stay gold
部下の運転する車から
『stay gold』
スティービーワンダーの曲が流れてきた
「キミこんなの聴くの?」
『はい なんかいいなと思って』
「そうなんだ
私ね 好きだったんだ この曲」
ふと記憶が蘇る…
あの頃
別れが来るなんて
思ってもいなかった
それでもすれ違いは起き
別れはやってくる
彼は二人の想いが一番だといい
私は二人の環境が一番だと言った
互いが大切なのは同じだったはずなのに
「stay gold」は
二人の好きなドラマの挿入歌に使われていた
記憶の引き出しが開き
ちくんと痛む
充ちた時間を彼もどこかで誰かと
過ごしているだろうか
幸せでいてねと
勝手に願う
『もしかして恋の思い出の曲ですか?』
世代の違う部下が
チラリと私を見る
ニキビを潰した痕がエクボのように
窪んだ口元に
にやけた目も添えて
「大人が長いと思い出の曲も増えるのよ
あのさ
もう一度聴かせてくれる?
stay gold」
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