鎌倉、一人旅


 一昨日。一念発起し、鎌倉に行くことを決意しました。
 まあ理由はいくつかありますが、大きいのは小説の執筆に対し鎌倉の情報が少なすぎる。久しぶりに遊びに行きたい。このふたつですね。

 そして今日、朝7時過ぎに目を覚まし、これは行けると確信した私は早速身支度を済ませ、鎌倉に到着したのが11時。

 そこから先ず向かったのは鶴岡八幡宮。
 何故かと言うと、通り道が小町通りであり、小説で登場する予定だからです。
 ついでにお昼ご飯なんかも見つけられたらいいなーと小町通りを散策。気がついたら鶴岡八幡宮に到着していました。

 まあいいか、と中へ。この時鳥居をくぐるのを忘れてしまいました。罪悪感が……。
 人が大勢集まっており、見てみると何やら煌びやかな衣装を着た人が。そうです、結婚式です(恐らく)。
 心の中でおめでとうございます。と言って私はその場を後にしました。

 本殿に到着すると、まずは挨拶……と15円のお賽銭を投げ入れ、2礼2拍手。
 自己紹介を済ませ、まずは色々と対話を……というところでなぜだか焦ってしまい、お願い事だけをベラベラと。ここでもまた罪悪感が……。
 ひとまずお祈りを済ませ、おみくじを引きました。ちなみにおみくじを引く有無を伝えていませんでしたし、引く時も何も考えていませんでした。
 考えうる限り最悪の引き方をして獲得したのは、《凶》のおみくじ。
 ああ、やっぱり。と思い私はもう一度お参りに。
 鳥居のこと、おみくじのこと、1回目のこと、それらを詫び、また来ることを誓いました。

 そうそう、そこで私は蜂によられなくなっていることに気がついたのです。
 なにかというと、私はしょっちゅう蜂に着いてこられるんです。
 ああ、来るなよ、来るなよ、と願う度に彼らは私を脅かしに来ます。この間なんか頭に止まりました。
 ですが、今日は目の前を通過していっただけでした。
 ビビり散らしながらも、ようやく蜂を引き寄せる体質が改善したのか、と鶴岡八幡宮の神様に感謝をして、しっかりと鳥居を通って外に出ました。

 そして次に私が向かったのは昼食です。
 何がいいかな、と調べてみると「美水」といううどん屋さんが安くて美味しいと見たので向かってみることに。
 小町通りの路地に入り、見えてくるのは小洒落た外装のお店でした。
 少し待ち、1人ですと言って店内へ。
 ちょうど12時であるからか店員さんはワタワタと忙しそうにしていて、とても注文を受けてくれそうにありませんでした。
 引っ込み思案の私は、萎縮してしまいなかなか手を挙げられません。
 しばらくすると1人の店員さんがこちらにやってきてくれました。
 小さく手を一瞬あげていたのを見てくれていたようです。『帝釈天ザル』というものを注文しました。

 鎌倉うどんと天ぷら、天つゆ、それにだしのようなもの(これについてはよく分かりませんでしたが、美味しかったです)。
 1本取り、ちょんちょんとつゆにつけて口の中へ。もちもちとした食感と、つるりとしたのどごし、それに天つゆの味が相まって、……美味しい。
 ピーマン? の天ぷらを急いで口に入れます。サクッといい音が鳴り、口の中にピーマンの味が広がります。しかし、ピーマンの嫌な味はどこにもありませんでした。そこにあるのはただ、美味しいだけのピーマン。
 かき揚げ、えび天も同様にしてサクサクとした衣に包まれ、素材の味を存分に生かした作りとなっていました。

 気がつけばうどんは空。天ぷらも空。
 ごちそうさまでした。と手を合わせ、お会計へ。

 この時点での私のこの店に対する評価は、接客はまあまあ、味は美味しいと言ったものでした。
 しかし、お会計の後に言われた「また来てくださいね」という言葉を聞いて、私の心はどうやら動いたようです。
 美味しかったです。ごちそうさまでした。と笑顔で言って店を出ました。
 とてもいい気分で私は店を後にしました。

 その後小町通りを散策していると、素晴らしいお店を発見。
 美濃焼の焼き物がどれでも550円と言うお店を発見したのです。

 画像はおちょこです。
 実は、私の兄が先日20歳になったのですが、時折おちょこが欲しいと言っていたことを思い出し、ひとつ購入しました。


 そのあとは自分の名前入りの箸を買い、小町通りを後に。

 次に私がやりたかったのはレンタサイクルです。
 まずは鎌倉駅前の所へ、ここは全部貸し出していました。
 次に、少し離れた所へ。ここも全部貸し出していました。
 最後に、ダイチャリという街の至る所で見かけることの出来るレンタサイクルへ。
 ……あったのですが、現金では払えないようで、私は断念しました。
 30分ほどレンタサイクルができないことに落ち込んだ後、私は気を取り直して江ノ電フリーパスを購入。650円でした。
 長谷駅へ。

