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映画感想#55 「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(2012年)

原題 Ernest et Celestine
監督 バンジャマン・レネール、ステファン・オビエ、バンサン・パタール
脚本 ダニエル・ペナック
出演 ランベール・ウィルソン、ポーリーン・ブロナー 他
2012年 フランス 80分


自分と違う存在と関わること

絵本が原作の、とてもかわいいお話でした。
くまとネズミは仲良くなれるのか?周囲の反対にあったり、大騒動に発展したりと、ドタバタしながら進んでいきます。

水彩画タッチの絵が、音楽に乗って流れるように動いていくのが美しい。絵本ならではの優しさが、そのまま映像に詰め込まれていました。

動物の話だけれども、当然人間世界の比喩でもあるわけで。
例えば、「くま」や「ネズミ」という大きなカテゴリで括って見てしまうと、その違いはとてつもなく大きなものに感じられるでしょう。体の大きさ、食べるもの、何もかもが異なっています。
それは、人間世界では人種やナショナリズムに置き換えられるかもしれません。

私は、大学に入って初めて中国人の友達ができました。それまで、中国に対するイメージはあまり良いものではありませんでしたが、その女の子は優しくフレンドリーで、すぐに仲良くなることができました。
大きなカテゴリである「日本(人)」「中国(人)」には相容れない何かがあるかもしれないけど、そんな大きなカテゴリに囚われないミクロな関係は、もっと近くて密接で、だからこそ面白い

人種や宗教による隔たり、偏見が溢れているこの社会で、共存することの「大切さ」だけではなく、「楽しさ」を教えてくれる作品だと思いました。

☆観賞日 2015年9月1日


余談~絵本が原作の映画~

ベルギーの絵本作家ガブリエル・バンサンの作品、「くまのアーネストおじさん」は、20冊ほどのシリーズがあるようです。
子供の頃の夢が絵本作家だったので、今でも絵本ベースの映画を見ると、心が浄化されるようでワクワクします。
昨年、東京国際映画祭で「ロボット・ドリームズ」(2023年/パブロ・ベルヘル)を見ました。一見リアリティのなさそうに見えるロボットと犬の友情ですが、彼らの友情とリアルな結末に涙が…。こういう絵本が原作の映画って、見る人の世代を問わず訴えるものがありますよね。今年劇場公開予定らしいので、また映画館に観に行こうと思います!


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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