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#読んだマンガも人間性に影響するらしいのであなたの人生のベスト10を教えて

少し前にTwitterでトレンドになってたこのハッシュタグ、後々思い返しても我ながらいい漫画チョイスだと勝手に自画自賛してます。面白い漫画はたくさんあるけど、人間性に影響を与えたとなるとなかなか難しい選択。でも映画や音楽やゲームも同じく、エンターテイメントは人の価値観を180度ひっくり返すパワーを持っていて、もちろん漫画も然り。なのでここでさらっと上に挙げた漫画を個人的に振り返ってみます。


うしおととら / 藤田和日郎

めちゃくちゃ面白い。少年漫画で一番面白い。うしおととらが面白いのは自己犠牲でも勧善懲悪の物語でもなく、ただひたすらにエゴの物語だからだと思う。出てくる奴ら全員に自分なりの考えがあってお互いに手を取り合ったり、対立したり、人間妖怪問わず、その辺がすごい「人間くさい」。この世に本当に良い奴悪い奴なんて存在しなくて、いがみ合ってても共に前へ進んでいけるという精神的な意味での人間賛歌の物語。そして道中出会った人々も事件も戦いも冒険も最終局面になって「全て無駄ではなかった」と思わせる構成は最高の燃えポイントであり、うしおととらがめちゃくちゃ面白い漫画の理由の一つ。正しくオールタイムベストの漫画。

エリア51 / 久正人

軽率に人が死ぬ!(人だけじゃなくて化け物や神であっても死ぬ!)。それもジメッとあとを引くような死に方じゃなくてカラッと死んでくあたりがパルプみを感じる。久正人先生のスタイリッシュな画風がまず大好きで、コマ割りもセリフの言い回しもすごいグッとくる。何よりあらゆるジャンルごった煮で、神々の抗争バトルロイヤル回もあれば異能怪奇事件ファイル回もあるし、マフィア対立ヤクザ回に、ハードボイルド探偵回と、漫画の枠に囚われない引き出しの多さは他にない。もちろん巨大ヒーローもゾンビも出るよ!久正人先生はグレイトフルデッドやジャバウォッキーもすげえ面白いのでオススメ。

それでも町は廻っている / 石黒正数

すげえ!コメディ漫画かと思ったらサスペンスやミステリーもあるし、ホラーにSFまである!でもメイド喫茶要素は想像以上にない!この漫画の特徴は各話の時系列がシャッフルされていて、前の回と次の回が必ずしも繋がってないということ。おかげで各話完結スタイルなのに思い出した頃に緩やかに話が繋がっていて、思わぬところで前回の伏線が回収されたり、逆に後になって掘り下げがあったりと次の展開の予想がつかない。もちろん頭を空っぽにして読んでもいいし(どこから読んでも問題ないので寝る前に手に取ると夢中になって時間が溶ける)、几帳面なあなたは各話の繋がりをエクセルでまとめてもいい。完結の際のオチも実は別々の巻に散らばっているので連載スタイルを逆手にとった発想の勝利すぎる漫画。

鋼の錬金術師 / 荒川弘

説明不要。大事なことは全部ハガレンから教わった。おれの中で作品としての完成度の基準はこの漫画なので、存在そのものが永久磁石、国際キログラム原器と同等の価値を持っている。ファンタジーと現実、科学と魔法、人間とホムンクルス、兵士と平民、人種と差別、西洋と東洋、富と貧困、戦争と平和、光と影……それら全てを錬金術を通して繋げた漫画、つまりゴッドファーザーなのだ。

足洗邸の住人たち。 / みなぎ得一

これはいつだったかnoteで誰かがオススメしていて知った、つまり最近になって読んだ漫画だ。こんな面白い漫画があったなんて知らなかった。現実と虚構が入り交じり、混沌としながらも圧倒的に広がった世界で、しかし主人公はしがない絵描き。しかも自殺願望持ちだ。緻密に設計された世界はフィクションでありながら世界に説得力を持たせ、その地盤を強固にし、その上に多様なドラマを生み出す。例えば客が寄り付かない貧乏飲食店や、手に負えない化け物を狩るハンター、危険なブツを届ける運び屋、怪談や都市伝説に興味津々な女学生、そして自殺願望の絵描きだ。この漫画は彼と、彼が住む足洗邸の住人たちが主人公の物語だ。

カードキャプターさくら / CLAMP

どんな作品でも、最初から最後まで面白いものはそうそうなくて、CCさくらも時間を持て余してた時に、何気なしにパラパラ読んだのがきっかけだった。でも、作中でさくらが雪兎へ告白した時の「さくらにとっての大切な人を早く見つけられるように」のあのくだりがいつまでも頭に残っている。これなかよしとかりぼんとか、あの年代の子供が読んでいたとか信じられない……そうだよな、大切な人って言っても、家族とか友達とか異性とか色々あるもんな……そうだよな……(陽の光を浴びて塩の柱になりながら)。

メダロット / ほるまりん

暴走するロクショウ、メタビーが迎撃しようと武器を構えるも、銃弾を放つ前に両腕の健を断たれ、胸部をザックリ切られたメタビーから血のようにオイルが噴き出す……これが少年誌に掲載される漫画か。「人間とロボットは分かり合える」という考えを「現実はそう甘くない」という回答で返した、最強のロボット漫画。後半にいくにつれて、ロボット世界の夢と希望の物語に「子供と大人」という問題を流し込み、とてもビターな結末を迎えたイッキ編。だからこそ、固く手を繋ぐイッキとメタビーの姿が心を打つのだ。

ゴールデンカムイ / 野田サトル

ハア……なんでこんな面白いのかな……アクションとコメディ、シリアスとコミカル、史実とフィクションを自在に行ったり来たり、アイヌという歴史背景が難しい要素を取り上げてかつエンターテイメントとして漫画に落とし込む……バランス加減が天才でしかない。善悪の概念を超越して各々のエゴがぶつかり合い、人が死に、ラッコは鍋になる…。まだ連載中だけど、読者アンケートとかお構い無しに好きな様に執筆している野田先生が目に浮かぶ。このまま真の男と変態と狂人の道を突っ走って下さい。

謎の彼女X / 植芝理一

ジト目猫目片目隠れ陰気よだれ系ハサミ女子好きですか?おれは大好きです。タイトルからして絶対非日常展開が(いや、そもそも漫画だからフィクションで非日常なのは当たり前だけど)あると思わせておいて、終始ラブラブコメコメする話とかズルい。ヒロインの造形描写に一コマ一コマの小道具小ネタ、擬音語の形状まで全てがドストライク。

ウォッチメン / アラン・ムーア、デイブ・ギボンズ

おれが唯一持っているアメコミであり、しかも本国版だ。たしかAmazonでイギリスだかで海外出品されていたのを買った記憶がある。表紙に扉絵、幕間の資料にコマのあいだに挟まる寓話、そしてフキダシの文字に至るまで、ウォッチメンとしか言いようのないクオリティであり、たった一冊で完結している作品としての重みを感じる。コマの割り方が完全に異文化で映画的構成になっているのはもはや芸術的で、漫画と言うよりも挿絵上に小説が掲載されているのに近い。どうしてこの漫画を買うに至ったかは昔のことでよく思い出せない。ただ、今現在アメコミ原作の映画にどっぷり浸かることになったきっかけは紛れもなくこのウォッチメンだ。

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