳が守られているか、といった倫理的な側面をテーマに、日々自分たちの行っている看護の振り返りをなさったといいます。

加瀬さんはずっと、医療・医師・看護。医療に従事するとは。健康とは。どうしたらより良く患者さんの利益になるのか、ということを、考え続けてきました。


―― 自然科学 × 人文科学 ――

加瀬さんは大学院にも通われました。

臨床研究として『ICUで身体拘束を受けた患者の体験』という論文を書かれたそうです。

データ集めも含めて5年かかったそうですね。本当にすごい根気だと思います(私も大学院で研究のマネゴトをしたので、大変さの少しは感じることができました)。

この論文には、すごいところがあります。

例えば、自然科学系の論文では、数字で表すことができる客観的データが大切です。

様々な機器で測定した数値を細かく集め、その時の事実や証拠を集めていきます。

そして、人文科学系の論文では、数字で表すことの難しい人の行動とか心理学とか、社会は何かとか、要は『人とは何か』みたいなことを問います。

実際の患者さんにインタビューをして、医師・看護師がICUでの身体拘束の処置をした時に、患者さんが受けた心境や感想を調査したと言います。

それはつまり、数字を主とした客観的データの自然科学の側面と、数字で表すことができない患者物語の人文科学の側面をすり合わせて、一つの推理小説のような奥深い論文になったということです。

これは本当にすごいと思います。


―― 徹頭徹尾、追究する ――

そもそも、この論文を書こうと思ったキッカケがあります。それは、ある患者さんとの出来事にあります。

それは、集中治療室での看護をしている時でした。

加瀬さんはかねてから、患者さんへの拘束には疑問があり、拘束を解くことが患者さんの利益になるのではないかと、考えていました。

しかしある時、拘束を解いていた患者さんがベッドから落ちて、その時のトラブルによりペースメーカーの手術の日程が遅れてしまったことがあったそうです。

たまたま偶然だったかもしれません。誰のせいでもなかったと思います。

でも、加瀬さんは自分事として深く考えました。

このペースメーカーの患者さんの件をキッカケに、本邦や海外のオペ室やカテーテル室での研究論文を調べました。

それに加えて、実際に患者さんやご家族様から『拘束をして欲しい』と希望もあったことも、大きな問いに繋がりました。

そして、一つの結論にたどり着きます。

『自分の命に関わることなら、身体拘束もやむを得ないと考えるのだ』

患者さんは、命に関わる特殊な環境においては、拘束を受け入れていたのです。

『そうだったんだ…』

それから加瀬さんは、オペ室やカテーテル室と同様、命に関わる特殊な環境であるICU(集中治療室)での拘束についてはどうなっているのだろうか、と疑問に思いました。

『ICUの患者さんは、拘束されることを不利益と感じているのだろうか。もしかしたら、患者さんの拘束を解きたいというのは、こちら側のエゴなんじゃないだろうか……』

そしてまた、加瀬さんはICUでの拘束に関する論文や書籍を調べます。来る日も、来る日も。たった一人で、調べ続けました。

その結果、ICUでの拘束に関する研究はなかったそうです。

『ないなら私がやる』

そうして書かれたのが、先の『ICUで身体拘束を受けた患者の体験』という論文です。


いや~、素晴らしい。

素晴らしいポイントが沢山ありますよね。

中でも、一つだけ挙げるとすれば『本当に、自分のやっていることは患者さんの利益になっているのだろうか?』という問いを立てたことを、私は選びたいです。

ここからは私の想像になりますが、加瀬さんはキッカケとなるペースメーカーの患者さんに会う前も、その時も、全力で『患者さんの利益』を追究して、勉強して、論文も調べて、実践してこられた方なのだと思います。

ペースメーカーの患者さんの時だってきっと、自分の『患者さんの利益の追究』という哲学に基づいて、信念をもって行動されてきたのだと思います。

しかし、その一件によって、これまで信じてやってきたことが『間違いだったのではないか』と感じました。

この一件は、自分の哲学や信念、アイデンティティを揺るがす、非常に大きなショックがあったであろうと、想像ができます。

それでも加瀬さんは、そこでも自分の哲学・信念に基づいて『患者さんの利益』が出るには何が最善か、ということに真摯に向き合いました。

自分を守らず、患者さんの利益を徹底して追求し、より良い看護師を、看護の環境を創ろうとされてきました。

そしてさらに、研究までして形(論文)に残したのですから。その努力は筆舌に尽くせません。

加瀬さんはどう思っているのかな。この辺りは、話しきれなかったので、また今度聞いてみたいと思います。

いやぁ~、本当に素晴らしい。


事業内容

『看護のデジタルトランスフォーメーションを実現し、​未来の医療を支える』

1.看護療養支援サービス

​医療の進化と共に、疾患を抱えた患者の問題は、より複雑化してきています。また、その患者の家族を支えるべく、家族看護の必要性も増加しています。私たちは、そんな患者・家族の日常生活支援に取り組み、QOL向上やACP推進に取り組みます。

入院中のように、頼れる看護師がオンライン看護相談に応じてくれます。

2.健康経営支援サービス

​療養生活を送りながら、仕事をする従業員が増加している中、オンライン産業看護師(リモート産業看護師)として企業と従業員を支えます。

3.​看護IT導入サービス

テクノロジーの進化と共に、看護の手法も変化する。
看護の根本は変えず、より患者に寄り添う形でAIを駆使してサービスの提供が行えるような開発をこころがけています。

私の所感になりますが、これらのサービスの重要なポイントは『科学や医学など医療に関わる様々な知識を駆使し、根拠をもって看護を提供している』ことです。

健康産業は、本当に玉石混交の情報が多いです。

ですから、臨床の現場で死線を潜り抜けた本当の看護師さんが相談・対応してくれるということは、非常に重要でありがたいことなんです。

当院でも、- 母乳育児相談 - Cache-cache coucou!の助産師・真木先生と協同し、『HAHA*TO-CO(母と子) プロジェクト』と称して、お母さんと子どもさんに専門的で実践的な地に足の着いた情報を発信したいと、看護師や栄養士を招いて活動しています。

▼【看護師・助産師】による離乳食教室

▼【看護師・栄養士】による子どもの栄養学教室

また、これからの時代に適うオンラインでの相談というのも、魅力的ですね。

私も、加瀬さんとお仕事で何かできないか、考えたいですよ!

鍼灸のデジタルトランスフォーメーション。どうやったらできるかな。

加瀬さんのお仕事にご興味のある方は、こちらの健康経営プラットフォームからお問い合わせくださいませ。

▼みらいリンクナース│健康経営プラットフォーム

では、今日はこの辺で。


今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。


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