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採用オウンドメディアの切り口15カテゴリ113チェックリスト

採用オウンドメディアを運用する上で一つの課題となるのが「何を書けばよいかわからない」問題。小さな会社ほど書くことがない・・・と嘆く人事担当者の方がたくさんいらっしゃいますが、そんな時に見返すのが@yu_pf さんが以前書いてくださったこのnote。

このすべての企業にある「もったいない」素材リストが神過ぎてブログコンテンツ制作時に超参考になります。もうこの時点で既にスプレッドシート上で閲覧できる神資料(なんと無料!)になっているんですが、個人的にテキストベースでざっと見返せた方が使い勝手が良かったので、今回はほぼ自分用にまとめ直しました。なので決して僕のオリジナルコンテンツではありません。繰り返しますが@yu_pf さんの神コンテンツです。

切り口①「歴史」

1. 創業までのストーリー
2. 周年の振り返り
3. 数年ごとの振り返り 10年/5年/3年
4. 毎年(1年)の振り返り
5. 毎月(1ヶ月)の振り返り
6. 四半期ごと(3ヶ月)の振り返り
7. 毎週(1週間)の振り返り
8. 毎日の振り返り
9. 自社にとっての転機
10 .大きなイベント、事件、出来事など
11. 流れが変わった時期、流れを変えた出来事
12. 区切りとなる時期、出来事
13. 変化したことのBefore/After
14. 創業者が語る
15. 経営陣、ボードメンバーが語る
16. 社員が語る
17. その他の関係者、取引先の人たちと共に語り合う
18. 顧客・ユーザーに語ってもらう
19. 一つひとつの事業について
20. 個別のサービス・製品について
21. 組織の移り変わり
22. 制度や仕組みの移り変わり
23. 企業文化の移り変わり
24. オフィスなど、環境の移り変わり
25. 人の移り変わり

やはり歴史やストーリーテリングといったコンテンツは強いですね。読み手を惹きつけ、共感を生み出し、人を動かす力があります。採用に限らず会社を応援してくれる応援するファンを作ることもできます。

求職者の心を揺さぶり、動かすためには読み手に「ビジョン」を見せることが必要です。会社や事業、サービスによってその人をどう変えるか、将来自分がどう変わるか・成長するか。未来が見えると人は行動に移す。「歴史」という切り口は採用にはもってこいのコンテンツ。

切り口②思想・哲学

26. 企業理念、経営理念
27. MVV(Mission/Vision/Value)
28. 企業として重要視すること
29. 創業者の考え、重要視すること
30. 経営陣、ボードメンバーの考え、重要視すること
31. 一人ひとりの社員がもつ考え、重要視すること
32. 各事業の軸となる思想・哲学
33. 各サービス・商品の軸となる思想・哲学
34. 制度や仕組みの軸となる思想・哲学
35. 組織運営(採用など)の軸となる思想・哲学

組織というものは、従業員がバラバラの方角を向いていては成り立たちません。会社が成長すれば自ずと従業員は増えますし、成長フェーズに合わせて人材が入れ替わることもあります。そんな中でも、常に全員が同じ方向を向いて行動するためには、しっかりとした羅針盤が必要で、それが、ビジョン、ミッション、バリューと呼ばれるものになります。

キングダム的にわかりやすく言うと、後の秦の始皇帝"嬴政"には「戦争の無い世界を作る」というミッションがあります。そして争の無い世界を作るというミッションを達成するために「中華を統一する」というビジョンを持っています。明確なミッション、ビジョン、さらにそこに到達するための具体的な道筋をはっきりと発信できている会社に求職者は魅了されていくのだと思います。「わたしも戦争の無い世界を作りたい!」と思わせられるかが大切です。

想い

36. 社会に対する想い
37. 事業に込めた想い
38. サービス・製品に込めた想い
39. 経営陣→社員に対する想い
40. 社員→会社に対する想い
41. 創業者の想い
42. 社員一人ひとりの想い
43. 顧客・ユーザーが抱いてくれている想い

