ぬばたま

『うたうみなも』

ふっと 力を抜いて
緑から青へ 泳いでく

そっと 吐息が揺れて
薄桃色に 咲いている

いのちの谷間をすべる
朝と夜と

月は溶けて
星が泣いて
太陽は白い紙になって胸ポケットへ

銀河の底には詩人の死骸がいっぱい
赤い光を見つめて
桜色のびいどろが星雲を創る

さんざめくさざなみ
些細な言葉で救われて
風に灯がともる

壊せない宇宙の群れ
夜干玉色の常闇は
シルクの手触りで行き過ぎて
にわかに粒だち
ときめく黄金
すべてを赦され
生まれたる
うた

※夜干玉色(ぬばたまいろ)

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。