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今日の本|「しらふで生きる 大酒飲みの決断」町田康

もういい加減お酒やめよう、と何度か断酒を決意し、チャレンジしています。
飲酒は時間食い虫で、お金食い虫で、睡眠を浅くして、健康を蝕むから、という理由です。
二日酔いだって嫌だし。
去年はかなり真剣に断酒に取り組み、数ヶ月は飲まない期間がありましたが、割と簡単にスリップ。

だから当然、断酒の本、アルコール依存症の方の本はたくさん読んでいます。

その中で断然面白かったのが、「しらふで生きる」著:町田康。

町田さんご自身の断酒経験談を綴ったものです。
暗く重く説教めいた話になりがちな断酒ですが、この人の手にかかると、アホらしくて笑えて、少し元気になれる!
ほんと、なんど声出して笑ったことか。

そんなに弱い心を見透かさないでー!
あけすけに書かないでー!
途中で変なたとえ話はさまないでー笑っちゃうから!

そんな面白本ですが、断酒経験から生まれた教訓は、それはもう含蓄に富んでいます。

中でも響いたのは、
「人生は普通、楽しくない」とする認識構造が必要という考え方。

現代では「人生楽しまなければいけない」という考えが広がり、それはインターネットの拡大とともに強迫観念のようになっている。
そもそも、インターネットで見る他人の「楽しさ」は、その人自身の結果部分だけだから、そこに至る苦しい部分はほとんど見えない訳ですが。

でも自分自身が感じる現実としては、

人生は楽しいことばかりではない、というか苦しいことの方が多い

こんなはずじゃない!不平不満がたまる

不満を解消するために、安価で手に入りやすい快楽、飲酒に走る


という構図。

私たちは自分自身を「平均より少しだけ上の存在」と思っている、という話がありますよね。生存競争の本能として。
そう思うから、「私がこんなに苦しいばかりの人生を歩む必要はない!」と不満が溜まってしまう。
そこで著者がおすすめするのは、「自分は普通以下のアホである」と認識を改めること。これが簡単ではないんですけどねーー。
飲酒だけでなく、ついつい思い上がってしまう自分には、けっこう効く言葉です。

読んだのはもうだいぶ前で、相変わらずワイン飲んでますが。
今は、「もう飲まなくていいなー」という自然な感情を待っている期間(ほとんど言い訳)。


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