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ダイソー創業者|「百円の男 ダイソー矢野博丈」木下英治


100円ショップといえばダイソー

100円ショップといえば、皆さんはどのお店?私は断然ダイソー、たまにデザイン重視のセリアを使ったりしますが、一番商品が豊富で、質も良いものが揃っているのはダイソーだと感じています。
そして、お店が、フロアがでかい!押し寄せる外国人観光客!子育て世代に、仕事中の男性客、子供や老人、実に様々なお客様が来店しています。
こんなに凄いお店なのに、社長の顔が思い浮かばない。ユニクロの柳井社長とか、ニトリの似鳥社長はすぐ思い出せるのに。メディア露出が少ないのかなと思っていた矢先にこの本を発見しました。
矢野博丈さんは、ダイソー創業者、現在は会長を務められている方です。見てください。この、人が良さそうなお顔!


生い立ちと商売への道

学生時代から体力には自信があったようで、ボクシング強化選手に選ばれています。大学時代には八百屋でアルバイト。ここで働くことに生きがいを感じた矢野さんは商才を発揮、たちまち稼ぐようになり、将来は商売で身を立てると決意。商売をする上で必要になる屋号。本名の「栗原」、くりはら4文字では覚えにくい、言いにくい。そこで、学生結婚する奥様の苗字「矢野」姓を名乗ることとしました。こういうところに商才を感じます。ちなみに矢野さん、名前も改名しちゃってますからね。本名は「五郎」だけど、社長として威厳が感じられないという理由で、姓名判断で「博丈」に改名。


ひょんなきっかけから100円均一がスタート

屑屋が儲かる、と始めようとしますが、奥様の実家の養殖業を手伝うように言われ、結局借金をした挙げ句夜逃げ。昭和47年、トラック1台、ベニヤ板に日用品を並べ、移動販売する矢野商店をスタート、それが今に続くダイソーの始まりです。
ちなみに、100円均一になったきっかけは、ある日のこと。
雨が降りそうだったので、今日は露天販売をやめようと思っていたが、予想に反して天気が回復してきた。これからでも間に合うかと商売に出かけていったところ、チラシを手にした女性たちが、今か今かと販売を待っている。普段なら開店前から陳列準備をしておくが、その日は商品を並べている間にもお客さんが勝手に段ボールを開けて、商品を探しては「これなんぼ?」と聞いてくる。数多の商品の中、値段を確認している時間もない。お客さんを待たせておくわけにもいかず、「100円でええ」と言ったのが始まり。


現在のダイソー

  • ネクタイ:年間約2,000,000本、3秒に1本売れる

  • 電池:年間約1億4750万本、1秒に5本。ちなみに国内ダントツ販売数

  • スリッパ:月1,000,000足、2.5秒に1足

  • つけまつげ:年間約24,000,000個、1.3秒に1組

ダイソーの取り扱い商品、約70,000アイテムのうち、雑貨の自社開発商品は99%。毎月の新商品は約300〜500アイテム以上だそうです。ものすごい量、そしてスピード。品質も高い。この安さとクオリティーを維持できているのは、トラック1台で日用品を販売していた頃から養われた、「お客様の信頼を得る」ことに帰結するのでしょう。特に100円ショップは「安物買いの銭失い」と言うイメージがついて回りやすい商売。そう思われたくない一心で、商品の品質にも徹底的にこだわる社風ができたのだと思います。

昔から矢野がよく社員たちに言っていたのは、100円で売ると50円儲かる商品と、1円しか儲からない商品があったら、どちらを重要視するかと言う視点だ。
矢野は、いつも1円しか儲からない商品をたくさん売るように伝えてきた。
1円しか儲からなくても、お客さんが喜ぶ商品は、ほうっておいても、飛ぶように売れる。結局、1円しか儲からない商品の方が、より多くの利益をもたらしてくれる。

百円の男 ダイソー矢野博丈

この本には、社員さんたちの逸話もサイドストーリーとして描かれていて、それがまた、それぞれの紆余曲折が描かれていて面白いです。そして矢野社長含め、皆さん「もし…だったら」と回想することがとても多いのです。

  • もし、そのままボクシングを続けていたら…

  • もしあの時、女房子供がいなくて、たった1人で借金を背負っていたら…

  • もし、あのまま東京に残って屑屋をやっていたら…

  • もし、内定をもらえなかったら…

  • もし、バイクで事故ってなかったら…

もし、あのとき…の先に、肯定できる自分がいることは幸せなことではないでしょうか。
その一方で、矢野社長、「ダイソーは潰れる」「社員に申し訳ない」とネガティブ発言が多いみたいですが。


ダイソーに行くたびに、矢野社長や木村バイヤーの奮闘が思い浮かび、私も商品の品質をシビアにチェックしているのでした。



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