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Agnes Obel(アグネス・オベル)のアルバム「Aventine」が突然、日本の全ての音楽配信サービスで再生&ダウンロード不可になってしまった!

追記:2020年11月27日、Spotifyでプレイリスト再生中に再生できなかった曲が突如再生され、アルバム "Aventine" が日本の各音楽配信サービスに復活しているのを確認。一体何が起きていたのやら…

Spotfiy でお気に入りの曲を聴こうとしたら…

それは突然やってきました。
新しいオーディオ機器を買うと、自分で作った「試聴用プレイリスト」の曲をまず再生してみるのが常なのですが、今回は完全ワイヤレス(TWS)イヤホンを新しく買ったので、とりあえずペアリングした iPhone で Spotify を起動して、Sopitfy 上に作ってあるこの試聴用プレイリストの曲をいくつか再生しようとしました。

が、プレイリストを開いた瞬間、数十曲のなかで 1曲だけ異変があるのに気づきました。
「あれ?グレーアウトして再生できない!

Agnes Obel の "The Curse" という曲。
もともと大好きな曲でもあり、チェロとビオラの弦を弓の毛の方で叩くコル・レーニョに似た奏法とピチカートから始まり、心地よいチェロの低音とビオラの伸びやかな音に、Agnes Obel のピアノと優しくも芯のあるボーカルが浮遊感をもたせたエフェクトでかぶさる曲で、オーディオ機器の音の特徴もよく表してくれ、まずこの曲を再生して試したりもします。

デンマーク出身の Agnes Obel は日本では知る人ぞ知るという感じがしなくもないですが、デンマークやベルギーでは「Aventine」を含む複数のアルバムがチャート1位にも輝いたこともある、海外ではそれなりによく知られたアーティストです。


現時点では YouTube にだけ辛うじて公式動画が残っていますが、"The Curse" は日本語訳すれば「呪い」というだけあって、不穏な雰囲気ながら、落ち着いた独特の美しさのある引き込まれる曲です。

ポップなミュージックとは一線を画すこの独特のダークでメランコリックな世界観は、ハマる人ははまります(笑)
例えば、この "The Curse" のライブセッション動画は、YouTube で 2千4百万回以上再生されています。

Spotify では日本で再生不可だった洋楽曲がある日突然再生可能になることはよくあるけれど…

数ある音楽サブスクリプションサービスの中でも、Spotify は基盤となる部分は全世界で共通になっているようで(そこが一番気に入っていますが)、世界各国の誰かが作ったプレイリストを検索したり再生したりできます。

そのため、曲を検索しても出てこない際に、その曲名を名前に含む海外の人が作ったプレイリストがヒットすることがよくあります。
これは、その曲自体は Spotify 上に存在するもののレーベルなど権利の関係か「日本では再生できない」状態になっている曲であろうと推測できます。

Spotify アプリの設定で、そうした曲を表示する/しないを切り替えることはできるのですが、「表示する」の場合は再生できない曲はグレーアウトしてクリックしても何も起きません。

Spotify ではどの曲が日本で再生できるかできないか?は謎な部分で、日本の iTunes Store や Amazon MP3 で販売されていても、Spotify では日本からは再生できなかったり、それがある日突然再生可能になったりもします。

しかし、その逆パターン「ある日突然再生不可能になる」を目の当たりにしたのは初めてでした。

Agnes Obel の代表作とも言えるアルバム、"Aventine" 「だけ」がまるごと再生不可になっていた…

驚いたことに、Spotify で再生不可になったのは、Agnes Obel の2013年にリリースされたアルバム「Aventine」まるごとでした。
Aventine」はAgnes Obel のアルバムの中でも代表作とも言え、多くの音楽配信サービスで Agnes Obel の人気曲の上位がほとんどこのアルバムの曲で占められていたりします。
"Dorian"という曲だけ再生可能になっていますが、再生すると何かのコンピレーションアルバムに収録されたものに飛ばされます。

しかもさらに奇妙なことに、Spotify のアーティストページを開くと、これまでに同じレーベルからリリースされたアルバムのうち、「Aventine」だけが消えていました。

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2010年リリースのアルバム「Philharmonics」も、2016年リリースのアルバム「Citizen of Glass」もあるのに、2013年リリースの「Aventine」だけがない!