 目的はもちろん、鎌倉大仏と長谷寺です。
 これらも小説内に登場させるつもりです。

 まずは鎌倉大仏へ。
 入館料300円を支払い、奥へ。

 思わず声が出ましたね、「でかっ!?」と。
 相当高いですよね? この大仏様。

 ここでは特筆すべきことはありませんでしたが、心願成就お守りを購入しました。

 次に向かったのは長谷寺。ここはもう、凄かったです。

 正直あまり期待していなかったのですが……観音堂に足を踏み入れた瞬間、時が止まりました。

 口から溢れたのは驚きの声ではなく、感嘆の声。
 10メートルはあろうか、という黄金の観音様に見入ってしまいました。
 呆気に取られる、ということはこういうことなのか。と、頭ではなく体が理解しました。
 お賽銭を投げ、挨拶だけを済まし、急いでその場を後にしました。それ以上その場にいたら、どうにかなってしまいそうな気がしたのです。

 観音堂を出て少し進むと、見晴らしのいい高台に出ます。


 この場所は過去に「海街diary」という映画で使われたそうです。
 寺まんじゅうとラムネを購入し、この景色を見ながら、もぐもぐ、ごくごく、と。
 寺まんじゅうというのは肉や魚を使わない精進風の中華まんです。
 美味しいか美味しくないかという名言はさけますが、私の口には合いませんでした。

 長い階段を降りつつ紫陽花や、その他の花を愛でる。途中でテレビカメラのようなものを見かけましたが、芸能人などはいませんでした。

 次に向かったのは稲村ヶ崎駅です。
 というのも、稲村ヶ崎公園からの景色が最高だと知り合いから聞いていたので見てみたかったのです。


 これがその景色。
 夕日と相まって叫び出してしまいそうな程に綺麗でした。

 そこからは江ノ電に乗り、今度は鎌倉高校前駅で下車。
 七里ヶ浜に降り立ちました。


 この海岸、不思議なんですが、砂浜が隆起していたり、逆に窪んでいたりしているのです。
 こういうの、なんて言うんでしょう……?
 凸凹と、上から見るとちょうど波打っているように。
 なんというか不思議な光景でした。

 くたびれた私は腰越駅から再び江ノ電へ。目的地は江ノ島です。

 江ノ電から江ノ島まで、意外と長い道のりを歩き、まずは夕食の整理券を獲得します。
 そして私が向かったのは展望台麓のタコせんべい。
 途中道を間違えながらもやっとこさたどり着き、列に並ぶと……、

「今日はもう終了です」

 そんな声が私の後ろでするではありませんか。
 そうです、私がラスイチを取れたのです。
 表には出しませんが狂喜乱舞、嬉しさの舞です。なんたって私はクタクタになった足をどうにか動かして江ノ島のあの長くて多い階段を登りきったのですから、買えないのならばなんのための運動か?
 ですが、買えたので私は満足です。


 さて、旅は終盤。夕食へ。

 夕食の場として選んだのは「とびっちょ 本店」
 以前江ノ島に来た際も使った。安心と信頼の店です。

 呼び出しの10分前になり、動き出した私は、とんでもないことに気がつきました。
 道を間違えていたのです。
 入口の方面ではなく、奥の岩屋へと。
 さあ困った、あと5分しかない。
 私が撮った手段とは、『ダッシュ』です。

 2弾飛ばしで駆け上がり、展望台の麓まで戻ってくると、滑るようにして階段を降りました。
 江ノ島を走ってるのって私くらいなものでしょうね。
 そして呼び出しの1分前にとびっちょ本店に到着。しっかりと間に合ったのです。

 私が注文したのはこちら。


 しらすかき揚げ丼です。お値段1100円(税込)
 リーズナブルで、その上かなり大きい。
 私は食べ切れるか不安でしたが、案外ペロリといけました。とにかく美味しかったです。
 この赤い漬物や、少しかかっているマヨネーズは苦手なのですが、ここのはとても美味しくら綺麗に間食することが出来ました。

 お店を出ると、外はもう真っ暗でした。
 疲れ果てた私は、バスでどこか駅まで行くことに。
 決して暗いのが怖い訳ではありませんよ。ありませんとも。

 バスを乗って、到着したのは腰越駅。
 そこでふと、笑いが込み上げて来ました。

「一人旅って、楽しい……」

 心からの言葉でした。本当に、今日は楽しかったのです。
 好きな所へ行って、好きなものを見て、好きなことをして、好きなものを食べて、好きな時に休んで、好きな時に……。
 この旅は、好きに溢れていました。

 だからこそ、こんなに充実していて幸せなんだと、笑いながら思ったのです。

 そして今、私は帰りの電車の中でこの文章を書いています。

 今日は本当に楽しい旅でした。

 またやりたいな、一人旅……。


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