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大企業&ベンチャー企業で働いて感じたメリット・デメリット

私は新卒から5年間、従業員1.5万人のいわゆるメガ損保の一社に勤務していた。その後、従業員180人のEC通販ベンチャーを経て、現在は従業員50人ほどのITベンチャーで勤務している。

「大企業は給料はいいが、社内政治が大変そう」「ベンチャーは自由な雰囲気だが、経営が不安定で怖い」など、それぞれ良いイメージも悪いイメージもあるだろう。どちらも経験している私からすると、双方良し悪しがあり、結局本人の性格や仕事に求める要件によりけりである。また、個人的には新卒は大企業、経験を積んでからベンチャー企業に勤務するのが一番バリューを発揮でき、バランス感覚のよいビジネスパーソンになれると思う。

最終的には、そもそも人に雇われること自体向いていないという結論に至った私だが(笑)、私の経験上からの大企業・ベンチャー企業のメリット・デメリットを紹介する。

大企業

メリット

①同年代に比べて年収が高い(特に地方都市)

月給が高い、もしくはボーナスが高いため、同年代と比べて年収が高いことが多い。特に地方都市では、地場企業の給料が低水準であることも多いが、大企業の支社であれば全国でも高水準の給料をもらえるため、同年代の地場企業で働く人より年収が高くなる。また、学習費用の一部負担や、TOEICや資格などの受験費用負担など、自己啓発費用の援助も充実していることも多い。福利厚生も手厚い。

②職場の人間関係がリセットされやすく、しがらみが生まれにくい

大企業は全国の支社を転勤する社員も多くいるため、ソリの合わないメンバーがいたとしても、数年経てば異動して他のメンバーがやってきたり、自分が異動したりする可能性が高い。また、支社や部署も数多くあるため、今いる部署が合わない場合でも、異動できるチャンスがある。

③教育体制が整っている

社員数に余力があるため、新人や中途社員はしっかり教育を受けた状態で実務に入ることができる。社会人としてのビジネスマナーや、筋道を立てて仕事を行う力をしっかり身につけることができる。

④若いうちから大きな予算や大手クライアントを担当できる

商材が高額であったり、取引先も大企業であることが多いため、若いうちから億単位の市場を担当することができる。損保営業時代はそれが当たり前という環境だったため、特段「億単位を動かしてるぜ!」と意識したことはなかったが、ベンチャー企業に転職すると「5万円をどう稼ぐか」の世界だったので、最初は正直モチベーションを上げにくかった。

⑤起こりうるリスクを想定しながらゴールへの筋道を立てられる人が多い

大企業は問題が起こったときのイメージの低下ダメージが大きいため、日頃からリスクヘッジへの意識が高い。業務を行う際に「とりあえずやってみよう」と見切り発車をし、途中で発生してしまった問題をモグラたたきに潰すことはなく、あらかじめ起こりうるリスクを洗い出し、対処法を考えた上で物事を進められる人が多い。

⑥整った社内環境・システムの中で働くことができる

社員数が多く、業務フローによって細かく担当者が割り振られているため、自身の役割に集中して取り組むことができる。また、休暇申請や年末調整等の各種申請について、自社専用システムが導入されていることも多く、煩雑な手間が省ける。

デメリット

①年功序列の昇進

「この役職に上がるのは、最短でも入社○年以上」という基準があることが多く、能力が高くバリューを発揮している人でも、短期での昇進ができない。また逆に、「仕事、全然やってなくない?」というような社員でも、勤務年数が長ければそれなりの役職までは昇進することが多いため、頑張っている若手に取っては、「自分より働いていない高給取り」としてストレスの原因になりがち。

②社内政治や社内接待に神経を削られる

特に金融は、半沢直樹とまでは行かないものの、近しいものがあるのも事実。社内のキーマンに気に入られるかどうかで、自分の昇進や異動先に差異が出る。また、役員や本社の社員が支社を訪れたときのもてなしぶりは、「取引先に対する接待以上なのではないか?」と思うほどの気合の入れよう。

③チャレンジ精神が乏しく、新しい取り組みに挑戦しにいくい

メリット⑤がプラスの面でもある反面、リスクを気にし過ぎるゆえ、新しい取り組みへのチャレンジ精神は低い。「とりあえず、やってみよう!」という速いスピード感で物事に取り組みたい人、失敗から学びを得て成長したい人には、かなり歯痒い環境。

④承認フローが多く、仕事の進みが遅め

上長の承認が必要な業務も多く、承認のフローも課長→部長→本社…のように、多くのフローを経るため、最終的に動き出すまでに時間がかかる。

ベンチャー企業

メリット

①新人・中途社員であっても意見を言いやすい雰囲気

トップダウンの会社にありがちな、「上長の言うことが絶対」という雰囲気は薄く、新人や中途社員であっても意見を言いやすい。むしろ意見を言わず、指示待ちの姿勢だと、「自分の考えがなく、積極性のない人」としてマイナスに見られることも。