「Aventine」が消えたのは Spotify だけでなく「日本の全ての音楽配信&ダウンロードサービス」から消えていた!

あまりにも様子がおかしかったので、あわてて他の日本の音楽配信サービスやダウンロード販売サイトを見てみると、
Apple Music
Amazon Music
・LINE Music, Mora はもともとなかった? AWAは検索できないので不明
さらにはダウンロード販売の
iTunes Store
Amazon MP3
まで全く同じ状態、すなわちアルバム「Aventine」だけが消えていました

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一体何が起きたのか? 
曲名 "The Curse" の通り、本当に何かの「呪い」なのか?と恐ろしくなります…

音楽配信サービスから大好きなアーティストのアルバムが消えてしまう悲しさを初めて実感した

日本では、アーティストが不祥事を起こすとCDが回収されたり、音楽配信サービスから曲が消えるという独特の風習がありますが、日本の音楽はほとんど全くと言っていいほど聴かない自分にとっては、「対岸の火事」だと思っていました。
が、今回の事件でそれがファンにとってはいかに哀しく恐ろしいことであるかを身を持って知りました。

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幸い「Aventine」は輸入盤CDを購入してあるので、聴けなくなるということはないのですが、普段の生活の中でよく聴いている Spotfy のプレイリストでその曲が再生されないとなると、Spotifyなど音楽サブスクリプションサービスに依存した音楽リスニングスタイル自体を見直さなければならないのだろうか?という気もしています。

↓自分で作った Spotify プレイリスト上で再生不可になっている状態

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アルバム「Aventine」が消えたのは世界中見渡しても日本だけ!

さらに不可解なのは、試しに iTunes Store で国を変えて調べてみると「Aventine」が消えたのはどうやら日本だけで、欧米は言うまでもなくアフリカや中東、アジア諸国にも当然のようにあり、さらにはほぼすべての日本以外の国では、日本より充実したラインナップでした。

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上の画像は調べた国のうちのほんの一部ですが、調べてみて日本の「音楽鎖国」っぷりが一目瞭然で唖然としました。

なにかの手違いか、それとも…?

代表作でもあるアルバムが消え、それも日本の全ての音楽配信サービスから消えた事実からすると、単純になにかの手違いとは考えられません。

Agnes Obel のアルバムは、これまで日本国内ではリリースされていませんでしたが、今年発売された最新作「Myopia」から、ドイツ・グラムフォン(ユニバーサルミュージックグループ)でのリリースとなっており、後で調べてわかったのですが、ユニバーサルミュージックジャパンがいつの間にか Agnes Obel のアーティストページを作っており、「Myopia」がユニバーサルジャパンから初の日本国内盤CDがSHM-CDとして、さらに e-onkyo など日本のハイレゾ配信サイトでもリリースされていました。

Agnes Obel のディスコグラフィー(Discogs

ユニバーサルジャパンの Agnes Obel のページ

邪推すると、ユニバーサルミュージックジャパンが最新作で日本での版権を得たのを機に、最も人気のあるアルバム「Aventine」を日本国内向けに再リリース(ユニバーサルミュージックジャパンの利益にするため?)しようと、何か画策しているのではないか?とも思えてきます。

Agnes Obel のファンが日本で増えるのは嬉しいですが、今のファンから曲を奪い去ってしまうというのは、何か事情があるにせよ只事ではありません

いつの日か、アルバム「Aventine」が日本の音楽配信プラットフォームで再び聴ける日は戻ってくるのでしょうか…?


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