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映画感想#22 「メイジーの瞳」(2012年)

原題 What Maisie Knew
監督 スコット・マクギー、デビッド・シーゲル
脚本 ナンシー・ドイン、キャロル・カートライト
出演 ジュリアン・ムーア、アレクサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、ジョアンナ・バンダーハム、スティーブ・クーガン 他
2012年 アメリカ 99分


ある一人の少女の視点から、大人の身勝手さを描いた作品。

6歳のメイジーの両親は離婚調停中。親権を争っている間、メイジーは10日ずつ父親と母親の間を行ったり来たりして暮らしています。
そして両親には、既にそれぞれ新しいパートナーがいるのです。父親のパートナーは、メイジーのベビーシッターであるマーゴ。そして、母親のパートナーは、バーテンダーのリンカーン。

母親なんか、自己中もいいところです。ロックバンドのツアーの途中で、まるでアクセサリーかのようにメイジーと一緒に遊んで。時間が来たら、子供はリンカーンへパス。
それなのに、「自分は誰よりも大変だ、仕事をしながら子育てを頑張ってる」だなんて、幻想を持っている。最後には、実はそうではなかったということが、メイジーによって気付かされます。

ロック歌手の母親

父親もとにかく忙しいのはわかりますが、仕事と家庭の折り合いをつけられないタイプ。こちらも結局は、自分が最優先の人。

アートディーラーの父親

子供を最優先にできないのに親権を欲しがるのは、ただのわがままとしか思えません。面倒が見れないと分かっているなら、パートナーに正直に言うか、新しいシッターを雇うべきでしょう。

マーゴもリンカーンも、結局はメイジーの子守り要員での結婚だったというわけ。それに気づくのに、そう時間はかからない。
ストーリーは、そんな互いのパートナー同士が…?という方向に行くのですが、割と自然な流れに見えました。メイジーのことを最優先して考えてあげられるってことは、2人に協調性が生まれるのも当然のこと。

メイジーは、全部わかってるのです。もちろん両親のことは大好きだけど、いろんなことを飲み込んだうえで、我慢して、お母さんとお父さんに気を遣ってるのです。それをわからずにメイジーに甘えてるのは、両親の方だと思いました。
その反面、マーゴとリンカーンは良くも悪くも他人だから、素の自分でいれるのかもしれない。皮肉なものですね。

両親もマーゴも都合が悪く、初対面のリンカーンと過ごすことになったとき、きっと不安だったにも関わらず、小さな手で大きなリンカーンの手を握るメイジー。現実を受け入れるメイジーは、両親よりも大人だと思いました。

タイトル「What Maisie Knew」=メイジーが気づいたこと。
一緒にいたいのは、誰?

*全体的に優しい雰囲気で、音楽や映像の質感も穏やかでゆったり。メイジーの洋服や部屋のインテリアもとてもかわいくて、子供の視点に入りこみやすい。
衣装や美術の点でも楽しめる映画でした。

☆鑑賞日 2014年2月17日


投稿に際しての余談

・母親の新しいパートナー、リンカーンを演じるのはアレクサンダー・スカルスガルド。心優しいお兄さんのようですが、職業は3Bの一つ、バーテンダー!やばい男なのか!?と思ったら純粋に良い人…!(歓声)
大きいリンカーンと小さいメイジーがかわいい対比になっていて、素晴らしいキャスティングだと思います!かっこ良くて目に優しい。

心優しいバーテンダー、リンカーン

・血のつながりって、子供にとっては実はそこまで重要じゃないのかも。親にとっては、唯一の大切な子供ではあるけど、親が親になれない以上、自分を保護してくれる人がいれば、その人を親と認識していくんじゃないかな。
なんてうっすら思いました。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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