見出し画像

高野に参った話 その陸

その壱はこちらから↓

前回はこちらから↓

看板が指す道は

見たことのない急斜面。傾斜が90度くらいに見えました(笑)そんなわけないけど。
しかしこれを登りに来たんだから、このまま帰るわけにはいかない。
恐る恐る摩尼山に入っていく。
それにしても人が居なさすぎないか?前にも後ろにも人間の存在がない。
熊とか登場しなすったらどうしよう。
今地震起きたら埋もれちまう。
至る所にある「山火事注意」の看板が私の恐怖を煽る。

引き返せないという恐怖

お邪魔します……失礼します……
と言いながらビクビクと進んで行く。
歩けど歩けど先の見えない急斜面。
一人で来るのは無謀だったなぁ。
どうしよう無理かもしれない、引き返すか。
いやそんなこと出来るはずがない。なぜなら進んできたのは急斜面だからである。あんなところを下るなんてどう考えても不可能だ。
スライダ―のごとく転げ落ちる未来しかみえない。

研ぎ澄まされるもの

自分を奮い立たせて足を動かす。
一歩一歩足を上げて歩かないと、根や草に足を引っかけて転倒する。
しかし足元ばかり見ていると道を見失う。
集中力が必要不可欠だ。
少し集中が切れるとすぐに危険が迫ってくる。
平地では求められない意識や感覚がここでは求められていると感じました。

誰も代わってくれない

やっとの思いで(階段でいう)踊り場に出て地図を確認する。
なんということだろう、地図上では2㎝も進んでいない。
これは長い闘いになりそうだ。三山もあるのに……!
日が暮れるまでにちゃんと里に戻れるのだろうか。
心配したとてリタイアはできない。誰も代わってはくれないからである。
仕事でもなんでも、もう無理だとなれば誰かが代わってくれた。
叱られても怒られてもイライラされても自主出禁になったとしても、とりあえず代わりに誰かがやってくれることで事が進んできた。
しかしここではそうじゃない。
どこまでいっても自分しかいないのである。

今回はここまで。次回は最終章です。日常生活で使わない力がさらに呼び起される……



投げ銭してもええよ!!という方がもしいらっしゃいましたらサポート頂ければ嬉しいです。今後の執筆活動に使わせていただきます。