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突き上げるような振動と音

うとうとと、狭間を漂うような完全に睡眠に落ちる前の感覚。
現実の音も聴こえているが遠い。エアコンの音。

と、突然急にしたから突き上げるような振動が身体を揺らして、トイレからは逆流したような「ゴポォ!!」という音。
私は慌てて飛び起きた。
咄嗟にすぐ感じたのは、津波がもう直前まで来ているということ。
うちは海から2kmくらいだ。そのくらい離れていても、すでに下から海水が突き上げてきているんだ。
水をビニールに入れて重石として置いた方がいいだろうか..いや。そんなことより、上に登らなくては…
でも、なんとなく肌感でわかっている。この規模は無理だ。
マンションの屋上まで登っても..おそらくそこも津波に飲まれるだろう。

そう思った瞬間、急に空気感が変わり、いつも通りの照明に照らされている部屋にスッと切り替わっていく。
全くトイレも逆流してもおらず、家のものも何一つ倒れてもいない。
何も起こってはいなかった。

ただただ、心の奥から震えるような圧倒される力と絶望感の衝撃に疲弊して、またベッドに倒れ込んだ。

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