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1ページに満たない映画感想<2012年編②>

1ページには満たない映画感想、2012年編の後半です。
トップ画像は、「虹の兵士たち」より。

「テルマエ・ロマエ」(2012年/竹内英樹)

阿部寛、圧巻の肉体…
この映画を支えているのは、阿部寛をはじめとする日本在住ローマ人(笑)の顔の濃さではないでしょうか。
娯楽映画としては十分に楽しめると思います。
ローマ人!風呂!というのが印象に残りますが、仕事に行き詰まった2人が偶然出会い、ヒントを見つけて成長していくストーリーもまた良いです。
何も考えずに、ただ楽しい時間を過ごす目的で、また見たいなと思います。

☆2012年7月26日鑑賞


「屋根裏部屋のマリアたち」(2010年/フィリップ・ル・ゲイ)

1960年代、多くのスペイン人のメイドたちがパリで働いていたそうです。
裕福な暮らしのジャン=ルイは、スペイン人メイドのマリアと、他のメイドたちの明るく前向きな雰囲気に魅了され、訳あって彼女たちと一緒に生活を送るようになる…。

一言で言うと、「ないものねだり」は世界共通なんだな、という感想でした。
裕福ではあるけど、退屈な生活。一方、お金はないけど、だからこそ助け合って、明るく生きている彼女たち。ジャン=ルイは、自分にはない、「楽しい生活」に憧れて、マリアに惹かれていったのでしょう。
家を追い出されたジャン=ルイは、マリアたちが暮らす屋根裏部屋に逃げ込んできますが、メイドたちは正直どう思ったんだろう。自分だったら「なんだこのおじさん…」と思ったに違いない。
Bunkamuraル・シネマで見たのですが、すごくル・シネマらしい感じの映画です。人生讃歌、ほっこり系、小さな幸せ…そんな言葉がしっくりくるような作品でした。

☆2012年8月23日鑑賞


「ローマ法王の休日」(2011年/ナンニ・モレッティ)

謎の脚本。「ハートフルドラマ」とありますが、個人的には非常にシニカルな内容だと思いました。次期法王に選出された枢機卿が、重圧に押し潰されてしまい、逃走を図る・・・という感じのお話です。
教会批判が目的というわけではなさそうですが、ただただプレッシャーに負けた枢機卿の話ってことでしょうか。法王の重圧がすごいことを主張したかったのか?
ちなみに、ローマ法王が逝去した時の諸々の手順については、「天使と悪魔」(2009年/ロン・ハワード)を見るとよくわかります。

キリスト教関連の映画は大好きなので面白いと思う部分も多々あったのですが、法王選出の選挙(コンクラーヴェ)で、枢機卿たちは”法王に選ばれたくない”、と思っているとか。それについては結構驚きました。本当なのかな?
そして運悪く選ばれてしまったメルヴィルは、プレッシャーに耐えられずに、逃げ出してしまうのですが、結局、法王に戻ることはできず。数日間、自由な時間を過ごして、法王になることを決意してくれたら良かったんだけど・・・なんだか煮え切らないストーリーです。

余談っぽくなりますが、イタリア映画が苦手なのかもしれないです…。「鑑定士と顔のない依頼人」(2013年/ジュゼッペ・トルナトーレ)や「グレート・ビューティー 追憶のローマ」(2013年/パオロ・ソレンティーノ)も全然理解できかった。でも「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年/ジュゼッペ・トルナトーレ)は好きです。

☆2012年8月30日鑑賞


「虹の兵士たち」(2008年/リリ・リザ)

インドネシアの強い日光と、爽やかな風を感じられる映画。
ブリトゥン島のイスラム小学校での、新人教師と子供たちの成長のお話です。

インドネシアの子供たちは、自転車に乗り、かけずり回って、本能のままに生きている。SNSで人と繋がっているような気持ちになっている人に、ぜひ見てほしい作品です。私はこの映画を見て、自分は全然人との繋がりを持てていないのかもしれないと思って、少し嫌になるくらいでした。
人の繋がりがあって、互いに影響しあっているからこそ、心からの信頼が生まれる。そんな生き方を教えてくれる先生に出会えた、この10人の子供たちは、必ず立派に成長していくのだろうな、と思いました。

