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トルティーヤマト武尊

トルティーヤ又はトルティージャと呼ばれる料理が二種類。tortilla がスペイン語のスペルですが、llaは人によってヤともジャとも発音されます。
南米でよく食べられているトウモロコシの粉を水で溶いた粉を薄く焼いた物と、もう一種類はジャガイモ等の具が入ったスペイン風オムレツ。
まったく違う料理なのに、どうして同じ名前?誰か正解を知っている人、教えて下さい。
タコス等に使われるトウモロコシ粉の物は作ったことがありませんが、スペイン風オムレツは時々、作ります。ということで調理開始。


材料

ミニトマト 6個
ブロッコリー 房の部分 半分
玉葱 1/4
ジャガイモ 1個
塩 小匙 1
胡椒  適量
自家製マヨネーズ 大匙 2
オリーブオイル 適量

トルティーヤ、や、ヤマトタケルということで ヤマトタケルノミコトを妄想しながら調理。
景行天皇の皇子で、元々の名前は小碓命(オウスノミコト)
父の命令で、外敵征伐に西へ東へ。


主役の卵と名脇役の大蒜を移してなかった。

日本武尊の物語、衝撃的な始まり。彼は兄、大碓命(オオウスノミコト)を殺害、しかもバラバラに。
父の景行天皇、小碓命の残忍さと力を恐れたのか、息子が殺された怒りと悲しみからか、小碓を処分するのではなく、外敵退治に追い使う。
まず、彼が行かされたのは西国、九州の熊襲征伐。


玉葱は細切り、大蒜一欠けを微塵切り。

熊襲達の宴会に潜り込んだ小碓は女装して踊る。小柄で優美な優男だった?
そして隙を見て、首領であるクマソタケルを隠し持っていた剣で一突き。
今にも息絶えそうなクマソタケル、
「あなたのように勇敢で強い者は見たことがない。これからはヤマトタケルと名乗りなされ」と言い残す。
タケルとは強い者という敬称、つまりヤマトの強者といった意味。この名前を気に入ったのか、以後、ヤマトタケルノミコトと名乗ることに。
漢字を当てると、古事記ては倭健命。日本書記では日本武尊。


ミニトマトは半分に切る。

使命を果たして、倭に戻るとすぐに東国征伐を命じられます。
自分は父に嫌わている。死ねばいいと思われていると日本武尊は考える。実際にそうかもしれないと私は考えますが。
叔母の倭比売命(ヤマトヒメノミコト)は、そんな日本武尊に火打石が入った袋と、天叢雲剣を授けます。
この剣は須佐之男命が八岐大蛇を退治した時に尾から出て来たという剣。
須佐之男命と日本武尊、イメージが被ります。どちらも神の系譜に連なる貴種でありながらも流浪を余儀なくされ、怪物とか外敵の退治をすることになる。


ブロッコリーは房の部分だけを半分、茹でる。

静岡辺りまで来た時、日本武尊は敵の謀略で火攻めに。その時に叔母からの贈り物が役に立ちました。
火打石で迎え火を付けて、剣で草を薙ぎ払うと、火は反対の方へ。おかげで命拾い。実を言うとわかり辛いシチュエーション。
この出来事の後、この地は焼津と呼ばれるように。又、天叢雲剣は以降、草薙剣とも呼ばれるようになり、三種の神器の一つとして受け継がれています。


大蒜と玉葱を炒める。しんなりするまで。

東日本での征伐が多かったのか、東の方が日本武尊の逸話が多い気がします。
秩父の山深く、狼が出るような場所まで来た日本武尊、眺めのよい場所にイザナギ、イザナミの神を祀る祠を建てました。それがパワースポットとして名高い三峯神社の始まり。三峰神社の動画です。↓これは日本武尊の銅像ですが、手がミット嵌めてるみたいに大きかった。


卵3のつもりでしたが、一つ追加。

船で走水(横須賀)の辺りを航行中、嵐に見舞われ、同乗していた妻の弟橘姫は海神の怒りを鎮めるために、自ら海中へ。
その甲斐あってか、海は鎮まり、日本武尊達は無事。
後に上野(群馬県)北部辺りまで来た時に、日本武尊は妻を偲んで、
「我妻よ、吾妻よ」と呟いたとか。その辺りが今、吾妻郡と呼ばれる辺り。地名の元になった話が多いですな。


茹でたジャガイモを乱切り、ミニトマト以外の具材も混ぜ容れる。マヨネーズはふんわりと仕上げるために必要。塩と胡椒も忘れずに。

昔の話で、しかも貴人ですから、日本武尊には複数の妻がいたようで、尾張国の美夜受比売(ミヤズヒメ)も妻の一人。伊吹山の荒ぶる神を退治に出かける時、日本武尊は草薙剣を妻に預けて出発。
素手で討ち取るつもりだったと古事記は伝えていますが、尾張国風土記逸文には、剣が光り輝き、手にすることが出来なかったとの記述。
伊吹山の神は氷雨を降らせ、その毒気に当たり、病を得た日本武尊は命を落とす。


混ぜ合せた生地をオリーブオイルで焼く。蓋をして弱火でじっくりと。

「倭は国のまほろば、たたなづく青垣、山隠れる、倭し麗し」
国を偲ぶ歌を歌って、日本武尊は亡くなります。
日本武尊の魂は白鳥となって、故郷の倭目指して飛んで行ったと伝えられます。


ある程度焼けたら、ミニトマトを散らして、もう一焼き。

美夜受比売の元に遺された草薙剣、熱田神宮に祀られました。そのまま現在までそこに祀られています。


トルティーヤマト武尊

ケチャップをかけて頂きました。狙い通りにふんわりとした焼き上がり。
ブロッコリーはタンパク質、カルシウム、ビタミンB6等、栄養の宝庫。
微かな塩味とマヨネーズの風味がケチャップによく合う。
ミニトマトもいいアクセント。

高貴な人物が流浪や戦を余儀なくされる物語は貴種流離譚といいますが、日本武尊の話は正にそれ。
日本武尊が戦い続けることになったのは、自ら招いたことだったのかもしれませんが、死して初めて魂の安心を得られたように感じると哀れも覚えます。高貴な生まれや力があっても幸福な人生を送れるとは限らない。
そんなことを思いながら、トルティーヤマト武尊をご馳走様でした。

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