「強い人が勝つとは限らない、すばらしい人が勝つとも限らない。『私はできる』と考えている人だけが結局勝つのだ」

これはナポレオンヒルの残した言葉ですが、想いの強さ=熱量。これはどんな能力よりも、どんな知識よりも大事だと思います。「強い想い」は多くの共感者や協力者を呼び、それがまた多くの共感や協力を増やす。共感採用と言われている昨今、想いの強さは非常に強力な武器になります。

視点

44. 企業としての意見、主張
45. 創業者の意見、主張
46. 経営陣/ボードメンバーそれぞれの意見、主張
47. 社員一人ひとりの意見、主張

物事を見る時には、3つの目があると言われています。それは、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」の3つです。

鳥は高いところから、獲物を見つけるために飛んでいるため、高いところから全体像を把握する目のことに例えられます。

虫は地面に近いところで暮らし、狭く深い世界にいるため、現場に接し足元を見つめ直す目に例えられます。

魚は、水の流れの先がどこへ行くかを読み、突然の変化や異常点を見過ごさない目として例えられます。

これをコンテンツのイメージに当てはめると
鳥の目・・・経営者、経営ボードから見た会社イメージ
虫の目・・・現場社員や顧客から見た会社イメージ
魚の目・・・これから会社がどうなっていくのかという将来の会社イメージという感じでしょうか。視点を変えるだけで様々な切り取り方ができますね。

48. 創業者の人となり
49. 経営陣/ボードメンバーそれぞれの人となり
50. 社員一人ひとりの人となり

これはよく見る社員インタビューに近いコンテンツですね。ろくろ回したり、腕組んでドヤってアイキャッチに載ってるやつです。この類の記事は基本的に綺麗に書かれるので、個人的にあまり信用していません。一番萎えるのはインタビュー内容をそのまま載せちゃうパターン。せっかくやるならその人の原体験や教訓などをしっかり言語化し、読み手に取って共感と学びがある記事になっていてほしいと願っています。

意思

51. 優先順位の付け方
52. 絶対にゆずれないこと
53. 会社としての好き/嫌い

これ結構大事でして、「付き合ってるときは良かったけど、結婚したら違った」みたいなすれ違いをなくすための項目だと思ってます。

・仕事よりも家庭を生活の中心にしたい
・お金の管理だけはしっかりやってほしい

とかあるじゃないですか。些細なことかもしれませんが、放置すると大きな紛争に発展することがあります。

これは例えば、
・こんなことをされるとイヤだ
・こんな人とは働きたくない
といった切り口に変換することができます。

このようにネガティブな要素をあえてオープンにすることで一時フィルターをかけることができるので、「求めない人物像」というのは案外重要なのかもしれないですね。

直面していること

54. 現在地について
55. トライアンドエラーの状況
56. 進捗報告

直面していることをオープンにすることで、「今うちはこんなことに困っているので、助けてくれませんか?」といった募集の仕方ができます。よく面接で「うちの課題は何だと思いますか?」みたいな質問あるじゃないですか。答えられなかったら志望動機が低いとみなして落とす人もいるとかいないとか言われますが、そもそも働いてないのにその会社の課題なんてわかるわけないんですよ。仮説をぶつけてくる人はよっぽど優秀な人か口が達者な人です。会社の置かれている状況を発信することで、「自分の持っているスキルを活かせるかもしれない」と求職者に思ってもらえる可能性があります。

サービス・製品

57. どんなサービス・製品?
58. なぜ開発したのか?
59. どうやって開発したのか?
60. どんな人・企業に使って欲しいのか?
61. 背景にある想いは?
62. なぜ今それが必要なのか?(社会的な文脈)
63. 実際に使うとどうなるか?(ユーザー事例/お客さまの声など)
64. どうやって活用するのか?
65. 未来をどうしたいのか?(サービス・製品によって何が変わるのか)

好きなサービスをつくっている会社のことを好きになる経験ってありますよね。北欧暮らしの道具店なんかはファンマーケティングの典型だと思います。

例えば、熱狂的なファンを生み出すコンテンツ制作のルールとして、北欧暮らしの道具店はECの定番機能である「レビュー」と「ランキング」機能をつけていません。

僕らにとっては売れること以上に、「うちに来たら楽しいな」あるいは、「うちの仲間になりたいな」と思ってもらうことが最重要なので、売れるということは、それ以下のことなんですよ。売れるけどおもしろさに反する、快適さに反することはやらないというところはありますね。例えばですけど、ヴィトンがECやったとして、レビュー機能を付けると思いますか?
https://logmi.jp/business/articles/144896 ログミーBizより