この映画を見たのが、ちょうどTwitterとかInstagramが流行り始めたくらいの頃。かつ大学に入って半年という、人間関係が固定してくる時期でもあり、自分がSNSの波に乗れてなかったが故のちょっとした鬱陶しさもあり、この映画に眩しさを感じたことをよく覚えています。感想ノートを読み返したら、思い出したくない感情まで出てきてしまい、ちょっと焦ってます。

☆2012年10月27日鑑賞 
※東京国際映画祭にて

(余談)
鑑賞から4年後の2016年にインドネシア旅行に行きました。
大学で出会った3人のインドネシア人の友人を訪ね、ジャカルタとバンドンへ。バンドンの広い茶畑がとても印象的でした。またいつか・・・!!

インドネシア・バンドンの茶畑



「JAPAN IN A DAY」(2012年/フィリップ・マーティン、成田岳)

3.11の東日本大震災の後、日本人はどのような日々を過ごしてきたのか。様々な人の日常を綴ったドキュメンタリーです。
子供たちは外に出たいのに、出られなくなってしまい、戸惑っている。大人たちは、失ってしまったものが多すぎて、辛い。
でも、生きていることに感謝して、なんとか乗り越えていくしかなくて。そうするしかないのであれば、なるべく楽しく生きたいもの。
頑張っている。日本人は頑張って、乗り越えようとしている。そう感じました。

「津波が来た時、8歳の女の子を助けられなかった」と言っていた人がいました。
この言葉は、あの時のあらゆる人の気持ちを代弁している。みんな、何かしら助けられなかったことがあるんじゃないかと思う。
でも、そう思う人がいるからこそ、自分もその相手も意味を持てると思うし、死が無駄にならないんじゃないかな。失くしたものを思う気持ちがあれば、意味のある出来事にすることができるはず。この映画には脚本があるわけではない。でも、3.11を忘れないための確実な意味を持っている。
失くしたものを忘れないことで、希望の見える現実になってほしい、と強く感じました。

☆2012年11月9日鑑賞
※東京国際映画祭にて


「映画と恋とウディ・アレン」(2011年/ロバート・B・ウィード)

ウディ・アレンの人柄と人生に迫るドキュメンタリー。
とにかく、可愛い。昔のアレンにも若々しさは皆無であった・・・。
でも、本当に才能があったんだろうな。初期のコメディは本当に笑える。超面白い。
そんな面白いストーリー、ラブストーリーの中にも、何か一つメッセージがある。
人生とは何だろうか?何のために生きているのか?人生なんて無意味じゃないか?ってね。それを考えさせてくれるし、アレン自身も考えているのかもしれない。
単純な感想だけど、”自分もやりたいことをやってみよう!”という気持ちになれました。

☆2012年11月22日鑑賞


●投稿に際しての余談

・東京国際映画祭 周辺の思い出
毎年秋ごろに開催される、大きな映画祭です。レッドカーペットもあり!の日本の中ではかなり大きな映画祭なのではないかと思います。
なかなかスケジュールが合わず、毎年は行けないのですが、上映作品だけはチェックするようにしています。2012年は2本見れていたようで、やっぱり学生は時間があって良いな・・・。
いつ始まったのかはわかりませんが、「学生応援団」なる宣伝チームがあります。学生の時は興味あって応募しようか…までは考えたのですが、何となく結局手が出ませんでした。残念、やってみれば良かった。

その代わりというわけではないのですが、アップリンク主催の映画配給ワークショップに通ったことがあります。そこで、”TIFF”(Tokyo International Film Festival)と訳される東京国際映画祭は、同じく"TIFF"のトロント国際映画祭と同じだから微妙だ、という話を聞いたことをよく覚えています(笑)。
今年も何とか時間が合えば、見に行きたいと思います。


以上、2012年後半の映画感想でした。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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