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36.あとで話があるという脅しに屈してはいけない

 わたしはとてもせっかちなんです。

 でも、紅茶を入れている間とか、行列に並ぶとか、料理が運ばれてくる間とか、なんて言ったらいいのか分からないですが、物質的なことに対してはせっかちではありません。待ち合わせした友達が遅刻してきても全然待てます。

 ただ、人との気持ちのやりとりがせっかちなんですよね。

「あとで話がある」
 この言葉がはっきり言うと嫌いなんです。話があるなら今言えばいいし、あとで話すならあとでその事を言えばいいじゃんって思います。その思わせぶりな感じが好きじゃないんです。
 そもそもなんで話があることを事前に言ってくるのか。

 大切なことを話すから心の準備をしておけよってことなら、なんて自分勝手なんだと思います。心の準備をさせている間の、相手の気持ちを考えたことはあるのか、と言い返したくなります。
 それが仕事中なら仕事に手をつかせないようにしているし、プライベートなら楽しみを奪っているわけです。要するに、ソワソワさせるなってことです。

 そしてだいたい「あとで話がある」の話は、良くない事の方が多いです。話をするまでの間、不穏な空気で相手をソワソワさせるだけさせて、そして最後に思い切り確実に突き落とす。こんな非情な手段を使ってくるとは・・・卑怯者め!って武士なら刀を抜いているところですよ。

 なので「あとで話がある」って言ってくる人が居たら、その時点から信用しません。それが身近な人なら、そういうのやめて今すぐ言ってくれる?って言うし、そもそも身近な人はわたしがそういうの嫌いなのを知っているので言ってこないですが。

「あとで相談したいことがあるんだけど」ならOKです。わたしにヘルプを求めている、そしてちゃんと時間を作って話したいんだな、という意図が分かるからです。

「あとで〇〇についての話がある」はギリアウトです。〇〇についての話と先に伝えることを親切心だと思っているのかもしれませんが、それは親切心なんかではなく、ただの脅しです。

 さて、ここまで散々文句を書きましたが、実はわたしも「あとで話がある」戦法を使ってしまう時があります。
 それは「早くリアクションを見たくてたまらなくなってはしゃいでいる時」です。サプライズをサプライズにできない子供、それと一緒です・・・。

 なので、わたしが「あとで話がある」戦法を使うときは「くだらない話なんだけどさ」とか「いい話なんだ!」とか、必ずそこに負の感情を乗っけません。相手もあとでいい話があるんだって思えるし、話すまでの相手の時間を潰さなくてすみます。

 それこそ、いちいち言わなくていいじゃんって思われそうですが、なんせわたしは「はしゃいでいる」ので、ついつい言ってしまうんです。文字にするとなんて愚かなんだ・・・。

 こういう感じで、感情のやり取りに関しては、いつも前のめり。そしてとてもせっかち。
「分かった、じゃああとで話そう」なんて、映画に出てくるジェントルマンなことは一切できません。すぐ食らいつきます。

 やっぱり不安なんでしょうね。他人に対する気持ちが。たった一言を言われたことで、心の余裕が全くなくなってしまうってことです。
 感情をサラサラと流していくことができない。これはわたしの大きな問題。

 ちなみに小さい頃、母に怒られたあとに見えないところで、母の服をハサミで切るっていう対抗手段を使ったことがあります。これこそ卑怯者・・・。
「あんたなにやってんのよ!」ってすぐにバレて、鋭い武士の刀で斬られました。そりゃそうです。

「あとで話がある」と「隠れてハサミで服を切る」って、どっちもダメージでかいですよね。そしてどっちも陰湿。

 あの頃よりは、人の気持ちが分かるようになったかなぁ。