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【2作品目】ムーンライト

こんにちは!
映画鑑賞が趣味で2022年は120作品を観ていましたAyumiです。

今年は観た作品の概要を整理するためにも簡単な記事に起こそうと決意いたしました。2023年2作品目は「ムーンライト」です。

ムーンライトはどんな作品?

この映画のあらすじは以下です。

麻薬中毒のシングルマザーの家庭で育ち、学校ではいじめられ、逃げるようにひとりで暮らす内気な少年。彼を気にかけてくれるのは、近所の麻薬ディーラーと同級生の少年だけ。やがて主人公は同級生に友情以上の感情を抱くが言い出せないまま成長する・・・

この映画単なる性的マイノリティの作品ではありません。
人種・性別分け隔てなく、なりたい色になれなかった人に寄り添う物語です。

結論から言うと、ハッピーエンドではありません。

LGBTQの「Q」を描いた作品

LGBTQという言葉はよく聞きますが、各々の英字が表す意味を私自身よく理解していませんでした。特に、「T」と「Q」

ここでは「Q」について書いていきます。

Q=queer(クィア)
性的指向や性自認が既存の性別の枠組みに当てはまらない、または流動的な人を指す用語。

主人公・シャロンは同級生ケヴィンに密かな思いを寄せる”ゲイ(B)”に見えますが劇中でゲイだとは断言していません。

むしろ自分の性が何なのかわからずさまよっています。このよくわからない感じが「Q」なのです。

同性愛をテーマとした映画作品は過去に複数みましたが、「Q」を題材とした作品は初めてだったので新鮮でした。


ブルーになれなかったブラック

「月明かりを浴びて走り回っていると黒人の子どもが青く見える。ブルーだよ。だからこう呼ぶ。ブルー」

学校でいじめられ、複雑な家庭で育ち何もかも希望を失った少年に、麻薬ディーラーのフアンがこう告げます。

「自分の道は自分で決めろ。周りに決めさせるな。」

自分と同じような道を辿って欲しくないと思ったのでしょう。絶望的にみえた主人公・シャロンの未来が”ブラック”から”ブルー”へと開かれていきます。

なりたい色になるのは難しいという現実

ブルーへの道が開かれていた矢先、些細な出来事をきっかけに主人公は麻薬ディーラーの道へと進んでしまいます。

ドラックに良い思い出はなく、それが原因でフアンから離れたにも関わらず、彼自身も同じ道を辿るのです。典型的な黒人の道に戻ってしまいました。

人は環境によって歪められる

この映画は性的マイノリティを扱ってはいますが、外的環境の重要性を主題としているように感じます。

結果として主人公は、典型的な黒人の道を辿ってしまいブルーに染まることはありませんでした。

「黒人の子は月明かりで青くなる」

少しでも明るい方向へ進んで欲しく、麻薬ディーラーのフアンはシャロンにこう語ったのでしょう。


総評

記事冒頭でLGBTQの「Q」を描いた作品だと書きましたが、彼の性的マイノリティは生まれつきのものではなく外的要因が大きかったのではと思います。

生まれながらにして「ゲイ(B)」としての性質を持ち合わせていたのか迷うものがあります。だからこそ、劇中でゲイだと断言することはなく、彼自身もよくわからなかったのではないでしょうか。

生育環境によって歪められ狂わされた人生の中で、自ら愛を感じる瞬間がたまたま同性であるケビンだったのではないか。そう思うのです。

そして、人生の中で唯一の愛を感じる瞬間がケビンとの一瞬にしかなかったという所に、彼の孤独と悲惨な人生の歩みを思い知らされます。

そういう意味で、外的環境で人格を歪められた人間が、一瞬の愛をテコに人生を取り戻そうとする物語だと総括したい。

以上。



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