見出し画像

親への感謝をどう伝えるか

もう70代後半になる母親。

元々、ちょっとキツい性格で、頑固で、教育ママというか自分の中の常識から外れたことや、思った成績を取れないと怒ったり、機嫌が悪くなる人だった。
それが、年齢と共にさらにキツくなり、自分の思うようにいかないことがあると、電話をかけてきては愚痴を何時間も話す。
主に、父親への愚痴と姉への愚痴なのだが、母親は言ったら聞かない性格なこともあり、言いたいだけ言わせて、ある程度は聞き流して、うまく落ち着かせるのが得策という、父と姉と私の共通認識がある。
また、家族の中でも、なぜか私に対してはあまり高圧的にならないので、だいたい私が話を聞く係だ。

今回も、例の如く、自分が不満に思うことを話したくて、電話をしてきた。
母は長年片方の耳が悪く、それはある程度家族もわかった上で生活してきたのだが、理解が足りないと。
確かに、どれくらい聞こえているのか、逆にどれくらい聞こえていないのか、本人にしかわからないことなので、理解しきれていないとは思う。
ただ、幼少の頃は、むしろ聞こえるふりをしていたのか流していたのかわからないが、耳が悪いことは知らされていなかった。
大人になって、片耳が悪いことを知らされ、それを知ってからは大きい声で話すようにしたり、聞こえる方の耳側で話すようにしてきた。
一応、私なりに気を遣うというか、母が嫌な思いをしないようにしてきたつもりではいた。
もちろん、それで足りているとは思っていない。
本人にしかわからない辛さがあると思う。
ただ、少しでも寄り添えたらと思ってきた。

でも、母親はそうは感じていなかったらしい。
お母さんがどれだけ辛くて、どれだけ嫌な思いをして、どれだけ苦労してきたか、どうせ、あんたたちにはわからないと。お父さんもお姉ちゃんもあんたも、理解することはできないと。こんなに辛いのに、あんたたちの為に頑張ってきたのにと。

あぁ…
伝わっていなかった。

学生時代に、学費の心配もせずに大学に通わせてもらい本当に感謝していること、遅く来た反抗期の時に言い合いをして母を泣かせてしまい、未だにそれを後悔していること、両親揃って穏やかに老後を過ごして欲しいと思っていること、できる限り、その都度気持ちを伝えるようにしてきたつもりだったが、足りていなかったんだ。私の気持ちは、母親には伝わっていなかったんだ。
そう思ったら、あまりに切なくて悔しくて、思わず言い返してしまった。

お母さんは、そう言われた私の気持ちは考えた?どうせ、あんたたちにはわからないって言われた私の気持ちはわかる?と。
そうしたら、もういい!と電話を切られてしまった。
言い方を間違えてしまったのはわかる。
ただ、全てを理解することはできなくても、寄り添いたい、わかってあげたいと思っていることを気付いて欲しかっただけだ。
でも、どう答えたらいいのかも、もうわからなかった。

私は、悪い娘なのだろうか。
母が悪いとは一切思っていない。
でも、私と母は別の人間だから、全てを理解することはできないし、違う意見を持つこともある。
だから、私なりの考えで私なりの方法でしか両親への感謝や愛情を示すことしかできない。
それをわかってもらおうとすることは、私の我が儘なんだろうか。

私も、もう40代のいい歳のおばさんだ。
でも、未だに親は親だし、両親からすればいつまでも子供なのだろう。
家族だからこそ、甘えや我が儘もある。
けれど、いつか来る最後の日にできる限り後悔を残したくない。
伝わっていないなら、伝わるまで言い続けるしかない。
どんな言い方をすればいいのか、まだまだ考えないといけない。
何歳になっても、人の気持ちに寄り添うことは本当に難しい。

#最近の学び


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?