ユヴァル・ノア・ハラリのインタビューがTED.comに載っている

歴史家ユヴァル・ノア・ハラリのインタビューがTED.comに載っている。英語で語られるが、日本語で見たい人は日本語訳を大きく出ている。見ながら聴ける。下記は抜粋です。見てみてください。

下記のwww.ted.comのリンクに行きますと日本語の翻訳が見れます。

ページの下のYoutubeのリンクではオリジナルの言葉で見れます。
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https://www.ted.com/talks/yuval_noah_harari_nationalism_vs_globalism_the_new_political_divide/transcript?language=ja&fbclid


(ユヴァル)ええ 20世紀的な 左派対右派という古い政治モデルは 今はほとんど意味をなさず 今の時代における真の分断は 世界と国家 世界と地域の間に起こっています 世界全体を今一度 見渡してみると それこそが主要な問題なのです おそらく 全く新しい政治モデルと 政治に対する完全に新しい考え方が 必要とされています 要点は こうだと言えます グローバルな自然環境があり グローバル経済がある一方で 国内政治があり これらが整合しないのです そのために政治システムが 非効率になります 我々には自分の生活を形作っている 力に対し制御が効かないからです この不均衡状態に対する 基本的な解決策は2つあり 経済のグローバル化を停止し 国家経済に回帰するか それとも 政治システムを グローバル化するかのいずれかです

(クリス)アイデンティティの話に戻りますが 社会から疎外されたように感じ おそらく仕事も奪われた人々について あなたは『Homo Deus』で このような集団はある意味 拡大していると書かれてますね つまり あまりに多くの人たちが 何らかの形で技術に仕事を奪われ その結果として あなたが「役立たず階級」と書いた 経済に貢献しない層であると 伝統的にみなされる階級の人々が 大勢生まれる可能性があります。

(ユヴァル)この件は とても慎重に考えるべきです 2040年、2050年の雇用市場が どうなっているか 誰も本当のところは知りません 新しいタイプの仕事が 創出される可能性だってありますが それは確かではありません たとえ新たな仕事が現れても 自動運転車のせいで失業していた— 50歳の元トラック運転手に 簡単にできる仕事とは限りません 例えば 失業中のトラック運転手が 仮想世界のデザイナーとして 再起を図るのは困難でしょう。

前例として 産業革命で 起きたことの軌跡を辿ってみましょう ある種の作業で 機械が 人間に取って代わるようになったとき 雇用の問題を解決したのは 新種のビジネスにおける 高い技能を必要としない仕事でした 農作業に必要とされなくなった労働者は 高い技能を必要としない 産業労働へと移り変わりましたが より多種の機械が導入され この仕事も奪われると 技能を必要としないサービス業に 移っていきました この先 また新たな職が創出されるとか 人間は人工知能やロボットより 優れていると語る人の 頭にあるのは技能職です 例えば 仮想世界をデザインする ソフトウェア技術者などです しかし ウォルマートのレジ係を クビになった人が 50歳にもなって仮想世界のデザイナーとして 再起することが私には想像できません そんなことは 職を失った バングラデッシュの繊維業労働者には なおさら不可能です もし そういう方向性なのであれば バングラデッシュ人に対し ソフトウェア技術者としての教育を 今まさに始めなければなりませんが 実際にはしていません 20年後の彼らは 何ができるのでしょう?

(ユヴァル)多様なアイデンティティの問題点は 国家主義においても問題となります 国家主義は単一、画一的な アイデンティティを信じ 排他的もしくは少なくとも より極端な国家主義は 単一のアイデンティティへの 排他的な忠誠心を信奉しています そのために国家主義は 多くの問題を抱えてきました 信奉者たちが 様々な集団の間での アイデンティティの 分断を望んだのです 単に世界的ビジョンといったものの 問題とは言えません。

やはり歴史が示しているように 必ずしもそのような排他的な条件で 考えるべきではありません 各個人に ただ1つの アイデンティティしかないのならば 「私はXでしかない それだけだ 複数のものにはなれないのだ」 これが問題の発端となります 宗教や国家が 時に排他的な忠誠心を求めます しかし他にも選択肢があります 多くの宗教や国々では 同時に多様なアイデンティティを 持つことが許されています。

(クリス)しかし昨年起きたことの理由の 1つは こういうことではないでしょうか いわゆる自由主義的な エリートのような人たちが 多くの異なるアイデンティティを 貪欲に求める様子に 我慢ならなくなった人々が いたということ 「でも俺のアイデンティティはどうなんだ 俺は完全に無視されているじゃないか 自分は多数派に 属していると思っていたのに!」と 怒りを爆発させたということでは?

(ユヴァル)アイデンティティは いつでも厄介なものです その基盤となっているのが 例外なく虚構であり その虚構は早かれ遅かれ 現実と衝突するものだからです ほぼあらゆるアイデンティティが 数十人からなる 基本的な共同体の 枠を超えて 虚構に基づいて作られています それは真実でも 現実でもありません 人々が創造し 伝え合って 信じ始めたに過ぎません だからアイデンティティというものは どれも非常に不安定なのです 生物学的な真実ではないのですから 時に国家主義者は 例えば 国家とは生物学的な実体だと言います 国家は血と土の組み合わせでもって 成り立っていると考えるのです しかし これは虚構に過ぎません。

(クリス)土と血を混ぜると ネバネバして汚いですがね。

(ユヴァル)確かに その上 自分が 血と土でできているなんて考え出したら 頭が混乱しますよね 生物学的な見方をしてみましょう 現在ある国々は どれも 5千年前には存在しませんでした。



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