ビッグモーターの偽装の件 令和の奴隷?
詳しくは↑を見て頂ければと思いますが、対外的には結構なヤラカシです。「対外的には」と書いたのは、フリーになって数ヶ月、どこの業界も対外的にこれ、マズくね? な事ってあるね~、を、経験しまして。
ただ、今回の件は私が元業界人なので、その立ち位置から多少なりとも価値のあるお話が出来るかも? と、思っております。
ザクッと何が起きたか大雑把に要約すると、
お客さんのタイヤを意図的に破損(パンク)し、保険金請求をした。
2.保険会社へは金額の高いタイヤで請求し、実際は安価なタイヤをお客様へ提供。差額の保険金は会社の懐へ。
3.不正車検。車検も不正だけど、一般的な整備でも不正。(やってない作業代をお客さんに請求)
大雑把、こんな感じでしょうか。
この中でも、1.について語ろうと思います。
元業界人なので、なんとなく何が起きたか、流れが分かるというか。プラスして、タイヤの保険金請求を精査する側だったので、尚更なんです。
まず初めに、詳しい方なら「ん?」と思う事があると思います。
タイヤの破損だけで保険金降りるの?
ここです。一般的な保険ですと、車両保険が該当と思われますが、車両保険は「消耗品のみの損害は対象外」と言う免責があります。それなので通常、釘踏みでパンク等のタイヤ交換のみでは、車両保険では交換出来ません。
ただ、ガードレールに突っ込んで、タイヤもろとも周りの色んな所が壊れた。これだと、周りも含めてタイヤが保険で交換できます。
それなら何故、「タイヤのパンク単体で保険金が出るの?」と言うと、そう言う専用の保険があります。
ここ数年で出てきた保険なので知名度が少ないのですが、この保険に加入すると釘踏みパンクとかでも、タイヤ単体のみを保険で交換する事が出来ます。
今回の件は、この保険の悪用かと思われます。
保険金請求するに当たって大まか必要な条件は、「急激かつ偶然な外的要因によるもの」、これを現せば保険金請求出来ます。
すんごいザクッと説明しますと、
急激:釘が突然刺さった。
偶然:走行していたら意図せず、釘が刺さった。
外的要因:釘。
この3つを写真で表します。
細かく言うと、対象の車両全体、どの位置に装着されていたタイヤかを引きで撮影して分かりやすくする事が必要ですが、大まか、こんな感じです。
この3要件、
急激:釘が突然刺さった。
偶然:走行していたら意図せず、釘が刺さった
外的要因:釘
これ、詳しくない方でも、
この写真、俺でも撮れるんじゃね?
と思った方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
撮れます、簡単に。
タイヤへ釘を刺すのにそこそこコツがいりますが、刺さってしまえばその刺さった所を撮ればOK。
こんな感じなので、割りと簡単に保険金請求に必要な写真は揃えられます。
私がやっていたのは、この損害写真の精査担当だったので、「ん?」と思った写真はツッコミを入れてました。
そう言う事を知っていたので逆に、どの様な形であれ、こう言う素材が準備できれば請求できる、と言うのが分かります。
解毒方法を知っているから、毒も作れる
みたいな感じでしょうか。
ここでもう一つの疑問ですが、
こんな簡単に保険金請求できるんじゃ、皆、タイヤへ釘をトンカチし放題じゃん! タイヤ代は保険で全部賄ってもらおう。
こんな流れが出来てしまうと思います。
が、そんな簡単ではありません。
私が現役の頃と今はまた違うかも知れませんが、現役当時は少なくとも、
この保険、個人で加入は不可能
でした。
この保険はどこかの車屋さんがそういう保険を扱っていて、その車屋さんからなら加入できる、こう言う保険です。
一般的な保険では加入する場合、
個人⇔保険会社
か、
個人⇔保険代理店⇔保険会社
だと思います。
個人⇔保険会社、例えばネット損保なんかはこれです。個人が直接、保険会社と契約できます。何かあった時のやり取りも契約者が保険会社と直接行います。
が、パンクの保険に限っては、
個人⇔車屋⇔保険会社
これのみです。
必ず間に「車屋」が入ります。
なので、釘を意図的に指して保険金請求とか、ふざけた事を阻止するために、間にプロの車屋を挟んで、防止する意図があったと思います。
が…、しかし、
その「ふざけた事」を車屋がしてしまった。しかも業界最大手が。
こうなると、パンクの保険は無くなるんじゃないかと個人的には思います。
車屋というプロを信頼すると言う、性善説に則っての運用が前提で、それをちゃぶ台返ししたら、この保険は成り立たなくなります。
保険料規模がそれなりにある(詳しい金額まではわかりませんが)ので、明日、明後日に保険が無くなる事はないと思いますが、新規契約は打ち切ってフェードアウト? と、勝手に想像してます。
保険料規模があまりに大きいと「多少(じゃない気もしますが)のおイタは有り。それよりも保険料収入の方が多いから続けよう」と言う判断になるかも知れません。
