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論文を読む!!

最近は参考書を読むことより、論文を読むことが多い気がします。
新卒の時は、参考書を手に取って基本的なことを学んできました。
経験年数が上がってくるにつれて、各論的な部分での疑問が出てくるとなかなか参考書に載っていない内容も多々あり、自然と論文を漁るようになっていた気がします。
しかしながら、論文もどういったものが信憑性が高いのか、せっかく読むなら質の高いものを読みたいと思います。

私もまだまだ論文を検索や、まとめ方が上手ではありませんが、よりアカデミックな知識を持っておくことで医師や理学療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、トレーナー、様々な人たちとの会話ができるようになると思っています。

今回は、論文・文献を読むにあたっての覚えておくと良いポイントを記載していこうと思います。

・文献のエビデンスレベルを理解しよう!

文献にもレベルが存在します。(鬼滅の刃でも上弦の鬼、下弦の鬼がいましたよね??😁)
まずは、ご自身が読んでいる論文がどういったレベルの文献なのか知ることが重要と考えます。

エビデンス(医学的根拠)のレベルは上記の図のようになっています。

それぞれについて説明をしていきます。

・システマティックレビューとは?

システマティックレビュー(Systematic Review:SR)とは、学術文献を系統的に検索・収集し、類似する内容の研究を一定の基準で選択評価を行う研究・もしくは研究成果物のことを指します。

https://bjsm.bmj.com/content/bjsports/49/6/362.full.pdf

例えばこの論文は、ランナーや軍人における『medial tibial stress syndrome=下腿骨膜炎・シンスプリント』の発生の危険因子についてまとめたシステマティックレビューです。

Risk factors for medial tibial stress syndrome in physically active individuals such as runners and military personnel: a systematic review and meta-analysisより引用

数段階を経て、ヒットした165件(n=165)の論文から、最終的に21件の論文をもとに『medial tibial stress syndrome』の危険因子をまとめて提示しています。

特にシステマティックレビューの中でも、『コクラン』という国際団体が作成している『コクランレビュー』は、質が高い研究を集めて作成してるため世界的に定評があり、まさに世界最強の論文と呼ばれているようです。
コクランレビューの論文を読んでみるのも良いかもしれません。

・RCTとは?

RCT=(randomized controlled trial)=ランダム化比較試験を指しいます。
ランダム化比較試験とは何か、、、研究の対象を2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分けて、治療法などの効果を検証することです。
ここでポイントなのが、『無作為に』分けているという点です。
治療効果を比較するのに、患者が自分が行われている治療内容をわかってしまっていては思い込み(プラセボ効果)が入ってしまうことがあるため患者には治療内容がわからない状態で行うことが非常に重要です。
無作為に分けることで効果を公平に比較できるため、信憑性が高い試験とされています。

こちらの論文は、石灰性腱板炎と診断された患者に対する拡散型衝撃波の治療効果を見たRCTの論文です。

https://academic.oup.com/ptj/article/86/5/672/2857419より引用

このように90人の患者を無作為にTreatment群(治療群)、Control群(コントロール=治療はしているが、衝撃波の設定を極めて低く変えている群)とに分けて、先行文献から参考にした設定で衝撃波を実施した治療群の方が、衝撃派の効果が高かったという文献です。

・コホート研究(前向き研究)について

コホート研究(前向き研究=prospective study)は、疾病の要因と発症の関連を調べるための観察的研究の手法の一つです。
例えを挙げると、喫煙をしている集団と、そうでない集団を数十年間追跡してその後のガン発症の割合を見ることで喫煙をしている群が有意にガンを発症していたら、喫煙をする=ガン発症に関連するということを明らかにできます。
具体的な論文を挙げます。

こちらの文献はスウェーデンで、追跡期間20年にわたって30,446 人の中年女性と男性の、身体活動と心理社会的状況に関連するどのような要因が将来的な骨折の発生に関連していたかを特定することを明らかにする目的で行われたコホート研究です。

結果は、年齢、女性、BMI、骨折既往歴、50歳超での骨折の家族歴、余暇身体活動低強度、重労働(P=0.024)、一人暮らし、喫煙などに骨折発生との独立の関連が認められた。と報告しています。

このように、ある疾病に対して、現時点で該当する要因があれば将来的にその疾病を発症するリスクが高くなることを予測できます。
また、患者の現状から将来の状態を予測してあげるのに非常に重要な内容だと思います。

・インパクトファクターについて

インパクトファクター(IF)は、学術雑誌の影響度を評価するための数値ですが、元々は、同じような分野の論文雑誌を購入する際に比較するため基準としてIF値が参考にされていたようです。
IF値が高い論文=引用されている論文が載っている雑誌を選んだ方が、なんだか信頼性が高そうですよね。

ちなみに、スポーツ分野ではアメリカは先進国です。
そのアメリカで出しているスポーツ分野の雑誌で
American Journal of Sports Medicineという雑誌がありますが、IF値は、2022-2023年で6,2でした。
これは高いのか??と思って調べてみました。

一般的に世界5大医学雑誌と呼ばれている
New England Journal of Medicine(NEJM) →アメリカ 2020IF:74.699

The Lancet→オランダ(アムステルダム) 2020IF:60.39

Journal of the American Medical Association(JAMA )→アメリカ(イリノイ州シカゴ) 2020IF:45.5

British Medical Journal(BMJ )→イギリス(ロンドン) 2020IF:30.2

Annals of Internal Medicine→アメリカ(フィラデルフィア) 2020IF:21.3

と明らかにIF値が桁違いですよね、、、(汗)
分野によっても引用される回数は違いますので、あくまで整形分野や、スポーツ分野の雑誌のインパクトファクターがどれくらいの雑誌なのかを参考にして論文を読んでみてもらうのも一つの手かもしれません。


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