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映画感想#1 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年)


残された家族は、
どのように生きていけば良い?

この映画では個人的に大優勝のサンドラ・ブロック。

原題 Extremely Loud and Incredibly Close
監督 スティーブン・ダルドリー
脚本 エリック・ロス
出演 トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー 他
2011年 129分 アメリカ


アメリカ9.11テロのことはよく覚えていたし、テレビでもリアルタイムで見ていたけど、改めてその瞬間を振り返ったら、とんでもない事件だと思いました。
あの事件に対する感情は、アメリカでは日本よりもずっと強いんだろうなと。

家族を突然失った、オスカーみたいな子供もたくさんいると思います。
オスカーはとても勇気があって、父親の残したヒントを探るべく、1人でたくさん計算して、たくさんの人に会って、タンバリンを持って走り回って。
何かをしていないと、父親に二度と会えないという悲しみに押しつぶされてしまう。父親がまだ生きているという痕跡が欲しくて、動き続けなくてはいけなかったんだと思います。

母親のリンダ役のサンドラ・ブロックが素晴らしかった。
オスカーの行動に全部気づいていたなんて…
リンダ自身、夫トーマスを亡くして途方に暮れながらも、オスカーを見守り、その行動を受け止めていて。それは、オスカーと同じように、夫が生きていたことを思い出すための術だったのかもしれません。

残された家族は辛いことだらけ。でも、少しは光が見えるような終わり方だったので、そこまで暗い気持ちにはなりませんでした。
見る前は泣かせる系のものなのかな、と思っていたけど、そうではなかったですね。

扱うテーマが重いだけに、単なるハッピーエンドではないかもしれませんが。

☆鑑賞日 2012年2月25日


投稿に際しての余談

・最近、ドイツ映画祭2023にて「クルナス母さんvs.アメリカ大統領」(2022/アンドレアス・ドレーゼン)という映画を見ました。
当時9.11のテロ事件でムスリムに対する偏見が強まり、ドイツ在住のトルコ人青年が、証拠もなくキューバの収容施設に入れられてしまうが、そこに法的に立ち向かっていく母親と弁護士のお話です。
アメリカがテロで苦しんでいる一方、ムスリムというだけで過酷な扱いを受けている人々がいるという事実を知りました。なんとなく繋がるものがある気がします。

・テロで家族を亡くすという点では、「アマンダと僕」(2018/ミカエル・アース)も通じるものがあるかと。テロで姉を亡くした青年と、その姉の娘が共に支え合って生きていく道を見つけていく、というお話。悲しいけれど素敵な映画です。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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