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毛矢んカレー

最近、あちこちで名前を聞いて気になっている、
もうやんカレー。
グルテンフリーで美味しくて体にいいとか。
しかし私の住むド田舎には、支店はない。
と思っていたら、スーパーにて「もうやんカレー」ルーを発見。
これは買うしかないだろう。ということで瓶詰めのルーを購入して、調理しながら、毛利と三本の矢を妄想した記録。


材料

生ルー   1瓶
玉葱    半分
オクラ   2本
ミニトマト 2個
枝豆    一つかみ
バター   10グラム
水     300ml

病床にあった毛利元就、三人の息子達を呼び寄せて、1本の矢をそれぞれに渡す。
「折ってみよ」
容易く折れる矢。
「三本、束ねて折ってみよ」
今度はなかなか折れない。
「1本の矢は弱いが、三本まとまると容易には折れない。そなた達も三人まとまり、心を一つにして折れないように努めよ」
と教訓。
これが「三矢の訓」と呼ばれる逸話。
しかし、これはどうもフィクションらしい。
ただ、息子達に「三子教訓状」と呼ばれる手紙を書いた。それをわかりやすく矢を用いたたとえ話にしたのでしょう。


玉葱を微塵切り。

明応六年(1497)安芸(広島県)に誕生した松寿丸が後の毛利元就。
毛利家は鎌倉幕府初代別当、大江広元の子孫。
戦国時代の安芸には「平家物語」とか「吾妻鏡」に登場する武士の子孫が多い。
小早川家は土肥実平の子孫。熊谷次郎の子孫の熊谷信直等。
毛利家は元々、吉田荘の地頭。
この時代の当主、弘元には四人の男子。
正室との間に興元、元就。側室との間に元網と就勝。
家督を継いだのは長男、次男の元就は分家。元網は相合家を相続。四男は出家。


グルテンフリーに化学調味料不使用。そそるラベル。

この頃の中国地方には大内、尼子という二大勢力。興元は大内家についていましたが、若くして死亡。息子の幸松丸が後継。幼少なので元就が後見を務める。この時には尼子に付く。
ところが、この少年当主も夭折。
この時、尼子家が跡継ぎ問題に介入。
尼子の分家、新宮党から養子を迎えよという進言。これを受け入れれば、完全に尼子に乗っ取られる。それを防ぐため、元就が跡を継ぐことを宣言。
元綱がこれに反発。桂とか渡辺という重臣も元綱を担いで、毛利家中紛糾。


中身はこんな色。飴色と称するべきか。

元綱を討つことで、この内紛を収める。
兄弟仲は決して悪くなかったらしいので、兄弟相克は元就としても辛いことだったと思われる。この経験が、後に自分の息子達への教訓に繋がる。
もう一人の弟は還俗した後、北家を継いで、北就勝と名乗り、元就の忠実な家臣となる。
これだけの騒動になったのは、尼子家が後継問題に嘴を突っ込んできたことも一因ということから、元就が当主となってからは毛利家は大内に付き、大内家が滅亡するまで揺らがず。


バターで微塵切りの玉葱を炒める。

元就の正室は吉川家から迎えた妙玖。但しこの名前は戒名で生前の名前はわかりません。この正室との間に娘と三人の男子を設ける。
長男の隆元が毛利家を継ぎ、次男の元春が妙玖の実家、吉川家を継ぎ、三男の隆景が小早川家を継ぐ。
次男、三男を他家に養子に送り込み、実質的に乗っ取るという手法は尼子家に仕掛けられそうになったことを学んで実践?


四つ切りにしたミニトマト、小口切りのオクラ投入。

後に大内家滅亡後、安芸、周防、長門と広大な領国を得た後、次男と三男はちこちこなつなつと仲良くして、自分はのけ者にされていると長男、隆元がぼやいたことがあり、兄弟が疎遠になるのはよくないとして、元就が三人の息子達に宛てた手紙が「三子教訓状」
「ちこちこ」とは当時の言葉で、現代風にするなら「近しい」
「なつなつ」は「なつく」といった意味合い。
息子達の様子から、元就は自らの若い頃を思い出したのかもしれません。あの時のように万一、兄弟が争うことがあってはならない。
その思いを込めた手紙で、十四ヵ条に及び、くどくどと団結することの重大さを説いています。
元春と隆景は他家を継いでいるが、それは当座のことで決して毛利宗家を疎かにしてはならぬとか、兄弟の間に分け隔てがあってはならぬとか、同じような内容を表現を変えて繰り返している書状。


ルー、水、塩茹でした枝豆も投入。

毛利元就、地味な戦国武将と言っていいでしょう。
織田信長のようなカリスマ性はないし、豊臣秀吉程に人たらしでもない。
しいて言えば徳川家康には少し似ている気がする。当時としては長命で、人生後半に飛躍の機会を掴んだ所等。
つまり一人の力には限界があることを知っていたのではないか。だからこそ、団結することの重要さを息子達に説いたと思われる。


15分から20分程、煮込んだ。

「百万一心」という言葉があります。
元就が居城、郡山城を改修する時に人柱代わりに埋めたと言われる石に刻まれた文言。
字体が少し変わっていて、百を「一」と「日」に分解。
万を「一」と「力」に分解した字を刻んだといいます。
「一日一力一心」とも読めるということ。
日々、そして一人一人の力を合わせて心を一つにするという意味合い。
これこそ団結の重要さを示した言葉。団結の大事さを説いたのは息子達に対してだけではなかった。


毛矢んカレー

説明書きには肉を炒めて作ると書かれていましたが、私は基本的に肉食は控えています。よって豆カレーにしました。
濃厚な風味。もう少し辛みが欲しかったので唐辛子粉を小匙1程追加。反対に甘味が欲しい時には蜂蜜等を入れるといいかも。
玉葱の甘味、トマトの酸味も加わり、我ながらいい組み合わせとなった。
豆のタンパク質、トマトのリコピンもしっかりと頂ける。

作家の永井路子氏も著書で書いておられるのですが、元就が相続した頃の毛利家の領地は安芸の地図で示すと点のような物。指で簡単に隠せる位だったのが、元就一代で膨張。大内も尼子も滅ぼして、中国地方をほぼ掌握。当時、日本最大の版図を築きました。
色んな逸話が残る毛利元就。今回は団結することの重要さを説いた元就を妄想しながら、濃厚ルーで仕上げた毛矢んカレーをご馳走様でした。

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