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ランニングドリルって本当にランナーに必要なのか?

バイロンベイからこんにちは。WRNのマロンです。

陸上競技の経験者なら、絶対に経験したことがあるでしょう、スプリントドリル、ランニングドリル。1950年代にポーランドのスプリントコーチ、Gerard Mach(1926-2015)(図1)によって考案されたものだと知っていましたか?(正直、僕は知りませんでしたが、興味深いですね笑)当初は短距離選手が入念に行っているイメージがありましたが、今では長距離選手や市民ランナーの方々にも広く普及し、自身のウォーミングアップに取り入れている方が多いのではないでしょうか?実際、僕も陸上を始めた当初からずっとこのランニングドリルを行ってきました。そんなみんなが愛するランニングドリルですが、なぜその動きを行っているのか、意識する点は何かがわかると、自身のランニングフォームに必要性があるのかどうか、または不要なのかが見えてくると思います。今回は、たくさんの種目があるランニングドリルの一部を、出来るだけ簡単に、コーチ視点から解説していきたいと思います。

Gerard Mach(1926-2015)



A SKIP

A SKIPは、上げた腿を地面に落とし、地面を踏み、その地面からの反発で前進していくドリルですが、大事なポイントは2つあります。1つ目は、地面から短時間で強い反発を得ることができているかどうかです。速く走るためには、地面から強い力を得る必要があります。そのためには腿の上げ下げが必要ですが、よく見られるエラーとして、膝が過度に曲がり、股関節が適切に動いていない腿上げになってしまうパターン(図2)その結果、股関節周りの大きな筋肉を適切に使えず、地面に十分な力を伝えられません。改善する方法として、スネが身体と平行になるように意識して足を上げてみてください(図3)。お尻の筋肉が少しストレッチして、股関節が動いてる感覚を感じられると思います。もう一つのエラーとして、腿を上げた段階でつま先が下がっているパターンも多いです。足が地面に接地する際に大きな力が生まれますが、その際に足関節で強い力を生み出す準備ができているかどうか(つま先が下がっていないか)が重要です。つま先を上げた状態と下げた状態でその場で連続ジャンプすると、反発の感覚が全く異なることがわかると思いますが、つま先が下がっていると瞬時に力を吸収する事が難しいため、地面に足を置く時間が長引いてしまいます。常につま先を下げない事を意識しましょう。

2つ目は、姿勢です。そもそも地面に強い力を伝えるための適切なポジションをとれていないと、地面からの強い反発を受けることができません。よく見られるエラーとして、上げた方と反対側の軸足が曲がり、腰がくの字の姿勢になることが挙げられます(図4)。この姿勢をとると、足を地面に接地する際に、足を身体の中心よりも前に置きやすく、強い反発が得られにくくなります。軸足のお尻を締める意識を持つと、骨盤の位置が安定し、腰が高いフォームが作りやすくなるので、試してみてください。

図2
【エラー】股関節周りを上手く使えてない腿上げ


図3
股関節からの腿上げ
図4
【エラー】軸足が曲がりくの字の腿上げ

Straight Leg Bounds
Straight Leg Boundsは、膝を伸ばしたまま腿をあげ前進するドリルですが、大事なポイントとして、ハムストリングスとお尻を使って進むことができているかを確認してみてください。ハムストリングスとお尻は走る際に地面に力を伝える重要な筋肉ですが、その筋肉を使う感覚を養うためにも(膝を伸ばすことによって意識しやすくなる)重要なドリルとなります。よくあるエラーとしては、後ろに反りすぎてしまったり、膝が曲がり、自分の中心から離れたとこらに接地してしまう事によって、地面から十分な反発が得られないパターンがあります。その際は、その場でジャンプして、弾むポジションを確認し、そのポジションをキープする意識でドリルを行ってみてください。頭のてっぺんから紐で引っ張られているイメージを持つと、意識しやすくなるでしょう。


Fast Leg Drills
Fast Leg Drillsは、①と②を組み合わせたようなドリルで、膝を伸ばしたまま振り下ろした足の接地とほぼ同時のタイミングで反対側の膝を瞬時にたたんで前進するドリルです。片方ずつ異なる動きになるため、少し難易度が上がり、初めて行う人は難しいと感じるかもしれません。足を地面に接地する際に、せっかく良い位置(自分の中心に近い位置)に接地できたとしても、反対側の脚が戻ってきていないと次の動作に遅れが生じ、脚が後方に流れます、そうなると腿があがってこないため、股関節周りの大きな筋肉を使って地面に大きな力を伝えることが難しくなります。そのランニングサイクルが起きないよう適切な接地のタイミング感覚と身体の使い方を体に覚えさせる上で重要なドリルです。速く走ろうとすると、当然地面に強い力を伝えなければなりませんが、その際のアクセル動作が腿が上がって地面に脚を下ろす動作になります。そのポジションを瞬時に作り続けていくためには、強い力を短い時間で地面に伝える姿勢、接地位置、反対側の脚が戻ってくるタイミングがとても重要になります。スピードが短距離選手ほど求められない長距離選手は脚が後ろに流れていても走れてしまいますが、こうした動きの習得がランニングエコノミー向上につながると思います。よくあるエラーとして、スピードを求めてタイミングがバラバラになることがあるので、まずはゆっくりから始めて徐々にスピードを上げてみてください。


実際の動きと感覚のズレを最小限に

一部のランニングドリルをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?ドリルの特徴を理解し、実践することで新たな発見があるかもしれません。一つアドバイスとして、自分の走りの良い点や悪い点を把握した上でドリルを実施することをおすすめします。具体的に言えば、私の場合、スピードが上がるにつれて骨盤が過度に前傾し、腹筋が抜け、脚が流れるという特徴があります。ドリルの中、自分のウィークポイントを意識して行うとドリルで入れたい刺激がしっかりと入り、実際のトレーニング時の走りが改善されることがあります。たまに自分のドリルや練習フォームの動画を取って分析してみてください。意外と頭で考えてる事と実際の動きが違うので面白いです。日々の自己分析を行うことでそのズレを最小限に出来て、動きの向上に繋がっていくと思います。ぜひ、競技力向上に向けて毎日の練習をお楽しみください。


それでは
Peace out✌️



バイロンベイにて

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マロン・航太•アジィズ

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