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あらゆる楽器の中で、ピアノが最も完璧に近い楽器だと思っていた

あらゆる楽器の中で、ピアノが最も完璧に近い楽器だ、と思っていた。

完璧っていうのがまずもってよく分からないけど、まぁ、単音しか出せない楽器と比べると、ピアノは和音を、しかも両手で、広い音域で出せるぞ、という感じ。

たしかにピアノは素晴らしい楽器だ。
でも、出来ないことも色々ある。最近になって気付いた。例えば、持続性のあるビブラートができない(数回ならできるらしい)。途中から音の大きさを変えることができない。
ドとド♯の間や、ド♯とレの間の音は、出せない。

ドからド♯へ繋げて演奏できる楽器はたくさんあるし、人の声だってそうだ。
ドとド♯の間は、本当は無限の連なりなのだ。

(ちなみに、半音よりさらに細かく分けられた音程を「微分音」というらしい。
民族音楽とか、お経とか、西洋音楽の12音階では捉えきれないあの音程の正体はこれか…
ちょっとズレてるのが心地よかったり、癖になったりする。)

そんなこんなで最近は、「ピアノ」とか「曲」とか「音楽」だけでなく、「音」そのものにも興味を持ちはじめた。

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ところで、ベートーヴェンより前の時代にはメトロノームは無かったらしい。
それ以前は、「テンポ・オルディナーリオ」というものを基準に、それより遅い、速い、すごく速い、というふうにテンポを定めていたそう。
そしてこの「テンポ・オルディナーリオ」は、人間の脈の速さ、だったそうだ。
これらは、ピアニスト長嶋達也先生のyoutubeでのお話。

メトロノームが普及して、はじめて楽譜に具体的なテンポ指定ができるようになった。
そうか。技術の発展にともなって、音楽が生まれてきた面もあるよな…と思った。

どの楽器が完璧に近い、というよりも、楽器の発達によって様々な曲が生み出されてきた、というふうに捉えられるかもしれない。
言語があることで、思いが表現できるように。

また余談になるが、楽器はもともと、人の身体がモチーフになっているらしい。響かせる胴は女性を、縦の笛は男性を。
ラッパの管の曲がり方が動物の腸に似ていることから、音楽は食文化と関係しているという言説もある。

どんなものでも、最も根源的なものは命あるものから生まれるものなのだろう。
テンポ・オルディナーリオは人間の脈拍。

だから、頭の中では、想像の中では、楽器や技術の制約を受けずに、無限の音楽を鳴らすことができる…かもしれない。
それぞれの、内なる音楽を。

そんなことを考えてたら、ピアノの弾き方も少し変わるかもしれないなぁと思った。

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