映画感想#4 「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)
原題 Midnight in Paris
監督・脚本 ウッディ・アレン
出演 オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、マイケル・シーン、トム・ヒドルストン、アリソン・ピル、レア・セドゥ 他
2011年 94分 スペイン・アメリカ合作
パリへやって来たギルとイネズ。結婚を控えた2人ですが、この後まさかの展開に・・・。
脚本家のギルは、パリの素敵な街並みに惚れ込んでしまい、あるきっかけから1920年代のパリへと迷い込んでしまいます。
過去に入り込んでいってしまった時の、あの驚き顔が忘れられません。この映画のハイライトは、個人的にはオーウェン・ウィルソンのびっくりな表情だと思っています。
<ギルを取り巻く3人の女性>
物語を動かしていくのは、ギルを取り巻く3人の女性たち。
①婚約者イネズ
レイチェル・マクアダムス演じるイネズですが、とても現実的な人間として描かれています。ギルと対照的で、雨は濡れるから嫌いだったり、社交性(世間体というか)を大切にしていたり。
そもそもなぜ結婚するのか…?とも思ってしまうほど。
しかし、彼女の存在によって、ギルの体験が非現実的であることが、よりわかりやすく感じられます。
②1920年代のアドリアナ
マリオン・コティヤール演じる美女アドリアナ。
思考回路としてはギルの女性版とも言えるような、昔の良き時代を懐かしむタイプ。でも残念ながら生まれてくる時代が違っていたので、ギルと彼女は憧れる時代にズレが生じてしまいます。
(マリオンをキャスティングしたの神がかってませんか…!美しすぎる…。)
③パリの骨董品屋さん店員、ガブリエル
イネズもアドリアナも失ったギルと運命的に出会うのは、パリの女の子、ガブリエル。パリは雨が一番美しいそうです。これは運命以外の何ものでもない。
そしてこの映画の全部をかっさらっていくレア・セドゥである。このラストシーン、本当に大好き。
<簡単だけど難しい「今を生きる」ということ>
アドリアナが1890年代に留まるって言った時、ギルは悩んだだろうな。
自分の分身を見ているようなものですからね。でも、ギルは現代に残ることを決意する。結局、大事なのは今なんだって気付く。
いつの時代も、「あの頃は良かった」と懐古する瞬間はあると思います。特に長く生きていると、子供時代や若かりし時代を懐かしむことなんて、日常的にあることでしょう。
懐かしむことは悪いことではないけど、今を嘆いてもどうにもならない。
そんな、当たり前だけど難しい、楽しく生きるためのヒントを与えてくれるような映画です。
ウッディ・アレンにしては、珍しくテーマがはっきりとしていて、でも、さらっとしていて、全然押し付けがましくない。
結局は今を楽しむということは、自分にとって一番楽なんだと思います。
この映画みたいに、過去に戻ることはできないですから。
☆観賞日 2012年6月12日
投稿に際しての余談
・10年前にパリに行った時のことを思い出しました。本作の冒頭は、パリの素敵な街並みのカットだけでかなりの尺があります。昔の建物がそのまま残っているので、昔にタイムスリップするのも、そんなに違和感がないかもしれない。また、いつか行きたいなあ、パリ。
・「今を生きること」についての個人的な思い出ですが、私は高校時代は大学受験の勉強しかしていませんでした。早く帰って勉強したかったけど、しょうがなく学校に行っていた。もっと10代の貴重な時間を勉強以外のことで楽しみたかったな、と最近思います。
当時は、早く大学に行きたい、留学してみたい、という気持ちしかなかった。本作とは逆で、懐古しているわけではないけど、先を急ぎすぎてしまったな、と。今できることを今やってみるって大事。タイミングって大事。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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