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<No.26>SDGsの各ゴール解説⑯ 目標16:平和と公正をすべての人に

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
 今回は「目標16:平和と公正をすべての人に」です。

UNDPでは「目標16:平和と公正をすべての人に」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)

持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

平和、安定、人権、そして法の支配に基づく効果的なガバナンスは、持続可能な開発の実現に向けた重要な手段です。私たちは亀裂が深まる世界に暮らしています。平和と安全、繁栄が持続している地域もあれば、紛争と暴力という無限の悪循環に陥っていると見られる地域もあります。これは決して仕方のないことではなく、取り組みが必要な問題です。

激しい武力紛争と情勢不安の高まりは、国の開発に破壊的な影響を及ぼし、経済成長を損なうだけでなく、コミュニティ間にしばしば数世代にも渡る長期的対立をもたらします。紛争のほか、法の支配がない場所では、性暴力、犯罪、搾取、拷問も蔓延しているため、各国は最も大きなリスクにさらされた人々を保護する措置を講じなければなりません。

持続可能な開発目標(SDGs)は、あらゆる形態の暴力を大幅に削減するとともに、政府やコミュニティと協力し、紛争と情勢不安を恒久的に解決することをねらいとしています。法の支配を強化し、人権を推進することは、違法な兵器の流通を削減し、グローバル・ガバナンス機構への開発途上国の参加を強化することとともに、目標実現のプロセスにカギを握る要素となります。

平和と正義の推進は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-16.html

また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、という視点で以下のように伝えています。

平和、正義、包摂を達成するためには、各国政府と市民社会、コミュニティーが結束して、暴力を減らし、正義を実現し、腐敗と闘い、常に包摂的な参加を確保することが持続可能な開発目標を達成するためには、平和で公正かつ包摂的な社会が必要です。
平和と公正をすべての人に確保することが重要となります。

 詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/60363e97f51ef7a01ea616fea6ae8a9e.pdf 

具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール15に連なるターゲットは以下の12です。

• 16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
• 16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
• 16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
• 16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
• 16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
• 16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
• 16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
• 16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
• 16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
• 16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
• 16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
• 16.b 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

 例えば、ターゲット16.1「あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。」で企業のアクションを考えた場合、職場内の暴力、差別、嫌がらせに関する方針や内部規定を作成し施行し、発生時に是正措置を講じる、などが考えられます。

 日本においても、男女雇用機会均等法によるセクシュアルハラスメントの防止や次世代育成支援対策推進法によるマタニティーハラスメントの防止があります。また、2018年末頃からのパワーハラスメントの法制化議論を踏まえ、全般的なハラスメント対策が必要となります。

パワハラ基本講座-あかるい職場応援団
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/
セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088194.html
雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために(マタニティハラスメント等)-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html


グローバル企業においては自社のサプライチェーン上で児童労働を防止する等もこのゴールへのコミットとなります。

最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール16に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。

• 腐敗が最も広がっている制度の中には、司法と警察が含まれています。
• 贈収賄や横領、窃盗、脱税は、開発途上国に年間およそ1兆2,600億ドルの被害を及ぼしています。これは、1日1ドル25セント未満で暮らす人々を少なくとも6年間、1ドル25セント以上で生活させることができる金額に相当します。
• 5歳未満児の73%は出生届の対象となっていますが、サハラ以南アフリカでは出生届率が46%に止まっています。
• 紛争被災地域には、小学校就学年齢で学校に通えていない子どもがおよそ2,850万人います。
• 法の支配と開発の間には、有意な相関関係と相互補強関係があるため、国内と国際の双方のレベルで法の支配を確保することが、持続可能な開発に不可欠となっています。
• 有罪判決なしに拘禁されている受刑者の割合は最近の10年間、受刑者全体の31%を占め、ほぼ横ばいとなっています。

 事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。

 みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。

資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/

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