世界観を完璧にコントロールしたいというのがブランドなので、編集権をユーザーに開け渡さないということだそうです。つまり、その会社の世界観はプロダクトにも反映される。利便性の観点から言えばつけた方が良いのはわかっていても、つけない。「この価値観に共感する人が応募をしてくる」ということがとても重要な意味を持っています。

顧客・ユーザー

66. どんな人たちが顧客に多いのか?
67. なぜその人たちが使ってくれているのか?
68. どんなところに魅力を感じてくれているのか?
69. どう活用してくれているのか?
70. 実際にどんな意見/感想がフィードバックされているのか?
71. 顧客・ユーザーに対する取り組みは?
72. 顧客・ユーザーとどんな関係性を築いていきたいのか?

顧客やユーザーの声は圧倒的コンテンツ・・・!顧客やユーザーの声を聞くことで自社がどういう風に見られているかが一瞬でわかります。「うちの会社はこんなにすごい」「こんな競合優位性がある」といった、自社のサービスの特徴などをアピールするコンテンツももちろん大事ではあるのですが、それだけではどうしても企業目線での独りよがりなものになりがちです。

顧客の声をコンテンツ化すると、企業目線ではなく、お客様目線で客観的に商品やサービスの良さが伝わることが最大のメリットだと思っています。また、採用以外にも自社の商品やサービスに対して、社員が自信ややりがいを持てたり、社員に顧客志向が身につき、お客様に対して丁寧に接するようになったりと波及効果は大きいように感じます。

制度・仕組み

73. どんな制度や仕組みがあるのか?
74. その制度や仕組みをなぜ作ったのか?
75. どのように作ったのか?
76. 誰が作ったのか?
77. 現在、どのように利用されているのか?
78. なぜ、今その制度や仕組みが必要なのか?
79. これからどんな制度・仕組みを作ろうとしているか?

制度や仕組みのコンテンツを考える上で、「なぜその仕組みが作られたのか?」という構築背景まで発信できるとより共感を得やすいと思います。キングダム的に言うと(2回目)、人をまとめあげるには「法で国を統治する」ということが大原則です。会社にとっての「法」はルールであり制度・仕組み。誰もが明快に決められたルールに従って、仕事をこなす。それが大原則です。

キングダムの世界で、秦国の法学者・李斯は"法"をこう説きます。
「"法"は国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ」

例えば弊社リクパーでいうと「リクプロ」と呼ばれる社内表彰制度が存在します。これは毎月リクパーのカルチャー(8バリュー)に沿った行動がとれているスタッフを表彰する制度です。メンバーには「顧客のために仕事をしてほしい」「期待を超える仕事をしてほしい」とはよく言います。が、「顧客のために仕事をしてほしい」「期待を超える仕事をしてほしい」という言葉はルールではありません。この部分を「カルチャー(8バリュー)に沿った行動がとれているスタッフを表彰する制度」である「リクプロ」という仕組みにすれば、ルールになり、それを守れているかどうかを可視化することができます。リクパーはメンバーが100人を越えてきたあたりから「らしさ」の言語化と浸透にトライしてきました。こういったバックグラウンドをより深掘っていくと、「なぜ」の部分が作っていけると思います。

成果・実績

80. 決算情報の開示
81. 経営目標/計画の開示
82. 目標/計画に対する達成度の開示
83. 各サービス・商品に関する売上推移等の開示
84. サービス・製品の導入事例(顧客・ユーザー側で生まれた成果)
85. プロジェクト/事業開発などの進捗状況

企業によって出せる情報と出せない情報があると思いますが、サービス・製品の導入実績などはインパクトがあるかもしれません。どういった領域で強いのかといった優位性が明確になっていると求職者の検索軸に引っかかりやすくなります。例えば、リクパーは「九州発の人材プロフェッショナルファーム」と謳っていることもあり、九州以外の関東・関西への営業活動は基本的に行っていません。そういった狭域戦略もあり、九州エリアにおけるIndeedの導入実績がNo.1だったりします。