②中途社員が多いため、様々な企業の知見を活かして仕事ができる

ベンチャー企業では、新卒より即戦力となる中途社員を積極的に採用することも多いため、様々な企業のバックグラウンドを持った頭脳が集まる。そのため、新卒から長年勤めるメンバーの多い大企業よりも、多種多様な意見が飛び交い、新しい取り組みが生まれやすい。

③チャレンジ精神があり、失敗を恐れない

完全な状態で取り組みをスタートさせるというより、ある程度形ができたら「まずはやってみて、PDCAを回して改善しよう!」というチャレンジ精神が強い。リスクを恐れて動かない、ということはあまりない。

④承認フローが少なく、仕事の進みが速い

平社員→直属の上司で承認フローが完結することが多いため、仕事が動き出すまでの時間が早い。本人の独断でスタートできることも多い。

⑤年齢や社歴に関係なく、能力があれば役職が上がる

年齢や社歴に関係なく、実績を残していれば役職は上がる。また、昇進時期も年に数回あったり、基準を満たす人がいれば随時昇進したりと、昇進のチャンスが多い。逆に言えば、大企業のデメリット①のように、「長年勤めていれば役職が上がる」ということは滅多にない。

⑥退職しやすい

ベンチャー企業では、2、3年働いたら、よりレベルの高い企業への転職や、起業を理由に退職する人も多い。「数年働いたら、退職が当たり前」という雰囲気すらあり、退職にマイナスイメージがあまりない。

デメリット

①年収があまり高くなく、福利厚生も乏しい

成長途中の企業が多いため、年収はあまり高くないことが多い。また、入社後数年経験を積んだのち、退職することが半ば前提となっているため、退職金がない企業が多い。福利厚生についても、最低限の保険類や休暇しか制度がないことも多い。

②教育体制が整っていない

ベンチャー企業は社員数が少なく、新人や中途社員への教育に人員を割くことは難しい。特に中途社員であれば即戦力を求められるため、誰かに教えられることを待っていては、全く仕事はできるようにならない。新人であっても戦力カウントされ、大企業のように「半年間は実務はほとんどなく、研修期間」ということはなく、実践と並行して仕事を覚えていく。

③リスクヘッジへの意識が低い

ベンチャー企業は世間への認知度が低く、問題が起こったときのイメージの低下ダメージが小さいため、リスクヘッジへの意識が低い。スピード感やチャレンジ精神が前に出るあまり、想定できたであろうリスクにもリスクヘッジできておらず、取引先と揉めることもしばしば。

④社内環境・システムが未熟

書類やPCフォルダなどの格納ルールが厳格に決まっておらず、過去文献などを即座に探しにくいなど、全体的にルールが明確化されていないゆえ、手間取ってしまうことが多い。また、休暇申請や年末調整などの各種申請について、自社システムなどがないので、煩雑な手順が必要な場合がある。

⑤理念やミッションに共感できないと、精神面でついていけない

理念やミッションについて、成長しきった大企業であれば日常的に意識することは少ないが、ベンチャー企業は日々意識して業務を行う。理念やミッションについて、自らの意見を交わす機会なども設けられる。(全く好きな表現ではないものの、これしか表現できないので言うが)宗教並みに代表から社員に布教されるので、考えに賛同できないと気持ち的についていけなくなる。

以上、私の思う大企業・ベンチャー企業のメリット・デメリットである。もちろん、全ての企業に当てはまるわけではないので、「ふ〜ん、そうなのね」程度に捉えていただければ嬉しい。

冒頭でも述べたが、「新卒は大企業、中途でベンチャー企業」で働くという順が、ビジネスパーソンとしてバリューを発揮しやすいと思う。ベンチャー企業は、たっぷり時間を割いて社会人の基礎や仕事の基礎を教え込んでもらえる場所ではない。そのため、新卒時は大企業で学んだ方が、最低限のビジネスマナーや、業務を筋道を立てて完遂させる力が身につく。また、1つの業務にかかわるメンバーが多く、締切厳守を意識するため、業務に優先順位をつける力がつく。その後ベンチャー企業に転職すると、荒削りな管理体制やクライアント対応への問題意識を抱くことが多い。そこで、大企業で働いた経験により持ちあわせた「どのように整えると効率的なのか」「どのようにクライアント対応すると炎上しないか」という解答を生かして、会社の成長に貢献することができる。

個人的な感覚としては、メガ損保で働いた5年間と、現在働いてるベンチャー企業の約1年半では、後者の方が既に5倍くらい価値貢献できていると感じる。それくらい、メガ損保での経験を今の会社に活かせている。また、メガ損保の数倍ハイスピードで新しい取り組みへのPDCAを回せている。

私の経験からの大企業・ベンチャー企業のメリット・デメリットであるので、偏った部分も多いと思うが、就活・転職活動の参考になれば嬉しい。





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