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ワールド オブ ライディング・ホッパー(2):アライランス(五大企業)

ライディング・ホッパー 総合目次


アライランス(五大企業)

大崩壊後の混乱の中から、国家に代わる体制を独自に築いた連合統治機構がアライランス(五大企業)である。アモウ・オート・インダストリアル、カナズミ・フィナンシャル・グループ、ロバート&ウィルソン・インターナショナル、アストラル・バイオサイバネティックス、巽建機から構成される。各社は以前から本社機能を地方に移しており、大崩壊直後の大混乱にも迅速な対処を行ったことで広く支持を得ていた。また、大崩壊直後に起きた自衛隊一斉蜂起において最前線で激しい戦闘を行い、これを鎮圧したことで新たな統治組織として迎合された過去がある。

アライアンスは定期的に会合の場を設け、企業間の技術交流、企業民の受け入れ、取引事業の議論、決算発表や予算案の公表などを行い、協調して国家無き日本列島の統治体制を担っている。いずれの企業も表面上は対等な立場であるが、水面下ではお互いを出し抜くために企業スパイが暗躍したり、極秘の技術開発計画を立てたり、旧世紀テクノロジーのサルベージに余念が無い。中でも一目置かれているのはアモウ社であり、ライディングギアの飛躍に多大な貢献をした事で、アライアンス結成当初から大きな発言権を所有している。

ライディングギアレースはそうした企業間の緊張を解くための代替戦争の一面もあり、現在では列島中が注目する一大娯楽産業となった。アライアンスではライディングギアレースのレギュレーションについても取り決めが行われており、ここ数年はギアの多様化、大型化への偏重が目立つ。これについては資産と技術、メンテナンス環境が整っている企業側が有利だとして中小規模事業者やフリーランスのギアライダーから不満の声も上がっている。


アモウ・オート・インダストリアル
本社拠点:東海地方
通称:アモウ社、天生

アモウ・オート・インダストリアルは大手自動車メーカーとして、大崩壊以前から知られている業界トップクラスの企業であった。大崩壊によって主力市場が崩壊し存続の危機に見舞われたが、競合を出し抜きひそかにライディングギア市場へ注力していたことが功を層し、不死鳥のごとく表舞台に舞い戻ったのだ。安定した品質と徹底したモジュール・部品規格の共通化により一時期はライディングギア市場を独占していたが、基礎技術の特許を無償で公開したことで大崩壊後にも大小さまざまなメーカーが勃興することになった。


カナズミ・フィナンシャル・グループ
本社拠点:近畿地方
通称:カナズミ社、金住

カナズミ・フィナンシャル・グループは元来金融会社であるが、大崩壊により存続できなくなった企業を次々と吸収、あらゆる業界へ枝葉を伸ばす一大企業となった。ライディングギア開発を直接手がけるのはグループ企業であるカナズミ・テクノロジー社である。ライディングギアへの参入も事業戦略の一つとしてであり、年々進行するライディングギアレースの商業ビジネス化はカナズミの影響が大きい。自社製品の宣伝のためにギアライダーをスポンサー出資するなど、レース外での活動が目立つ。


ロバート&ウィルソン・インターナショナル
本社拠点:東北地方
通称:R&W

ロバート&ウィルソン・インターナショナル日本支社の歩んだ道のりは苦難の連続であった。新興テック企業として本国で頭角を現した彼らは勢いに乗じて日本へ進出。その折に大崩壊に遭遇し、本社はその煽りを受け倒産。日本支社は異国の地で生存するため、企業理念を変容させ現地に順応し、アライランスの一員となるまでに至った。優秀な人材、技術は無条件で引き入れようとする社風があり、経営陣はヴァイキングが如き豪快な人間が多い。


アストラル・バイオサイバネティックス
本社拠点:四国
通称:アストラル社

アストラル・バイオサイバネティックスは旧世界のロストテクノロジーの復興を掲げる研究機関である。機械工学のみならず、生物学、遺伝子工学、情報工学など、その研究対象は多岐にわたり、数多くの企業と技術提携、資本支援を受け近年成長が目覚ましい。彼らが手がけるライディングギアもまた研究の一環であり、未知の技術が惜しみなく注ぎ込まれているという。難民を無条件で受け入れる政策をとっており、企業城下町は一種のアーコロジーとなっているらしい。


巽建機
本社拠点:九州地方
通称:タツミ社、巽

大崩壊以前から建機、重機を製造する老舗メーカー。大崩壊の復興事業においては、巽建機のライディングギアなくては復興は成し得なかったと言われるほどの堅牢性、耐久性を誇り、アタッチメント交換により様々な工作機械腕を取り付けられるのが特徴。メーカーとして重機機械やライディングギアを開発・製造するだけでなく、土木工事や建設工事、電気ガス水道などのライフライン事業も手掛け、全国に営業拠点を構えている。大崩壊後に着工した独自の道路網「巽列島縦断高速道」を所有しており、大崩壊後の世界の大動脈として機能している。


アライランスに対抗する勢力

アライランスの企業は、それぞれ本社拠点を中心に企業城下町を形成しているが、当然それは日本列島全域を覆い包んでいるわけではなく、むしろ都市間を繋ぐ道(と辛うじて呼べるもの)以外は全くの無法地帯である。大崩壊後に遺棄された住宅街は荒れ、ショッピングモールは自然に還り、高層ビル群は徐々に斜めに傾きつつある。それら廃墟群には企業城下町に籍を持たぬ無法者が住みついているとも言うし、緩衝地帯となった東京でも命知らずのストリートギャングが跋扈している。そうした連中の中でも、とりわけ危険視されているのが《箱舟》と《尊王皇軍》だ。


環境カルト組織《箱舟》

《箱舟》は大崩壊直後から急激に信徒を増やしたエコテロリスト系環境カルト組織である。主に中国地方を根城にし、「あらゆる生き物は自然に還るべき」を標語に文明を捨て、狩猟、農耕に生きることを選んだ。大多数の信者は穏健派だが、二世化が進むに従って、企業にテロ行為を行う過激派が勢力を増しつつある。その破壊活動にもライディングギアが使用されていることも少なくなく、文明を破壊するためならどんな手段も辞さない危険集団として近年再認識されるようになった。


自衛隊残党《尊王皇軍》

市ヶ谷駐屯地での最終決戦で自衛隊は企業連合により完全に鎮圧されたと思われていたが、ひそかに生き残った自衛隊の残党と旧日本国の特権階級の生き残りが結びついたのが《尊王皇軍》である。彼らの悲願は日本国の再建であり、そのために天皇家の血を引く「皇族の御子」を探し求めて全国に情報網を延ばしているという(大崩壊の折、時の天皇とその皇族はひそかに東京を脱出し行方知らずになったと言われている)。大崩壊から50年たった現在、その存在は徐々に懐疑的なものとなっているが、各地に残る自衛隊駐屯地からは銃器、戦車、戦闘機などが何者かによって軒並み持ち去られており、アライランスは未だ行方を捜索している。

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