こうなってくると、

・ローカル×HR×Webマーケティング

といった領域でキャリアを積みたい方からの応募が入ってきたりするので、採用ターゲットに対してどういった軸で情報を出すかという観点は大事になってきます。

社内

86. どんな人と働きたいのか
87. 採用に対する考え方、思想
88. 個々の社員の入社理由
89. どんなタイプ/性格が自社に合うのか
90. どんなタイプ/性格が自社には合わないのか
91. 社内の統計データ(男女比、平均年齢など)
92. 諸条件や福利厚生など
93. 社内イベント/行事
94. 社内でよく見られるシーン
95. 日常の社内風景(当たり前に行われていること)
96. 部署・チームについて
97. 役割・職種について
98. 一人ひとりの社員について
99. 社内プロジェクトについて
100. 社内のメンバーが好きなもの・こと
101. 社内のメンバーが取り組んでいること、そのプロセス

これはジョブディスクリプションの中に多く記載される内容です。今後はIndeedをはじめとした求人検索エンジンへのSEO対策として各キーワードの充実度も重要になってくると思います。あと意外と盲点なのは「部署・チーム・役割」について。

人事の人に魅了されて入社を決める人は多くいます。ですが、会社側は魅力付けできる人を人事部にアサインしているので当然と言えば当然の話。実際に一緒に働くのは人事の方ではありません。実際の配属予定先の上司がどんな人なのか、何人のチームなのか、どんな人がいるのか、全社の中でどんな役割を持った部署なのか、チームの中でどんな役割を求められて配属されているのか、そういった情報がリアルであり、外に出していくべき情報だと思います。

環境

102. どんなところで働いているのか?
103. オフィスのこだわり
104. スペースの紹介
105. どのように活用しているか
106. 日常風景など

環境面はテキストよりもビジュアル訴求した方が100倍伝わります。写真はもちろんですが、最近は職種別の採用動画やVR動画なども使って普段は人が入りにくい場所(工場やプラントなど)の紹介も行われています。コンテンツとしては「一日の流れ」がテッパンネタですが、これもリアルな一日にしておかないと求職者に怪しまれます。


地域制・土地柄

107. 周辺のスポット紹介
108. ランチ/飲み会の様子など

UIターン狙いの場合、ご当地情報が有益コンテンツになることがあります。福岡市を例にとると、天神ビッグバン、博多コネクティッド、ウォーターフロントネクストといった大規模な再開発があちこち進められています。福岡市はスタートアップに意欲的で、関東に本社を置く企業や、スタートアップ・ベンチャー企業の誘致だけでなく、新たな起業も促進され、オフィス不足に拍車がかかっている状態です。こういった都市開発情報もUIターンを促進する動機付けになりますね。


社会活動

109. どんなことに取り組んでいるか?
110. なぜ取り組んでいるのか?
111. どのように取り組んでいるのか?
112. どんなメンバーが関わっているのか?
113. 活動を通して、どんなことを社会に還元しているのか?

これは一番難しいコンテンツかもしれません。社会に貢献する前に、目の前の人に貢献するので精一杯です。

最後に

ここまで書いてアレですが、

「本当に走り切る覚悟できてますか?」

ということを採用オウンドメディアに取り組む前に問いたいと思います。

オウンドメディアが重要なのはわかっていてもなかなか取り組めない、取り組んだが挫折したなど、命を宿しては消えていくオウンドメディアも存在します。そしてこのオウンドメディアの運用を阻害する要因は主にヒト・モノ・カネにあると言われます。

ヒト:運用するリソースがあるか
モノ:発信するコンテンツがあるか
カネ:構築・運用コストが賄えるか

オウンドメディアの運用はマラソンみたいなものです。一度走り出したら止まれません。中途半端に更新しなかったり、更新したり、いずれ死にゆくメディアになるのであれば、最初から命を与えてはいけません。やるならやると、走り続ける覚悟が必要です。走り続ける覚悟がないなら初めからやらない方が良いです。

多くの会社が脳みそをフル回転させながらオリジナルコンテンツを発信して、ワイワイガヤガヤする動物園のようなプラットフォームが近い将来できると面白いかもしれませんね。