とにかく、保険で交換して店側はお客さんから工賃を貰う。合わせ技で保険会社へは良いグレードのタイヤで請求して、実際はそれより安いタイヤを履かせる。工賃とタイヤ粗利もGET、です。
で、ここからは私見です。
元業界人の勝手な想像ですが、これをやりたくてやってる訳ではないだろうな、と思います。やった事自体は「ダメでしょ」ですが、やってる本人もそんな事は百も承知、だと思います。
と言うのも、それなりに盛ってる車屋のノルマへの詰めはこの店だけではなく大方、どこもそんな感じです。数字(成績)を上げられるかどうか。上げられたら正義、上げられなかったら外道であり穢◯非◯です。
また、そのノルマも毎年必ず前年成績より上です。例えて言うと、地獄の賽の河原の石積みが、積まなくてはならない枚数が毎年必ず上がると言う感じです。
それを何年もやり続ける訳ですから、そのうち100枚積まないとダメ、みたいになります。それも特に盛っている車屋だと「今年は更に20枚増し」とか平気で言ってきます。
石積みなんて、10枚積めればよくね? みたいなものですが、それを100枚。更に20枚増しの120枚とか言われ、さぁ、どうすんの? になります。そうなると、通常のやり方じゃムリだよね? に行き着きます。
なのでただ積むのではなく、接着剤(不正)を使ったり等、裏技駆使で何とかする訳です。
ここで1つ疑問点ですが、「不正までして目標達成しなくちゃならないの?」、があると思います。「そんなアホな目標、無理に決まってるじゃん!」で突っぱねれば? と言う話もあるかと思います。
しかし、何でそうならないかと言いますと…
と、激詰めされます。昭和の詰めが令和の時代でも生きているのが盛っている車屋です。また、大きい組織になればなるほど、左遷で飛ばしやすくなって、飛ばし放題。成績未達者は穢◯非◯ですから、左遷が嫌なら辞めろ、です。
それなら同業他社に行けば良くね? と言うのもありますが、盛ってる昭和の詰め系の会社は、給料だけは良いんです。他社に行ったら大方は、収入が下がります。
ので、生活費等もあって辞めるに辞められない、と言うのもあります。収入見越して家なんか買っちゃってたら、地獄の出口には辿り着けなくなってしまいます。
昭和の詰めで無理難題を言われ、目標未達なら激詰めされる。下手したら、訳分からん所に飛ばされて、更に無理難題(追い込み部屋)を課せられる。
なら、やる(不正)っきゃない。
こんな感じかなと思います。
車屋は真っ当にやると本当に儲かりません。車に乗っている皆さんなら、車検を1回以上はした事あると思います。どうせやるならなるべく安く、で、価格比較したことがある方もいらっしゃるかと思います。
安いところだと軽自動車で最低、4~5万くらいでしょうか。この金額で本当に車検が出来たとしたら、車屋の取り分は1万くらいです。
に対して、車屋の設備を比べてみて下さい。1台1万の収入で作れそうな工場でしょうか? 店構えによっては、~億円掛かってるんじゃ? くらいのお店もあると思います。
1台1万円で1億円のお店を建てるなら、1万台車検をしないとなりません。単純計算でこれですが、実際はこの1万円で経費や人件費も払わなくてはなりません。
一体いつになったら1億円になるの? と言う遠い遠い話なんですが、こう言う世界観なので、そこで働く従業員の給料は…
高い訳、ないですよね。
なので、働きたいという人も来ません。人の命を預かる作業の対価が1台、1万円の一部から支払われる訳です。安いけど、それで何かあったらとんでもな事態になります。生死に関わる事態もあります。この給料でその責任ですか? と言う世界です。
これがまたデフレスパイラルで、会社からは常に前年より上の成績を求められます。しかし、店の設備も人も変化しません。むしろ、人は減ってるかも知れません。人が減ってようが、前年より上は至上命題で変わりません。
その中で、前年より上をやるなら…、裏技(不正)で何とかするしかない。
こう言う、人的物量の面でも厳しい情勢があります。
そんな業界でTVCMすら流せる車屋って、どうしてんの? と言ったら…
それなりの事をして、先立つ物を沢山もらう仕掛けが盛り沢山。
と言う所です。この仕掛けに関しては、
この方が沢山紹介しております。相当、おっぴろげてますので難癖つけられないか、元業界人として心配です。「この手法、あるよね~」みたいな業界あるあるが盛り沢山。業界人も、非業界人で車選びに悩んだら、見てみましょう。
ちなみに今回のこの件、1ヶ月もしたら忘れ去られるんじゃないかと思ってます。ビックさんはTVもラジオもCM出してて、放送界のビックスポンサー様です。そのような方への批判的な放送はしないでしょう。
TV離れ~とは言っても、やはりTVの影響力は未だ強大。TVが騒がないと、どんな問題も消え去っていくと思います。やはり、札束は正義!、って事ですからこれからも、これまで通りの手法でやって行くんだと思います。
読んでみて、1円でも価値があるなと感じて頂けましたら、1円寄付して頂けると助かります。